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第16話 ー紅き淫魔の終幕ー ~ルクレシアの最期と王宮の動乱~
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王宮の空気は再び張り詰めていた。旧劇場での死闘から数日、ルクレシアは致命傷を負いながらも逃亡したという報告が上がっていた。リュミエルは執務室で冷静に書類を捌きつつも、その表情には焦燥が隠しきれない。
「やはり……彼女は生きている。」
カリーネが窓辺でため息をつき、レイジを振り返る。「ルクレシアはね、逃げたんじゃないの。次の舞台を整えているのよ。あの女、終わる時まで官能的に暴れ続けるタイプ。」
レイジは拳を握った。「じゃあ、今度こそ終わらせる。王宮に二度と手出しできねぇようにな。」
その夜、王宮地下で異変が起きた。親衛隊が急報を持って駆け込む。「王宮封鎖結界が……内側から破られました!」
リュミエルが即座に指示を飛ばす。「全軍、迎撃態勢! ルクレシアが来る!」
同時に響く甘く艶やかな笑い声。「ふふ……これで最後の舞踏会よ。」
赤黒い霧が王宮の大広間を満たし、ルクレシアが現れた。今まで以上に妖艶な装い──黒革のビスチェに透けるシルクのローブ、全身に刻まれた魔法陣のタトゥーが蠢く。彼女の歩み一つで空気がねっとりと絡みつき、広間の者たちの動きを鈍らせた。「会いたかったわ……私のかわいい“客人”たち。」
ルクレシアが指を鳴らすと、赤黒い霧が形を変え、無数の幻影のサキュバスが現れる。甘美な囁きが重なり、視覚と聴覚が犯される。兵たちは幻覚に飲まれ、戦う意思を削がれていく。「幻影と精神干渉の複合術……!」リリアが叫ぶ。すぐに防御結界を展開するが、侵入してくる快楽の波は止まらない。
リュミエルとカリーネが同時に前に出る。氷と炎の双魔法が交差し、ルクレシアの霧を切り裂く。「さすが双姫、いい連携ね。」ルクレシアは楽しげに舌なめずりをした。
戦場は混沌の極みとなった。親衛隊が防御陣を組み、ルクレシアの幻影群を押し返す。レイジは剣を構え、突進した。彼女との距離が縮まるたび、脳裏に快楽の幻影が流れ込み、足がすくむ。「もっと足掻いて……壊れる瞬間が見たいの。」ルクレシアが指先をひらめかせ、魔力の鎖がレイジの四肢を絡め取る。だが、その瞬間、リリアの詠唱が完成し、光の槍が鎖を打ち砕いた。「レイジ、今!」渾身の突きがルクレシアの防御を貫く。
リュミエルが氷槍を叩き込み、カリーネが体術でルクレシアの動きを封じる。隙を作ったところへ、レイジが全魔力を込めた一撃を叩き込んだ。剣がルクレシアの胸を貫き、赤黒い魔力が霧散する。「……最高の舞踏会だったわ。」そう呟き、ルクレシアの体は霧となって消えた。
戦いは終わった。だが、王宮の安堵は一瞬だった。数日後、宮廷医師が報告する。「ルクレシアの魔力に触れた者の体内で、未知の魔力反応が増殖しています。」
それは彼女が最期に残した“甘美な種”。快楽と狂気を植え付ける禁断の魔力が、王宮の者たちの心と体を蝕み始めていた。感染者は感覚が過敏になり、互いに触れ合うことで陶酔し、正気を失っていく。宴会場は一時、異様な淫靡さに包まれ、兵士までもが衝動を抑えられず互いを求め合う異常事態が発生した。
リュミエルが顔をしかめる。「このままでは王宮が内部から壊れる……!」カリーネは拳を握る。「またあの女の手のひらで踊らされてるってわけね。」
レイジは深く息を吐いた。「なら、終わらせる。あの種を焼き尽くす。」
対策会議が開かれた。リリアが提案する。「精神干渉を遮断する多重結界を張り、感染者の魔力を一時的に封じる。それから解呪儀式で種を消すの。」双姫も頷き、儀式の準備が進められた。
翌日、王宮中庭に巨大な魔法陣が描かれ、感染者たちが収容された。レイジと双姫、リリアが中央に立つ。「絶対に終わらせる!」全員が魔力を注ぎ、解呪儀式を発動。苦痛と快楽の悲鳴が響き渡り、感染者の体内から赤黒い霧が噴き出す。ルクレシアの残滓が抵抗するように蠢くが、レイジが剣で霧を断ち切り、リュミエルとカリーネが魔力で封じ込めた。
やがて霧は消え、感染者たちの表情に正気が戻った。レイジは膝をつき、深く息を吐いた。「……これで、終わったか。」
リュミエルが静かに答える。「ええ。だが、ルクレシアの爪痕は深いわ。」
こうしてルクレシアとの戦いは終わり、王宮は一時の平穏を取り戻した。しかし、淫魔族の未来は依然として揺らいでいた。
「やはり……彼女は生きている。」
カリーネが窓辺でため息をつき、レイジを振り返る。「ルクレシアはね、逃げたんじゃないの。次の舞台を整えているのよ。あの女、終わる時まで官能的に暴れ続けるタイプ。」
レイジは拳を握った。「じゃあ、今度こそ終わらせる。王宮に二度と手出しできねぇようにな。」
その夜、王宮地下で異変が起きた。親衛隊が急報を持って駆け込む。「王宮封鎖結界が……内側から破られました!」
リュミエルが即座に指示を飛ばす。「全軍、迎撃態勢! ルクレシアが来る!」
同時に響く甘く艶やかな笑い声。「ふふ……これで最後の舞踏会よ。」
赤黒い霧が王宮の大広間を満たし、ルクレシアが現れた。今まで以上に妖艶な装い──黒革のビスチェに透けるシルクのローブ、全身に刻まれた魔法陣のタトゥーが蠢く。彼女の歩み一つで空気がねっとりと絡みつき、広間の者たちの動きを鈍らせた。「会いたかったわ……私のかわいい“客人”たち。」
ルクレシアが指を鳴らすと、赤黒い霧が形を変え、無数の幻影のサキュバスが現れる。甘美な囁きが重なり、視覚と聴覚が犯される。兵たちは幻覚に飲まれ、戦う意思を削がれていく。「幻影と精神干渉の複合術……!」リリアが叫ぶ。すぐに防御結界を展開するが、侵入してくる快楽の波は止まらない。
リュミエルとカリーネが同時に前に出る。氷と炎の双魔法が交差し、ルクレシアの霧を切り裂く。「さすが双姫、いい連携ね。」ルクレシアは楽しげに舌なめずりをした。
戦場は混沌の極みとなった。親衛隊が防御陣を組み、ルクレシアの幻影群を押し返す。レイジは剣を構え、突進した。彼女との距離が縮まるたび、脳裏に快楽の幻影が流れ込み、足がすくむ。「もっと足掻いて……壊れる瞬間が見たいの。」ルクレシアが指先をひらめかせ、魔力の鎖がレイジの四肢を絡め取る。だが、その瞬間、リリアの詠唱が完成し、光の槍が鎖を打ち砕いた。「レイジ、今!」渾身の突きがルクレシアの防御を貫く。
リュミエルが氷槍を叩き込み、カリーネが体術でルクレシアの動きを封じる。隙を作ったところへ、レイジが全魔力を込めた一撃を叩き込んだ。剣がルクレシアの胸を貫き、赤黒い魔力が霧散する。「……最高の舞踏会だったわ。」そう呟き、ルクレシアの体は霧となって消えた。
戦いは終わった。だが、王宮の安堵は一瞬だった。数日後、宮廷医師が報告する。「ルクレシアの魔力に触れた者の体内で、未知の魔力反応が増殖しています。」
それは彼女が最期に残した“甘美な種”。快楽と狂気を植え付ける禁断の魔力が、王宮の者たちの心と体を蝕み始めていた。感染者は感覚が過敏になり、互いに触れ合うことで陶酔し、正気を失っていく。宴会場は一時、異様な淫靡さに包まれ、兵士までもが衝動を抑えられず互いを求め合う異常事態が発生した。
リュミエルが顔をしかめる。「このままでは王宮が内部から壊れる……!」カリーネは拳を握る。「またあの女の手のひらで踊らされてるってわけね。」
レイジは深く息を吐いた。「なら、終わらせる。あの種を焼き尽くす。」
対策会議が開かれた。リリアが提案する。「精神干渉を遮断する多重結界を張り、感染者の魔力を一時的に封じる。それから解呪儀式で種を消すの。」双姫も頷き、儀式の準備が進められた。
翌日、王宮中庭に巨大な魔法陣が描かれ、感染者たちが収容された。レイジと双姫、リリアが中央に立つ。「絶対に終わらせる!」全員が魔力を注ぎ、解呪儀式を発動。苦痛と快楽の悲鳴が響き渡り、感染者の体内から赤黒い霧が噴き出す。ルクレシアの残滓が抵抗するように蠢くが、レイジが剣で霧を断ち切り、リュミエルとカリーネが魔力で封じ込めた。
やがて霧は消え、感染者たちの表情に正気が戻った。レイジは膝をつき、深く息を吐いた。「……これで、終わったか。」
リュミエルが静かに答える。「ええ。だが、ルクレシアの爪痕は深いわ。」
こうしてルクレシアとの戦いは終わり、王宮は一時の平穏を取り戻した。しかし、淫魔族の未来は依然として揺らいでいた。
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