ジグソーパズル

仲良くしましょう、彼女さん

青年とお隣さん

「まぁ……そういうことなら藍田。校舎の案内、頼んでもいいか？」
「………………はい。」
断ってもいいが。と付け足した担任の向こう側に目を輝かせた級友を多数見つけ吐き捨てるように承諾した。
私もきっと、当事者でなければ同じように目を輝かせただろうであることは予想ができたから。
だから、野次馬のように私を見つめる視線はこの際どうでもいい。
私の心を荒ませているのは、当然のように私の隣の席を占拠した青年である。
「……秋崎。お前の席はそこではないんだが……。」
「教科書など注文しましたが、まだ届いてないので。気兼ねなく見ることのできる相手と隣席が良いかな、と。だめですか？」
申し訳なさそうな声音で喋りながらも、椅子に深く座り直す姿はある意味、最もタチが悪いと感じてしまった。
この状態で考えを改めさせるようなことを言ってしまえば、外部から見て明確な悪役になってしまう。
「……藍田、いいか？」
「も、どーでもいーです……。」
そうなれば担任は私に確認を取る道しか残されておらず。
私も、角を立てないように同意するしかない。
せいぜい不服そうな態度で抵抗を示すくらいが関の山だ。
「そうか、なら、秋崎の席はそこにしよう。藍田、悪いが頼むぞ。」
「……はい。」
結局、悪いのは自分の事勿れ主義だとわかっているからこそ。
担任に対して毒吐くわけにはいかなかった。
「よろしく、瑠璃さん。」
「………………。」
元凶の青年には、勿論辛辣に当たるけれども。