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18 望んで得られない場所(暁視点)
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雪兎の父親、陽月さんの運転する車で門を通り抜けた。立派な佇まいの日本家屋。庭も手入れが行き届いていて、美しく整えられていた。でも、俺はそれどころじゃなかった。もしかしたら、雪兎のそばを離れなくてはいけない。血族に縁遠い俺でも、親戚付き合いが大切なものであることくらいは分かってる。
促されるまま歩き、雪兎の隣の座布団に座った。不思議な感覚だった。知らない筈なのに、知っているかのような感覚。本来なら、俺はここに足を踏み入れてはいけない存在なのに。
「暁、顔が怖いよ」
雪兎の声に、無意識で無表情になっていたようだった。雪兎とキョウがそばに居てくれるようになって、柔らかくなった表情も強張る。絶望が心を占めて行く感覚。
通されたのは応接間だと思う。おそらく、俺が居るから。まさに、招かれざる客。それが分からないほど子供じゃない。諦めることには慣れてるから。居心地いい場所は、尽く奪われてきたから、今更、驚いたりはしない。
陽月さんと一緒に入ってきたのは白髪交じりの紳士。紳士、と言う言葉がよく似合う所作。その後ろに陽月さんよりも年上だろう男性二人と女性が一人。四人が並ぶとよく似ているから、兄弟だと思う。俺と雪兎の前に一列で腰を下ろした。俺の真ん前に腰を下ろしたのは白髪の紳士。多分、草壁家当主。
「初めまして。私は草壁 宗一郎です」
「初めまして。秋保 暁です」
なんとなく、キョウと会う前の自分が顔を出す。気配で雪兎が息を呑んだのが分かった。これは防衛本能だ。不用意に心の内を見せてはいけない。
「なかなかだね。全然違う」
そう口を出してきたのは宗一郎さんの右隣に座った人物。多分、兄弟の中で一番年上だろうな。
「何が言いたいのかも、漠然と分かってます」
「私達がどう思っていると?」
「雪兎の側を離れろってことですよね?」
何度となく奪われた場所。その感覚は無意識に感じ取れるものだから。
「何故そう思う?」
「俺が秋保と氷室の一族だから。たとえ、はぐれ者でも」
俺にははっきりとした居場所はない。兄さんが仮の場所を与えてくれているにすぎない。その場所も、安全な場所だとは言い切れない。
諦めることには慣れてる。それが、生きてきた中で一番失いたくないと思っている場所でも。
「諦めることには慣れてますから」
雪兎が俺を凝視してる。見なくても視線が突き刺さるから。雪兎は俺がいなくても生きていける。でも、俺はある意味、死ぬんだろうな。ただ生きているだけの屍になる。ゆっくり、立ち上がった。聞くまでもない。陽月さんは雪兎の気持ちを優先してくれるだろうけど、一族そのものを考えるなら、俺は単なる厄病神でしない。
「お邪魔しました」
決定打を投げられる前に、身を引こう。雪兎の幸せを願って。
「暁!」
あの時に諦めなければいけなかったんだ。
「さようなら、我妻」
雪兎が驚愕に目を見開いた。
促されるまま歩き、雪兎の隣の座布団に座った。不思議な感覚だった。知らない筈なのに、知っているかのような感覚。本来なら、俺はここに足を踏み入れてはいけない存在なのに。
「暁、顔が怖いよ」
雪兎の声に、無意識で無表情になっていたようだった。雪兎とキョウがそばに居てくれるようになって、柔らかくなった表情も強張る。絶望が心を占めて行く感覚。
通されたのは応接間だと思う。おそらく、俺が居るから。まさに、招かれざる客。それが分からないほど子供じゃない。諦めることには慣れてるから。居心地いい場所は、尽く奪われてきたから、今更、驚いたりはしない。
陽月さんと一緒に入ってきたのは白髪交じりの紳士。紳士、と言う言葉がよく似合う所作。その後ろに陽月さんよりも年上だろう男性二人と女性が一人。四人が並ぶとよく似ているから、兄弟だと思う。俺と雪兎の前に一列で腰を下ろした。俺の真ん前に腰を下ろしたのは白髪の紳士。多分、草壁家当主。
「初めまして。私は草壁 宗一郎です」
「初めまして。秋保 暁です」
なんとなく、キョウと会う前の自分が顔を出す。気配で雪兎が息を呑んだのが分かった。これは防衛本能だ。不用意に心の内を見せてはいけない。
「なかなかだね。全然違う」
そう口を出してきたのは宗一郎さんの右隣に座った人物。多分、兄弟の中で一番年上だろうな。
「何が言いたいのかも、漠然と分かってます」
「私達がどう思っていると?」
「雪兎の側を離れろってことですよね?」
何度となく奪われた場所。その感覚は無意識に感じ取れるものだから。
「何故そう思う?」
「俺が秋保と氷室の一族だから。たとえ、はぐれ者でも」
俺にははっきりとした居場所はない。兄さんが仮の場所を与えてくれているにすぎない。その場所も、安全な場所だとは言い切れない。
諦めることには慣れてる。それが、生きてきた中で一番失いたくないと思っている場所でも。
「諦めることには慣れてますから」
雪兎が俺を凝視してる。見なくても視線が突き刺さるから。雪兎は俺がいなくても生きていける。でも、俺はある意味、死ぬんだろうな。ただ生きているだけの屍になる。ゆっくり、立ち上がった。聞くまでもない。陽月さんは雪兎の気持ちを優先してくれるだろうけど、一族そのものを考えるなら、俺は単なる厄病神でしない。
「お邪魔しました」
決定打を投げられる前に、身を引こう。雪兎の幸せを願って。
「暁!」
あの時に諦めなければいけなかったんだ。
「さようなら、我妻」
雪兎が驚愕に目を見開いた。
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