置き去りの恋

善奈美

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24 マイペースな二人(雪兎視点)

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 貴羅さんは紫綺さんとおじいちゃんと聖月伯父さんを連れて二階に上がって行った。多分、込み入った話になるから、未成年の僕達と高齢の大叔母さん達に聞かせないためだと思うけど。
 
「まさか、あの莫迦孫の子にまともに育った子供がいたなんて。奇跡ね櫻子さん」
「本当ね、薫子さん」
 
 まともなのかな? 両親の背中を見ないで育ったためだと思うんだけど。
 
「莫迦って分かるくらい莫迦だったの?」
 
 暁、容赦ない。でも、自作プリンを大叔母さん達に出してる。口ではなんだかんだ言っても、優しいんだよね。
 
「アカ。俺達、莫迦部分しか聞いてねぇし、そんなに三人で言うくらい酷いのかよ」
 
 キョウもそれに春名君も不思議顏。僕もそう思ってるし。
 
「莫迦以外の呼び名があるの? 立場のある一族に生まれて、恩恵に肖ろうとするなら、ある程度の我が儘は我慢すべきでしょう?」
 
 正論を言ってきちゃった。大叔母さん達、目を見開いてるし。
 
「俺はそんなのいらないし、面倒事が増えるだけでしょう? 兄さんにしてもシィ兄にしても、分かってるから離れたがったんだし。それに、このまま行ったら確実に負の遺産しか残らないでしょう?」
 
 負の遺産って?
 
「相続ってね、借金も入るの。必ずしも良いことばかりじゃないし、相続税だって掛かるの。面倒ばかりが付いてきて、良いことないでしょう」
 
 キョウと春名君が目を見開いてる。大叔母さん達も。暁、本性出しまくりだね。
 
「本性知らない奴が今のアカを見たら卒倒するんじゃね?」
「猫被ってる相手に見せるわけないでしょう」
「今まで俺にも猫被ってたんじゃないのか?」
 
 春名君が怠そうに訊いてきた。
 
「今更でしょ。俺が怖いとか言っといて、猫被ってるとか言わないでよ。シィ兄に比べれば可愛いもんだろうし」
 
 誰とかって言うより、三兄弟が普通じゃないと思うの。
 
「それより、本当に恋人同士なのかしら」
 
 キラキラ輝いた笑みを向けているのは薫子大叔母さん。
 
「そうよ。私達それを聞いて来たいって無理を言ったんだもの」
 
 こっちは櫻子大叔母さん。
 
「間違いなく恋人だよ」
 
 僕は満面の笑みで言い切った。それを聞いて頭を抱えたのはキョウ。呆れ顔なのが春名君。暁は小さく溜め息。みんなして酷いと思うの。
 
「気になってたのだけど、そのピアス。お揃いなのかしら? 気になるでしょう? 櫻子さん」
「ええ。暁ちゃんと雪兎ちゃんは同じ色のピアスよね?」
 
 お年寄りだけど目敏い。
 
「一対のピアスをお互いに付けてるんだ」
 
 暁が諦めたようにそう言った。お年寄りは大切にしないとね。それに大叔母さん達はひいお婆さんなんだし。
 
「じゃあ、二人もそうなの?」
 
 櫻子大叔母さんが小首を傾げて訊いてきた。
 
「そう。最初に始めたのは貴羅。一番上の兄だよ」
 
 貴羅さんって独占欲が強いみたい。なんて言うか、初めて執着したのがキョウだから。自覚を持った瞬間にピアス付けちゃったんだって。凄いなぁ。
 
「でも、それダイヤよね?」
 
 薫子大叔母さんが疑問を口にした。
 
「兄さんは金銭感覚が破壊的だから」
 
 暁は当たり前と言わんばかりに、隠すこともなく言い切っちゃった。そのやり取りに、更に頭を抱えたのがキョウ。
 
「あら、でも、暁ちゃんのもよね?」
 
 櫻子大叔母さんが更に言い募る。
 
「金銭感覚が破壊的な兄さんが、シィ兄のとんでもない友人に探させたんだ。流石に半泣きだったけど」
 
 五箇さんだよね。僕が会ったときはそんな感じはしなかったけど。
 
「面白いわね。櫻子さん」
「是非、その方に会ってみたいわね、薫子さん」
 
 うん。大叔母さん達、相変わらずマイペース。キョウと春名君は難しい表情のまま。暁は開き直ちゃったみたい。でも、大叔母さん達楽しそうだし良かった。
 
 
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