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32 両親の謎
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暁「訊きたいことがあるんだけど?」
雪「?」
暁「本当なら訊いちゃいけないんだろうけど、気になって」
雪「なに?」
暁「如何して、我妻姓を名乗ってるの?」
雪「戸籍上も我妻だよ」
暁「それも知ってる。でも、如何して?」
雪「お父さんが草壁の名前で見てほしくなくって、お母さんとの結婚が許された時に、そっちの籍に入ったんだって」
暁「でも、就職した後でしょう?」
雪「両親は学生結婚なの」
暁「へ?」
雪「お母さんは草壁家本家に就職していて、お父さんは大学生だったの」
暁「……」
雪「就職活動前にお母さんの方の籍に入って、我妻姓で今の会社の内定をもらったんだって。だから、当初はお父さんが草壁財閥の末弟だって会社側は知らなかったみたい」
暁「今は?」
雪「僕が生まれてすぐにバレちゃったみたいだよ」
暁「如何して?」
雪「伯父さん二人が会社に乗り込んできたんだって。甥っ子が生まれたのに何で知らせないんだって」
暁「……うん、想像出来る」
雪「もう、会社側が大騒ぎだったって」
暁「そうだろうね。なんせ、天下の草壁財閥」
雪「お父さんにしたらいい迷惑で、邪魔するな! って、一喝して追い出したみたいだよ。その後、お母さんと僕を連れて本家には行ったみたいだけど」
暁「でも、未成年でもそれなりの場所に出席していたんじゃないの?」
雪「お父さんが小さい時にお母さんが亡くなって、そのせいなのかお父さんは表に出なかったんだって。だから、世間は存在を知っていても、姿をメディアに見せたことはないみたい」
暁「でもね、あそこの兄弟そっくりじゃない?」
雪「確かに似てるよね。でも、分からなかったみたい。でね、大騒ぎになって、おじいちゃんがお父さんの就職先の社長さんと話したんだって。仕事が出来なければ切り捨てて構わない。うちはそう言う家風だって」
暁「……納得の答え」
雪「そう?」
暁「未成年の俺を容赦なく試したでしょう? 多分、何も感じてなかったらそのまま切り捨てたんだと思う」
雪「そんなことしたら、僕がおじいちゃん達から離れるもん!」
暁「……そうなったら、俺は雪兎にも切り捨ててもらって構わなかった。親戚付き合いは大切でしょう? 俺には分からないけど」
雪「……暁」
暁「言ったでしょう? 諦めることには慣れてるって」
雪「そんなことに慣れたら駄目!」
暁「駄目、って言っても、今までそう生きてきたし」
雪「今からその考えは改めて! 暁は僕の大切な人なんだから! おじいちゃんだろうと伯父さん伯母さんだろうと、口出しはさせないもん!」
暁「……」
雪「だから、暁の場所は僕の隣!」
雪「?」
暁「本当なら訊いちゃいけないんだろうけど、気になって」
雪「なに?」
暁「如何して、我妻姓を名乗ってるの?」
雪「戸籍上も我妻だよ」
暁「それも知ってる。でも、如何して?」
雪「お父さんが草壁の名前で見てほしくなくって、お母さんとの結婚が許された時に、そっちの籍に入ったんだって」
暁「でも、就職した後でしょう?」
雪「両親は学生結婚なの」
暁「へ?」
雪「お母さんは草壁家本家に就職していて、お父さんは大学生だったの」
暁「……」
雪「就職活動前にお母さんの方の籍に入って、我妻姓で今の会社の内定をもらったんだって。だから、当初はお父さんが草壁財閥の末弟だって会社側は知らなかったみたい」
暁「今は?」
雪「僕が生まれてすぐにバレちゃったみたいだよ」
暁「如何して?」
雪「伯父さん二人が会社に乗り込んできたんだって。甥っ子が生まれたのに何で知らせないんだって」
暁「……うん、想像出来る」
雪「もう、会社側が大騒ぎだったって」
暁「そうだろうね。なんせ、天下の草壁財閥」
雪「お父さんにしたらいい迷惑で、邪魔するな! って、一喝して追い出したみたいだよ。その後、お母さんと僕を連れて本家には行ったみたいだけど」
暁「でも、未成年でもそれなりの場所に出席していたんじゃないの?」
雪「お父さんが小さい時にお母さんが亡くなって、そのせいなのかお父さんは表に出なかったんだって。だから、世間は存在を知っていても、姿をメディアに見せたことはないみたい」
暁「でもね、あそこの兄弟そっくりじゃない?」
雪「確かに似てるよね。でも、分からなかったみたい。でね、大騒ぎになって、おじいちゃんがお父さんの就職先の社長さんと話したんだって。仕事が出来なければ切り捨てて構わない。うちはそう言う家風だって」
暁「……納得の答え」
雪「そう?」
暁「未成年の俺を容赦なく試したでしょう? 多分、何も感じてなかったらそのまま切り捨てたんだと思う」
雪「そんなことしたら、僕がおじいちゃん達から離れるもん!」
暁「……そうなったら、俺は雪兎にも切り捨ててもらって構わなかった。親戚付き合いは大切でしょう? 俺には分からないけど」
雪「……暁」
暁「言ったでしょう? 諦めることには慣れてるって」
雪「そんなことに慣れたら駄目!」
暁「駄目、って言っても、今までそう生きてきたし」
雪「今からその考えは改めて! 暁は僕の大切な人なんだから! おじいちゃんだろうと伯父さん伯母さんだろうと、口出しはさせないもん!」
暁「……」
雪「だから、暁の場所は僕の隣!」
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