192 / 289
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
192 交差
セイトと風紀委員長のことも気になるけど、それ以上に副会長のことが気になった。オレの魔力を込めたペンダントを渡して、夜明け前、三人で送り出した。軽い調子で、でも、かなりの装備で出掛けて行った副会長。信用はしてるし、帰ってくるって自信はあっても、それが本当の意味で無事かははっきり言って分からない。
あの日からユエは無口で、それを心配したセイトが特Aのクラスに入り浸ってる。本来なら普通クラスの生徒が入るのは御法度だけど、セイトは本来、特Aに移るはずだったから、見て見ぬ振りをされてる。
「三日経ったんだけど」
ルイに聞こえるくらいの声で、ボソリと呟いてみた。
「まだ、三日だよ。ドラゴンは納得しないと倒されてくれない」
は?! 今、おかしなことを言わなかったか?
「どう言うことだよ?」
「私の知識から学んでない? ドラゴンは魔法使い程度の攻撃力では倒れないよ。それに、魔法のスペシャリストだ。属性があるから、得意な魔法は決まってるけどね」
「それじゃあ……」
「ライカが向かった先にいるドラゴンは齢三千歳。かなりの高齢だよ。その辺にいる魔法使いなど足元にも及ばない経験と知識を持ってる。動きの鈍さは硬い皮膚と、魔法防御力が補ってくれる」
「そんな物が必要なのかよ」
「私達はあの人が開けた大穴を実際見てないからね。魔法大臣が危惧するくらいの大きさと、おそらくだけど、妖魔界側の繋がっている場所に問題があるんだと思うよ」
「あいつ、妖魔界のどこに穴開けたんだよ」
本当にどこまでいっても影響してくる。
「自分が認められていた場所、だろうね。そう考えると、力が全ての世界で妖魔を従えるほどの実力を持っていたなら、強い妖魔が住む地域に開けた可能性が高いよ」
溜め息しか出ねぇよ。本当に厄介者だよな! ……でも、元はと言えばあいつのせいってより、卵の魔法使いの好奇心のせいだよな。実験さえされなきゃ、魔力は強かったにしても、人格を破壊されるようなことにはならなかった。
「なにを考えてるのか分かるけどね」
ルイがポツリと呟く。
「確かに最初、あの人には非がなかったのかもしれない。でも、誕生した後に取った行動はあの人本人の責任だよ。魔力に人格が破壊されてくに任せたのは自分自身のせいなんだから」
ルイのどこか冷たい言葉に視線を向ける。
「私にしたら、自由に生きたあの人はある種の羨望に値するよ。確かに私はあの人と違って管理されたし、そのおかげで、私の持つ魔力が危険なんだって分かった。でもね。私自身が努力した部分もあるんだよ。結局は、本人が自覚しないと避けることもできない。癇癪を起こして逃げ出すことも実は可能だったしね」
感情を育てることを阻止されてたし、だからと言って感情がないってわけじゃねぇし。ルイがあの環境を受け入れていたから、何事もなかったんだ。ルイは努力してた。学校に上がる年齢に達して、いきなり変わった環境。それを受け入れる努力をしたのはルイだ。確かに副会長や書記や会計。風紀委員長と副委員長は協力してくれただろうけど。それはあくまで協力であって、本人の意識で全てが変わってく。
「あの人が取った行動で、多くの魔法使いが犠牲になって。魔法使いだけじゃなく、妖精にしても精霊にしても振り回されたんだ。この世界も大きな傷を負って。結局のところ、切っ掛けと、そのあとの人の有り様で全てが決まってく。サクヤのご先祖様が事前に手を打ってくれたことも。なにより、その言葉を信じた学友達も。本当なら誰よりも辛い立場だったかもしれない私達の杖を作った魔法使いも。今を構成する上で、必要不可欠だったんだよ」
それは分かってるけど。
「本来なら、私とサクヤの人生が交わることはなかったのかもしれないからね」
ルイの言葉にオレは息を呑んだ。
あの日からユエは無口で、それを心配したセイトが特Aのクラスに入り浸ってる。本来なら普通クラスの生徒が入るのは御法度だけど、セイトは本来、特Aに移るはずだったから、見て見ぬ振りをされてる。
「三日経ったんだけど」
ルイに聞こえるくらいの声で、ボソリと呟いてみた。
「まだ、三日だよ。ドラゴンは納得しないと倒されてくれない」
は?! 今、おかしなことを言わなかったか?
「どう言うことだよ?」
「私の知識から学んでない? ドラゴンは魔法使い程度の攻撃力では倒れないよ。それに、魔法のスペシャリストだ。属性があるから、得意な魔法は決まってるけどね」
「それじゃあ……」
「ライカが向かった先にいるドラゴンは齢三千歳。かなりの高齢だよ。その辺にいる魔法使いなど足元にも及ばない経験と知識を持ってる。動きの鈍さは硬い皮膚と、魔法防御力が補ってくれる」
「そんな物が必要なのかよ」
「私達はあの人が開けた大穴を実際見てないからね。魔法大臣が危惧するくらいの大きさと、おそらくだけど、妖魔界側の繋がっている場所に問題があるんだと思うよ」
「あいつ、妖魔界のどこに穴開けたんだよ」
本当にどこまでいっても影響してくる。
「自分が認められていた場所、だろうね。そう考えると、力が全ての世界で妖魔を従えるほどの実力を持っていたなら、強い妖魔が住む地域に開けた可能性が高いよ」
溜め息しか出ねぇよ。本当に厄介者だよな! ……でも、元はと言えばあいつのせいってより、卵の魔法使いの好奇心のせいだよな。実験さえされなきゃ、魔力は強かったにしても、人格を破壊されるようなことにはならなかった。
「なにを考えてるのか分かるけどね」
ルイがポツリと呟く。
「確かに最初、あの人には非がなかったのかもしれない。でも、誕生した後に取った行動はあの人本人の責任だよ。魔力に人格が破壊されてくに任せたのは自分自身のせいなんだから」
ルイのどこか冷たい言葉に視線を向ける。
「私にしたら、自由に生きたあの人はある種の羨望に値するよ。確かに私はあの人と違って管理されたし、そのおかげで、私の持つ魔力が危険なんだって分かった。でもね。私自身が努力した部分もあるんだよ。結局は、本人が自覚しないと避けることもできない。癇癪を起こして逃げ出すことも実は可能だったしね」
感情を育てることを阻止されてたし、だからと言って感情がないってわけじゃねぇし。ルイがあの環境を受け入れていたから、何事もなかったんだ。ルイは努力してた。学校に上がる年齢に達して、いきなり変わった環境。それを受け入れる努力をしたのはルイだ。確かに副会長や書記や会計。風紀委員長と副委員長は協力してくれただろうけど。それはあくまで協力であって、本人の意識で全てが変わってく。
「あの人が取った行動で、多くの魔法使いが犠牲になって。魔法使いだけじゃなく、妖精にしても精霊にしても振り回されたんだ。この世界も大きな傷を負って。結局のところ、切っ掛けと、そのあとの人の有り様で全てが決まってく。サクヤのご先祖様が事前に手を打ってくれたことも。なにより、その言葉を信じた学友達も。本当なら誰よりも辛い立場だったかもしれない私達の杖を作った魔法使いも。今を構成する上で、必要不可欠だったんだよ」
それは分かってるけど。
「本来なら、私とサクヤの人生が交わることはなかったのかもしれないからね」
ルイの言葉にオレは息を呑んだ。
あなたにおすすめの小説
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-
Keitetsu003
恋愛
終わりが失恋だとしても、彼らは愛し続けるだろう。愚かなまでに……。
不良の楽園と呼ばれる町、青島で『不良狩り』と呼ばれる風紀委員がいた。
その名は、藤堂正道。
不良達の起こす理不尽な行動が許せなくて、今日も自分の信念に基づいて不良と真っ向からぶつかっていた。
そんな正道の前に、青島高等学校最大の問題児があらわれる。
予想もしなかった、予測すらできなかった問題児に、正道はどう立ち向かっていくのか。
*この物語は様々な恋愛がテーマとなっています。
第一部……ハーレム
第三部……同性愛
第四部……失恋
番外編……友情
第五部~……家族愛
『アルファポリス』様のサイトで番外編『藤堂正道のおしゃべり』を投稿しています。もし、よろしければ読んでみてください。
『カクヨム』様『ネオページ』様で投稿しています。
尚、『第七部 俺達の家族 -団結編-』の『兄さんなんて大嫌いです! 藤堂正道SIDE』はカクヨム様のみ投稿していますので、そちらもぜひ寄ってみてください。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
Ωの庭園
にん
BL
森 悠人(もり ゆうと)二十三歳。
第二性は、Ω(オメガ)。
施設の前に捨てられ、
孤独と共に生きてきた青年。
十八歳から、
Ω専用の風俗で働くしか、
生きる道はなかった。
それでも悠人は、
心の中にひとつの場所を思い描いている。
誰にも傷つけられない、
静かな庭園を。
これは、
そんな青年の物語。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。