銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
282 / 286
銀の鳥籠Ⅱ マシロ&アサギ編

017 伝え続けた真実

しおりを挟む
 程なくして姿を現したクレハさんとクチバさん。クレハさんは黒髪青瞳、白い肌。長身で父さんとは違う綺麗さ。クチバさんは黒髪に深い茶の瞳、白い肌。綺麗な顔なんだけど渋い感じ。普段、饒舌じゃない。だから、シロガネさんがクチバさんの分まで姦しい。
 
「どうして、錬金術師の話になっているんだ?」
 
 クレハさんが、何を言ってる、的な感じで問い掛けてきた。俺的には平和な学生生活が望みだよ。アサギとのんびりしたいよ。卒業後の事を考えると、学生らしく授業を受けて、幼馴染み達と馬鹿騒ぎしたい。
 
「錬金術師の話を持ち出したのはスオウだよ」
「スオウ?」
 
 俺は肩にいるカーバンクルを持ち上げて、二人に掲げた。ほら、また、俺の髪に隠れちゃうし。俺の髪って癖毛だから、スオウに鳥の巣状態にされるんだよ。
 
「カーバンクルか……」
 
 それに驚いた表情を見せたのはクチバさんだ。
 
「このカーバンクルは何処のだ?」
「何処のって。この額の石を持ってきたのはライカさんだから」
「つまり?」
「額の石の姿で渡されたんだ。ライカさん的にはただの石で、少し生体反応があるけど火の気配があるから。アサギに加工してもらえって」
 
 クチバさんは右手で顔を覆った。
 
「どうしたんだ?」
 
 クレハさんだけじゃなく、カエデさんとシロガネさんも困惑顔だ。
 
「クレハはどんな話が伝わってる?」
「ある一族の少年で、欲望のままにマナを使い、何でも、化け物を作り出したとか」
「それだけか?」
「それだけだ。俺も話を聞いた時に少年とは誰なのかを訊いたが、その部分は失われたと言われからな」
 
 ここでマナの話が出てくるのか。クチバさんがカーバンクルを見て驚いたって事は、此奴等も何かしら関係があるのか。そんな事を考えていたら、持ち上げていたスオウが若干暴れた。手を離したら、また、肩の上に戻ってくる。
 
「そう言うクチバは?」
「幻獣、カーバンクルの巣だ」
 
 クチバさん。その言い方だと、理解するのは難しいんだけど。
 
「何処かは正確には分からん。ただ、その場所はカーバンクルがいて、全ての属性のカーバンクルがいるらしい」
「全ての属性?!」
 
 嘘だろう。カーバンクルってガーネットで地属性が通説じゃん。でも、スオウもヒイロも火属性だもんな。
 
「じゃあさ。四人の話を合わせると、絶海の孤島にある洞窟に、ある一族の少年がマナを利用して世界樹を枯らせて幽閉された。その特徴は全属性のカーバンクルがいる島って事だよな」
 
 世界樹を枯らせた、で四人は目を見開く。うん、四人とも見目麗しい。ライカさんは多分、普通に採集の旅に出ていて、引き寄せられたって事だと思う。そして、此奴等の額の石を採集し、俺とアサギに渡した。本人の意思じゃなく、何かの意思に操られたんだ。
 
「そのカーバンクルは火属性だな」
 
 クチバさんの問いに俺とアサギは頷いた。
 
「今、父さん達が別口で調べてる。ちょっと、精霊王に爆弾投下されたし」
「爆弾?」
「うん。あの場所、元々、世界樹があった場所みたいで」
 
 更に四人の顔が驚愕に彩られてる。
 
「今、俺達がいる世界に世界樹がないのはそのせいか」
 
 クチバさんが納得したように頷く。
 
「ルイとサクヤが精霊王に会っている事から考えて別次元にあって、マナだけを供給している形になってるのか」
 
 クレハさんも呟いて小さく頷いてる。
 
「たださ。精霊王が下手したら、元の場所に転移されるかもって言ってたからさ」
「それは大変な事態じゃないの?!!」
 
 シロガネさんが絶叫した。そう、大変なんだけど、あくまでもしも、の話なんだよ。俺を襲って来たあの禍々しい刃と矢。何より、生徒を利用してる。そして、父さん達が最初、アサギの中の記憶から引っ張り出した影を元教師って言ってるんだよ。
 
「何がどうなってる?」
「最初は俺とアサギを引き離そうとしてた」
 
 人間って驚くとこんな表情するんだな。四人して綺麗な顔で無表情はやめてほしい。
 
「それと、その、幽閉された少年? アサギの祖先みたいだ」
 
 四人は俺の言葉に深い溜め息を吐いて脱力した。
 
「一族に伝わっていた話は事実だったのか……」
「問題はその話が魔法大臣に伝わってるかだよ」
 
 クレハさんとカエデさんがそんな事を口にする。魔法大臣には父さんが訊きに行ってる。
 
「鍵付きの結界を利用した話は伝わってないの?」
 
 俺の問いに四人は顔を見合わせ、緩く首を振った。
 
「時代的にそれはない。鍵の魔法使いが現れたのは、もっと後になってからだ。それまで、結界に鍵を掛ける必要を感じていなかったんだろう」
 
 クチバさんはそう答えてくれた。でも、後から掛ける事も可能だっただろう?
 
「大昔の話だ。忘れ去られ、手を打ってなかった可能性の方が大きい」
 
 更なる爆弾をクレハさんが投下した。俺はがっくりと肩を落とす。まさかの不手際で俺とアサギが窮地に立ってるのかよ。いい加減にしてくれよ。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

孤独な蝶は仮面を被る

緋影 ナヅキ
BL
   とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。  全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。  さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。  彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。  あの日、例の不思議な転入生が来るまでは… ーーーーーーーーー  作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。  学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。  所々シリアス&コメディ(?)風味有り *表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい *多少内容を修正しました。2023/07/05 *お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25 *エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【本編完結】水曜日の迷いごと

咲月千日月
BL
人知れず…心に抱えているもの、ありますか? 【 准教授(弁護士) × 法科大学院生 】 純粋で不器用なゆえに生き辛さを感じている二人の、主人公目線からの等身大ピュア系ラブストーリーです。  *現代が舞台ですが、もちろんフィクションです。  *性的表現過多の回には※マークがついています。

処理中です...