銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅱ マシロ&アサギ編

021 暴走

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 俺とアサギは寮の部屋に戻って来た。父さんがとりあえず帰るように言ったんだ。でも、その時、何かを含むような言い方だった。
 
「マシロ……」
 
 アサギが俺を呼んだ。何かと振り返る。今日は休みだったし、門限ギリギリに帰って来た。だから、夕食もお店で食べて来たんだ。
 
「こんな事になるなんて思わなかった」
 
 アサギは基本、のんびりだからな。自分が狙らわれているとは考えてなかったんだろう。大抵、俺の一族の方が狙われるからな。
 
「問題は学校にいて問題ないか、だよな」
「え?」
「多分、父さんは俺達を一時的に学校から離すと思う」
 
 もし、結界が間違いなく修復するなら問題ない。でも、クチバさんが言っていたように結界魔法が弾かれた場合、俺ってよりアサギが危険。もし、仮定が本当ならアサギは利用される。その前に、父さん達は手を打つだろうけど。
 
「……そんなに深刻」
「深刻だよ。今はユグドラシルの種がアサギを覆い隠してる。そんなものは気休めでしかない」
 
 血筋を辿るなら、父さんの例もある。母さんが父さんの意識化に潜って初めて知った事実だ。もし、そこまで深いレベルの問題なら軽く考えるのは間違えている。
 
 二人で話しているとドアをノックする音が響いた。まだ、寝る時間でないにしても、この時間に部屋を訪れるのはおかしい。幼馴染み達もそこの分別はある。それに、嫌な予感がする。俺はアサギを背後に庇う。そして、杖を出した。
 
「誰だ?」
 
 俺が警戒心も露わに扉に問い掛けた。すると、扉がゆっくりと開かれた。そこにいたのは黒い影。見えるのは割れた口元。不気味な笑みを浮かべてる。
 
『やっと出られた。感謝してる。あの、魔力は僕の望みを叶えてくれた。例え、完全ではないにしても。でも……』
 
 笑みを浮かべていた口元が怒りの表情を映し出す。
 
『その器を寄越せ!』
 
 急に来た威圧。息苦しさに足の力が抜ける。その時、肩の上にいたカーバンクルが俺達の前に飛び出し、逆毛を立て威嚇した。
 
『僕がお前達の力を吸収したのを忘れたの?』
 
 俺は目を見開いた。今ので間違いない。カーバンクルが住む島に目の前の影はいたんだ。でも、目の前の存在は分かっていない。確かにスオウとヒイロは魔力を奪われた。でも、今は俺とアサギの使い魔だ。使い魔は主人となる魔法使いの能力を継ぐ。しかも、二匹は俺達の魔力で今の姿に戻った。多分、二匹の質そのものが前とは違う。
 
 スオウは額の石に力を集める。そして、俺の中のユグドラシルの種がスオウに呼応してる。スオウを中心に力が濃縮し、影に向かって放たれる。
 
 うん。これはまずい。建物が絶対破壊される。そんな事は御構い無しにスオウは容赦なく攻撃をしている。何かを薙ぎ倒す爆音。何かって、壁を容赦なく破壊してるんだけど。あー……、弁償しないと。魔法で修復出来ても耐久性までは元に戻らない。
 
『……必……ず………』
 
 影はその声を残し霧散する。俺は消えた事を確認すると体から力が抜けた。待て。確か、あの部屋はリッカさんが結界魔法を使った筈だ。本体でないにしても、影を送り出してるし言葉も発した。
 
 スオウとヒイロと言えば、俺に熱い視線を送ってる。つまり、褒めてもらいたいんだろうけど。これ、褒めていいのか?
 
 アサギと視線を向けた先。あんな場所に窓はなかったし扉があったし。しかも、その先は本来、アサギが使う筈だった生徒会副会長の寮の部屋。その部屋をぶち抜き、その向こうにある景色が見えてる。
 
「これ、どうしよう?」
 
 いや、とりあえず、魔法で元に戻すよ。そして、弁償するよ。これ、少しの間、別の部屋を使うしかないし。
 
 爆音が響き渡ったせいか、アサイ先生が飛び込んで来た。どうして、アサイ先生? 中等部の特Aの担任は?
 
「お前か?」
「違う。カーバンクルが吹き飛ばした」
 
 俺の説明にアサイ先生は目を見開く。信じてもらえないよな。風通り良くなったし。
 
「どうしてこうなった?!」
「変な影がアサギを奪おうとして、カーバンクルが俺の魔力で吹き飛ばしちゃったから」
 
 説明は間違えていない。それより、父さんに知らせないと。リッカさんの結界が全く役に立ってない。古代語で魔法を紡ぎ、杖を振って壁を修復した。そのままだと都合が悪いから。
 
「言っとくが、魔法で修復しても……」
「分かってる。後で請求して。それで、俺とアサギは少しの間、学校を離れるから」
「はあ?!」
「このままだと、スオウが学校から寮まで破壊しまくりそう」
 
 まず、クレナイとベニ、キンとギンに魔力の扱いを教わってもらわないと。多分、このままだと都合が悪い。守ってもらって破壊してたら意味ない。
 
「それと、鍵の魔法使いの結界魔法が全く通用してないし。このままアサギを学校に置いておくのは危険。だから、厳重に守られてる俺の自宅に行くよ」
 
 俺の物言いにアサイ先生は目を見開いた。そうだよな。一応、説明は受けてるんだろうけど、まさか、鍵の魔法使いの結界魔法をものともしないなんて。頭が痛い。
 
 
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感想 1

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みんなの感想(1件)

くくるっく
2023.04.25 くくるっく

魔法使いのいる世界、大好きです。卵から孵化はかなりビックリしましたが、数日で一気読みしました。
続きも楽しみにしています。

2023.04.25 善奈美

閲覧ありがとうございます。
実はこのお話は、ブログ機能で読んでくださってる方の意見を取り入れつつ書いたものでした。
卵は完全に私の趣味と勢いの産物ですが、楽しんでいただけて嬉しいです。
もう少し続く予定ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

解除

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