銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
285 / 286
銀の鳥籠Ⅱ マシロ&アサギ編

020 今後の予定は?

しおりを挟む
 父さんは天を仰いだ。目を瞑って、必死に整理してるみたいだ。
 
「整理しようか」
 
 父さんの言葉にみんなが頷く。
 
「今回の発端は」
「アサギが変な噂を耳にしたんだ。俺にアサギじゃない別の相手が現れたって」
 
 今考えてもムカムカするけど。俺とアサギの繋がりは、生まれる前からだから。何せ同じ日の同じ時間帯に卵が作られて、卵から孵化したのも同じ日だ。しかも、俺の魔力は破壊の魔力寄り。アサギは破壊の魔力よりも癒しの魔力が多いって言う、まさに俺の為に生まれてきた存在だ。勿論、器も申し分ないし、気持ちもしっかり育ててる。
 
「そう。そして、精霊と妖精が異常に騒いでいて、よくよく話を聞けばマシロ達が危ないと。それでライカと寮の部屋に向かったんだよ」
 
 つまり、精霊と妖精は何か不穏なものを感知したって事だよな。その情報をユグドラシルにしっかり知らせていたから、ユグドラシルはアサギに俺の中の種を移動させたんだ。
 
「精霊王が魔法学校の結界に綻びがあると教えてくれた。そうしたら、本当に綻びが存在していた」
「つまり、今回の一連の騒動は」
「マシロが立てた仮定が正しければ、間違いなくライカの一族が狙われてる。問題はその錬金術師の身体がどうなったのか? 本当に私の魔力を利用していたのか? もししていたら……」
「幽閉場所の魔法を破壊したのはルイの魔力という事になる」
 
 クレハさんが冷静に父さんに告げた。
 
「そうなるね。でも、元教師もだけどその錬金術師も考え及ばない状況になったんだよ」
「どういう事?」
「私は途中で正気に戻って、魔力の半分をそのまま教師の中に注いだんだよ。だから、あちらの世界に旅立ったんだからね」
 
 でも、半分の魔力は何かに使われたんだろう?
 
「もし、本当に血筋に連なる子孫を利用しようとしていたら大問題だよ」
 
 父さんは辛そうに顔を歪めた。だって、父さんは当事者だったんだ。あの人の血筋に連なる子孫で、遺伝情報が似ていたから干渉された。これは魔法使いの間では有名なんだ。多分、魔法大臣が同じ事が起こらないよう、敢えて、広めたんだと思う。
 
「島を調べる必要があるな」
 
 クチバさんがそんな事を口にした。どうしてだ?
 
「結界魔法が弾かれる場合、考えられるのは一つしかない。それは、道となり媒介となる物が錬金術師の手元にあるという事だ。その媒介が何かは分からないが、破壊しない限り魔法学校の結界は完全なものとならないだろう」
「弾かれなければ?」
 
 クレハさんがクチバさんに問い掛ける。
 
「その場合は問題ないと思うが、その場合でも見つけ出して破壊する方が安全だろう」
 
 うん。みんな頭が良いんだな。流石、強い魔力を持つ魔法使い。未だに魔法省からスカウトが来るくらい能力が高いからな。でも、悉く蹴り倒してるみたいだけど。
 
「禁書庫内にもしかしたら記録があるかもしれない。少し探してみるよ」
「あの膨大な書籍を調べるのか?」
 
 父さんの言葉に反論したのはクレハさん。でも、父さんの事だから、引っ越しした時に何があるのか把握してると思う。母さん曰く、頭の中がどうなってるのか見てみたいくらい、普通の頭脳じゃないから。
 
「一通りは把握してるよ。大雑把にだけどね」
「前から思っていたが、お前の頭はどうなってるんだ? 魔力が特殊なのは認めるが、それに負けないだけの知識をしまっておける記憶力は尋常じゃない」
 
 クレハさん、みんなが思ってる事を父さんにスッパリ言った。父さんはと言えば、少し目を見開いてる。まるで、初めて言われたみたいな表情。でも、母さんには何時も言われてたと思う。かち割って見てみたいって。確か、知識を共有する魔法を使ったって言ってたけど、母さんの場合、魔力が勝手に防御していて影響が薄いんだろうな。
 
「不思議な事ではないと思うけど」
「少なくとも、俺には無理だ」
 
 クレハさんはそんな能力はないときっぱり言い切る。うん。俺にもないと思う。
 
「酷い言い様だね。仕方ないでしょう? 魔力に合わせて必死で身につけた能力なんだからね」
「マシロはどうしたんだ? 同じ能力を持っているだろう?」
「ああ。私が魔力の能力を制限したからね。マシロは初等部に入ってから収集するようにコントロールしたんだよ」
 
 へ? そうだったの?! 全然気が付かなかった。それを聞いたみんなの表情がなんとも言えない。父さんって普通は出来ない事を簡単にしてのける。
 
「私は幼少期、大変な目にあったんだよ。感情を抑制されるし、その後、その感情を覚えなさいと言われるし。自然に身につけたものじゃないから、サクヤと会うまでは本当に大変だったんだよ。そんな思いを息子にさせるわけないでしょう?」
 
 今初めて知ったけど、父さんには感謝しないと駄目みたいだ。多分、妹も今は父さんに魔力の能力を制限されてんだろうな。ああ言うって事はかなり大変だったんだろうし。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

孤独な蝶は仮面を被る

緋影 ナヅキ
BL
   とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。  全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。  さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。  彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。  あの日、例の不思議な転入生が来るまでは… ーーーーーーーーー  作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。  学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。  所々シリアス&コメディ(?)風味有り *表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい *多少内容を修正しました。2023/07/05 *お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25 *エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【本編完結】水曜日の迷いごと

咲月千日月
BL
人知れず…心に抱えているもの、ありますか? 【 准教授(弁護士) × 法科大学院生 】 純粋で不器用なゆえに生き辛さを感じている二人の、主人公目線からの等身大ピュア系ラブストーリーです。  *現代が舞台ですが、もちろんフィクションです。  *性的表現過多の回には※マークがついています。

処理中です...