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銀の鳥籠Ⅱ マシロ&アサギ編
019 目的は?
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「アサギ」
「何?」
俺はアサギに体ごと視線を向けた。アサギはこう言った。今は錬金術師とは呼ばれない。それは、何かを制限し、何かを封じたからだ。
「アサギの一族で何か禁止された技術とかある?」
「え?」
「少なくとも昔は錬金術師って呼ばれる祖先が居たんだよな?」
アサギは少し逡巡した。言うべきか悩んでるんだ。
「……いた、って父さんは言ってた。それで、忘れるなって」
「何を忘れるなってライカは言っていたの?」
父さんもアサギに問い掛ける。採集の一族。今ではそう呼ばれているアサギの一族。
「生体に関する魔法は絶対に使うなって」
俺と父さんは互いに顔を見合わせた。
「言われた時は分からなかったし、父さんも詳しい話はもう少し大人になってから話すからって」
生体って事は確実にキメラとか作ってたんだ。魔獣や動物を組み合わせて。今でもそんな実験をしている魔法使いはいる。いるけど、大抵は要注意人物扱いだ。そのうち、動物だけではなく人間を使った実験を始める。魔法使いは好奇心の塊だ。
「参った。これが本当の話なら、あの人なんて可愛いよ。あの人は実験されたから狂ったんだ。ある意味、被害者だしね」
父さんは脱力したように机に右手をついて左手で額を覆った。
「そうなると、二人を引き離そうとした理由が分からないだろう?」
クレハさんが腕を組んで父さんに疑問を投げ付けた。そうだ。どうして俺達を引き離そうとしたんだろう?
「仮定の話になるけど、おそらく、その錬金術師はまだ生きてる。何らかの生体実験を自分の体でおこなったんだよ。でも、あの人より昔の話なら、絶対に不具合が出てきてる。幽閉されていたにも関わらず、二人に接触してきたのは、魔法学校が鍵の魔法使いの結界が張られる前にあの鏡を利用してたからだよ。だから、何かしらの魔法で保護してたんだと思う」
父さんは一度、言葉を切った。そして、アサギに視線を向ける。
「マシロが目的じゃない。おそらく、アサギの体が欲しいんだよ。まだ、成人前で、思い通りに出来ると考えてる」
アサギは目を見開いて、両手を固く握り締めた。でも、今、アサギの体にはユグドラシルの種がある。簡単には利用されないし、利用させるわけにもいかない。
「マナを利用したいのは本音だろうけど、錬金術師にとって緊急なのは体だと思う」
「それは?」
クチバさんも眉間に皺を寄せ唸るように先を促した。
「ライカに詳しく訊かないと分からないけど、幽閉する事で終わらせたんだよ。魔力が拾ってくる知識に魂を器から器に移し替える禁呪がある。普通なら器を替えれば、移った体の能力で魔力の量も変わるからありえないんだけど」
「つまり、大量のマナの摂取は?」
クレハさんは父さんに更に先を促す。
「自分の体から複製を作って、魂を複製の体に移し替える。ただ、この場合、元となる体が必要だよ。オリジナルの体が既にないなら、自分に近い若い体を利用しようとする。既に二人に目を付けて、別れさせようとしていたから、確実に幽閉は解けてるんだと思う」
アサギには弟が一人いる。でも、まだ、学校に上がる前の幼い体だ。そう言う俺にも妹がいるけど。子供では都合が悪いけど、成人されるのも都合が悪い。言い換えるなら、アサギがこの年になるまで待ってたって事だよな?
「ルイの話が間違えないとするなら、その鏡に鍵の魔法使いの結界魔法が効かない可能性もあるんじゃないのか?」
クチバさんが口を挟んできた。意味が分からないんだけど。
「その錬金術師の少年が魔法学校に通っていたのが、鍵の魔法使いの結界が張られる前だ。そして、その後、少年は幽閉された。幽閉された後、結界を張ったにも関わらず、鏡はこの時代まで結界の影響を受けずいた事になる」
確かにその通りだけど。後、もう一つ気になるのが、父さん達が最初、影を見て元教師って言ったんだよ。その元教師が引っかかるんだよな。
「そう言えば、父さんの魔力を利用しようとして、元教師が旅立ったんだよな?」
「いきなりどうしたの? 今は必要ない話じゃない?」
「気になるんだ。だってさ、最初に見えたのはその元教師だろう? 突飛ない話かもしれないけど、もし、父さんの魔力を利用してしようとしてたのが、今回の伏線だったら? もしかしたらアサギじゃなくて、最初はライカさんが狙われてたって仮定も成り立つんじゃないかって」
みんなが息を飲んだのが分かった。少しずつ侵食するようにその手を伸ばしていたとしたら。昨日今日の話じゃない事になる。今まで静かにしていたのはライカさんが成人したからだ。必要なのは子供以上成人未満の体なんだから。
「もしかしたら、父さん達が学生の時代から、其奴はアサギの一族を手に入れようとしてたって事だろう。そう考えたら繋がるような気がするし」
これって確実に、学生している場合じゃない気がしてきた。何せ、アサギが狙われてるんだから。
「何?」
俺はアサギに体ごと視線を向けた。アサギはこう言った。今は錬金術師とは呼ばれない。それは、何かを制限し、何かを封じたからだ。
「アサギの一族で何か禁止された技術とかある?」
「え?」
「少なくとも昔は錬金術師って呼ばれる祖先が居たんだよな?」
アサギは少し逡巡した。言うべきか悩んでるんだ。
「……いた、って父さんは言ってた。それで、忘れるなって」
「何を忘れるなってライカは言っていたの?」
父さんもアサギに問い掛ける。採集の一族。今ではそう呼ばれているアサギの一族。
「生体に関する魔法は絶対に使うなって」
俺と父さんは互いに顔を見合わせた。
「言われた時は分からなかったし、父さんも詳しい話はもう少し大人になってから話すからって」
生体って事は確実にキメラとか作ってたんだ。魔獣や動物を組み合わせて。今でもそんな実験をしている魔法使いはいる。いるけど、大抵は要注意人物扱いだ。そのうち、動物だけではなく人間を使った実験を始める。魔法使いは好奇心の塊だ。
「参った。これが本当の話なら、あの人なんて可愛いよ。あの人は実験されたから狂ったんだ。ある意味、被害者だしね」
父さんは脱力したように机に右手をついて左手で額を覆った。
「そうなると、二人を引き離そうとした理由が分からないだろう?」
クレハさんが腕を組んで父さんに疑問を投げ付けた。そうだ。どうして俺達を引き離そうとしたんだろう?
「仮定の話になるけど、おそらく、その錬金術師はまだ生きてる。何らかの生体実験を自分の体でおこなったんだよ。でも、あの人より昔の話なら、絶対に不具合が出てきてる。幽閉されていたにも関わらず、二人に接触してきたのは、魔法学校が鍵の魔法使いの結界が張られる前にあの鏡を利用してたからだよ。だから、何かしらの魔法で保護してたんだと思う」
父さんは一度、言葉を切った。そして、アサギに視線を向ける。
「マシロが目的じゃない。おそらく、アサギの体が欲しいんだよ。まだ、成人前で、思い通りに出来ると考えてる」
アサギは目を見開いて、両手を固く握り締めた。でも、今、アサギの体にはユグドラシルの種がある。簡単には利用されないし、利用させるわけにもいかない。
「マナを利用したいのは本音だろうけど、錬金術師にとって緊急なのは体だと思う」
「それは?」
クチバさんも眉間に皺を寄せ唸るように先を促した。
「ライカに詳しく訊かないと分からないけど、幽閉する事で終わらせたんだよ。魔力が拾ってくる知識に魂を器から器に移し替える禁呪がある。普通なら器を替えれば、移った体の能力で魔力の量も変わるからありえないんだけど」
「つまり、大量のマナの摂取は?」
クレハさんは父さんに更に先を促す。
「自分の体から複製を作って、魂を複製の体に移し替える。ただ、この場合、元となる体が必要だよ。オリジナルの体が既にないなら、自分に近い若い体を利用しようとする。既に二人に目を付けて、別れさせようとしていたから、確実に幽閉は解けてるんだと思う」
アサギには弟が一人いる。でも、まだ、学校に上がる前の幼い体だ。そう言う俺にも妹がいるけど。子供では都合が悪いけど、成人されるのも都合が悪い。言い換えるなら、アサギがこの年になるまで待ってたって事だよな?
「ルイの話が間違えないとするなら、その鏡に鍵の魔法使いの結界魔法が効かない可能性もあるんじゃないのか?」
クチバさんが口を挟んできた。意味が分からないんだけど。
「その錬金術師の少年が魔法学校に通っていたのが、鍵の魔法使いの結界が張られる前だ。そして、その後、少年は幽閉された。幽閉された後、結界を張ったにも関わらず、鏡はこの時代まで結界の影響を受けずいた事になる」
確かにその通りだけど。後、もう一つ気になるのが、父さん達が最初、影を見て元教師って言ったんだよ。その元教師が引っかかるんだよな。
「そう言えば、父さんの魔力を利用しようとして、元教師が旅立ったんだよな?」
「いきなりどうしたの? 今は必要ない話じゃない?」
「気になるんだ。だってさ、最初に見えたのはその元教師だろう? 突飛ない話かもしれないけど、もし、父さんの魔力を利用してしようとしてたのが、今回の伏線だったら? もしかしたらアサギじゃなくて、最初はライカさんが狙われてたって仮定も成り立つんじゃないかって」
みんなが息を飲んだのが分かった。少しずつ侵食するようにその手を伸ばしていたとしたら。昨日今日の話じゃない事になる。今まで静かにしていたのはライカさんが成人したからだ。必要なのは子供以上成人未満の体なんだから。
「もしかしたら、父さん達が学生の時代から、其奴はアサギの一族を手に入れようとしてたって事だろう。そう考えたら繋がるような気がするし」
これって確実に、学生している場合じゃない気がしてきた。何せ、アサギが狙われてるんだから。
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