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奇跡に祝福をⅦ side心律
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東條家で理玖さんに爆弾発言された心律です。僕としてはこのまま、婚姻の儀式はしないのだと思ってました! 認識甘いとか言われそうだけど、四神を舐めてました!
あの後、美容室やらエステやらに連れて行かれ、怒涛の磨きをされました。正直な感想は疲れたしかないです。確かに華族の人達は綺麗な髪とか肌とか、爪もきちんと磨き上げてました。理玖さんも例に漏れず。所作も綺麗な上に、幼い時から手入れをしてるのでそれが身についてます。でもね、それを僕に求めるのは間違えてると思うんだ。今日も今日とて、お姉さん達に磨き上げられてます。確かに西條家に来てから品物の良い物を使わせてもらえてるので、体の状態は良好だと思うよ。でも、それはあくまで僕基準であった様です。
鏡の前に座ってるの本当に僕かな。髪の毛、ツゥルンツゥルンだし。肌も内側から発光してる様に見えるし。唇はプルプルです。何より、僕を磨き上げていたお姉さん達の顔が怖いです。最初はなんと言うか、馬鹿にされてたんだと思う。Ωなのに自分磨きをしてない的な。でも、理玖さん同伴で文句も言えず、プロフェッショナルに僕を磨き上げたお姉さん達。儀式の直前まで毎日毎日通わされました。そう、理玖さんの監視の元に。そうしたら、流石の僕も磨かれた様です。自分でも吃驚する出来栄えです。僕と理玖さんの周りでキャキャしてるお姉さん達。理玖さんも僕を貶めてのキャキャではないので微笑んでますが。この微笑みは怒ってるよね。今に怒ってるんじゃなくて、過去のお姉さん達の行動に怒ってるよね。流石の僕もそれを察する事は出来るよ。多分、次に磨かれる時は違うお店なんだろうな。この店、潰されないといいし、お姉さん達露頭に迷わないといいけど。
そんなこんなで、前日になりました。その間、儀式の予行練習とかもしました。流石の僕でも覚えられるくらい練習したよ。儀式は身内で行われるそうです。皇族と四神は身内範囲に入るそうです。でも、今の四神って西條家と東條家しかいないよね。
「心律」
理玖さんに名前を呼ばれて、ある物を渡された。数珠みたいに見えるんだけど。僕は困惑して理玖さんを見詰めます。
「やっと出来上がった。白虎に縁のある力のある石で作られた御守りだと思ってくれていい」
そう言われて左の手首に嵌められました。何の石だろう。一つは透明だし水晶だと思います。もう一つは水晶の中に細かい針みたいなのが沢山入ってて、もう一つは虎模様? に見えないこともないけど。後は濃い青に金粉が混じってる石。
「これは?」
「白虎と青龍にゆかりのある力のある石だ。心律は神獣だけではなく神々にも愛されてるが、実際には力が及んでいない状態だ。水晶は白虎と青龍。ルチルクオーツとタイガーアイは白虎だな。ラピスラズリは青龍の力を宿している。これから何があるかわからないからな。神社に頼んで用意してもらった。まあ、ラピスラズリは朔に頼んで用意してもらったが」
つまり、この青い石だけは東條家の領地の神社で清めをしてもらったって事かな。
「星華には朱雀と玄武に縁のある石で作らせた。実質、二つの領地はうち預かりになったからな」
理玖さん、疲れてるね。西條家の領地だけでも国の五分の一もあるからね。実質、国の殆どを収めてる形になるもんね。でも、ほら、そこは海斗さんに手伝ってもらうしかないと思うよ。よくよく話を聞くと、本来の領地はお義父さん。朱雀を理玖さん。玄武を海斗さんが管理するんだって。大変だね!
「少なくともニ十年近くの負担……」
「頑張って下さい、としか言えません!」
理玖さんは苦笑いを浮かべました。分かりますよ。皇家は西條家に沢山負担強いてますよね! 今回の騒動もそうだけど。その発端が僕だけど、知らな振りは駄目かな。駄目だよね。
「まあ、そこは諦めてる」
諦めちゃうんだね。能力あるのも大変だよね。
「話を戻すが、明日は朝が早い。禊から入るからな」
「はい」
「儀式と言っても、神前で行うものが殆どだ。最後はお披露目をするが、苦痛と言えるのはお披露目くらいか。心律は神々に愛されてるからな。そのあたりは心配はない」
でも、お披露目って誰に? 僕の疑問がそのまま顔に出てたみたいで、理玖さんは苦笑い。皇族なら国民にってなると思うけど。いくら四神でも華族だよね。国民はないと思うんだ。では、誰にお披露目するの?
「お披露目は華族にだぞ」
「え?」
「国民、と言いたいが華族である四神は華族にお披露目する。婚姻の儀に四神以下の華族は参加出来ないからな。ああ、海斗は俺の側近で星華の番だから、婚姻の儀は参加する。まあ、星華の相手をしてもらわないとな」
理玖さん、その言葉の後は星華が大人しくしてくれるのは海斗さんの腕の中なの知ってるからだよね。凄く複雑な顔してるよ。多分、未だに星華に海斗さん程懐かれてないからかな。でも仕方ないよ。同じΩとして言わせてもらうと、番のαのフェロモンって安心するんだよ。安定剤的な役割あると思ってる。
「心律」
理玖さんが改まったように声音を変えた。如何したんだろうと、首を傾げちゃうよ。
「これから大変な事が起こると思うが、絶対に守る」
理玖さんの誓いのような言葉に僕はちょっと吃驚したよ。理玖さんの元に来てから沢山守ってもらってるよ。出来なかった事や、やりたい事も少しずつ出来るようになったよ。衣食住の心配もなくなったから。
「ああ、なんて言えばいい」
理玖さんはいきなり右手で頭を掻いた。
「今回の件も心律がいなければ分からなかった事が多い。心律に自覚はないかもしれないが、これから何が起こるか本当に分からないんだ。何より、心律は両親から離れてしまった影響か繋がりという縁が薄いんだそうだ」
「え?」
「婚儀は俺と心律が縁を結ぶ為に必要な儀式だ。確かに番としての繋がりは強固だと自負しているが、それだけでは駄目だ」
理玖さんの表情が何より瞳が揺らいでる気がする。如何してそんなに不安そうなの。僕は理玖さんのそばしか居場所はないんだよ。あ……。僕がそう思ってる時点で問題あるって事なのかな。
「心律。心律は誰よりも必要な存在だときちんと理解してほしい。誰がじゃない。俺にとって唯一で失うなど考えられない」
理玖さんの言葉に、僕は本当の意味で考えを改めないといけないんだって、やっと気が付いたんだ。僕は家族になってくれた皆んなや、朔さんと美紅さん。本当に大切にしてもらってるんだって改めて思ったんだ。朔さんは主に理玖さんをからかう材料に僕を使ってる感じだけど。
昨日、理玖さんにコンコンと説教のようなお話をされて、今までの考えではいけないと思い始めた心律です。そして、今は禊の最中です。早朝から皇家の敷地にある神聖な泉に単姿で理玖さんと水に浸かってます。足の裏に感じる玉砂利の感じとか、体に纏わり付く水の冷たさとか。これ、美紅さんもしたんだよね。単って昔の下着姿だよ。しかも水に浸かったら透けちゃうよ!!!!
「心律。心を落ち着けないと禊の意味がないぞ」
理玖さん、冷静すぎます。確かに性別は同じでも僕はΩなんだよ。こんな格好で理玖さんの隣にいたらダイレクトにフェロモン感じちゃって大変なんだよ。だって、理玖さん抑えてないよね?!
「言っておくが、心律のフェロモンもダダ漏れだからな。この泉の中ではフェロモンは隠せないんだ。それが本来の姿だからな」
「ほえ?」
「この泉の水と足元にある泉の底に引き詰められている玉砂利には力がある。フェロモンがダダ漏れなのではなく、そのフェロモンすら禊で洗われてると、そう考えたらいい」
そんなこと言われても、と必死に耐えました。僕、頑張ったと思う(自分的に)。
食事もいつもと違う。何というか、精進料理に近いのかも。動物性のものが何もないのかな。でも、肉みたいな食感のものもあるし、薄味だけど美味しい。
その後はプロの着付け師さん達にあの豪華な衣装を着付けられてます。重いだろうな、とは覚悟してたけど、実際は本当に重いです。全面刺繍は伊達ではないです。それでも僕が真っ直ぐ立ってられるのは着付けがしっかりしてるからです。じゃないと僕は立つことも歩くことも出来ないと思います! そんな衣装を堂々と着こなす理玖さん。確かに元旦の衣装も重そうだもんね。あれで舞うんだもんね。そりゃあ、綺麗な所作で動けるよね。でも、本当に重いんだよ。女性は更に頭に沢山の飾りをつけんるだって。それ、首折れないの? あれだよね。よく、絵姿でみる豪華な装飾だよね。シャラシャラ音が鳴るような簪とか飾るんだよね。無理、僕には無理だよ。今のこの衣装だけで挫けそうです。左手に付けている理玖さんから渡されたストーンブレスすら重いって感じる僕って。どんだけひ弱なんだろう。溜め息出ちゃうよ。
通された部屋はかなり奥まった場所でした。皇居の中にこんな場所があるんだって、ほへぇ、ってお馬鹿な顔してたと思います。目の前に滝みたいなのがあって、その前に鏡? が置かれてる。そして何故か、頭上から光が降り注いでる。皇家の祖は確か、天照大御神って言われてるから。そして、僕達の背後に親族という名の、皇家の方々と四神の人達。そう言えば、僕って朔さんと美紅さんの式に参列してないよ。つまりは、僕ってまだ、嫁(男だけどオメガだからね)として認めてもらえてなかったって事。それとも妊娠してたからなの?!! そんな僕のグルグルに気が付いてるらしい理玖さんが頭上から苦笑いが漏れてます。むむむ、僕だって悩む頭はあるんだからね!
主上が僕達の前に来て、鏡の前に立つ。そして、不思議な言葉で何かを呟いてる。理玖さんに事前に主上が結婚を取り仕切るのは聞いてたけど、こんな感じなんだね。何を言ってるのか全く理解出来ないけど、静かにその声に耳を傾ける。聞こえてくる声と水の流れていく音と。頭上から降り注ぐ温かな光と。何となく自分が洗われてる感じがする。
『ふふ。この子が私達が慈しんだ子の今の姿なのね』
『隣の彼は相変わらずね。まあ、仕方ないとは思うわよ』
『今回の件は完全に主様の落ち度だ。だから、我等も手出しを許されたんだ。それで機嫌を直すように』
いきなり飛び込んできた声に僕はキョトン、ってなるよ。辺りを見渡したいけどそこはグッと我慢。
『ああ、あの子は名前まで貰ってっ。羨ましすぎるわ!』
『だが、我等と違い肉の体が行動を制限するんだぞ』
『何を言っているの! その代わり維持に力を分けてもらえるじゃない』
何だろう。この、何とも言えない会話。僕、久々のスンッてなる。顔の表情筋が仕事しなくなる感覚。凄く久々なんだけど。でも、ちらりと理玖さんを見上げたら理玖さんも変な顔してる。つまり、聞こえてるんだよね?
そして、目の前の主上も肩が震えてるよね。つまり、聞こえてるんだね。でも、内容的に僕関係なのかな。理玖さんのことも知ってるみたいだし。天上で顔見知りだったって事だよね? 全く記憶にないけど!!!
あの後、美容室やらエステやらに連れて行かれ、怒涛の磨きをされました。正直な感想は疲れたしかないです。確かに華族の人達は綺麗な髪とか肌とか、爪もきちんと磨き上げてました。理玖さんも例に漏れず。所作も綺麗な上に、幼い時から手入れをしてるのでそれが身についてます。でもね、それを僕に求めるのは間違えてると思うんだ。今日も今日とて、お姉さん達に磨き上げられてます。確かに西條家に来てから品物の良い物を使わせてもらえてるので、体の状態は良好だと思うよ。でも、それはあくまで僕基準であった様です。
鏡の前に座ってるの本当に僕かな。髪の毛、ツゥルンツゥルンだし。肌も内側から発光してる様に見えるし。唇はプルプルです。何より、僕を磨き上げていたお姉さん達の顔が怖いです。最初はなんと言うか、馬鹿にされてたんだと思う。Ωなのに自分磨きをしてない的な。でも、理玖さん同伴で文句も言えず、プロフェッショナルに僕を磨き上げたお姉さん達。儀式の直前まで毎日毎日通わされました。そう、理玖さんの監視の元に。そうしたら、流石の僕も磨かれた様です。自分でも吃驚する出来栄えです。僕と理玖さんの周りでキャキャしてるお姉さん達。理玖さんも僕を貶めてのキャキャではないので微笑んでますが。この微笑みは怒ってるよね。今に怒ってるんじゃなくて、過去のお姉さん達の行動に怒ってるよね。流石の僕もそれを察する事は出来るよ。多分、次に磨かれる時は違うお店なんだろうな。この店、潰されないといいし、お姉さん達露頭に迷わないといいけど。
そんなこんなで、前日になりました。その間、儀式の予行練習とかもしました。流石の僕でも覚えられるくらい練習したよ。儀式は身内で行われるそうです。皇族と四神は身内範囲に入るそうです。でも、今の四神って西條家と東條家しかいないよね。
「心律」
理玖さんに名前を呼ばれて、ある物を渡された。数珠みたいに見えるんだけど。僕は困惑して理玖さんを見詰めます。
「やっと出来上がった。白虎に縁のある力のある石で作られた御守りだと思ってくれていい」
そう言われて左の手首に嵌められました。何の石だろう。一つは透明だし水晶だと思います。もう一つは水晶の中に細かい針みたいなのが沢山入ってて、もう一つは虎模様? に見えないこともないけど。後は濃い青に金粉が混じってる石。
「これは?」
「白虎と青龍にゆかりのある力のある石だ。心律は神獣だけではなく神々にも愛されてるが、実際には力が及んでいない状態だ。水晶は白虎と青龍。ルチルクオーツとタイガーアイは白虎だな。ラピスラズリは青龍の力を宿している。これから何があるかわからないからな。神社に頼んで用意してもらった。まあ、ラピスラズリは朔に頼んで用意してもらったが」
つまり、この青い石だけは東條家の領地の神社で清めをしてもらったって事かな。
「星華には朱雀と玄武に縁のある石で作らせた。実質、二つの領地はうち預かりになったからな」
理玖さん、疲れてるね。西條家の領地だけでも国の五分の一もあるからね。実質、国の殆どを収めてる形になるもんね。でも、ほら、そこは海斗さんに手伝ってもらうしかないと思うよ。よくよく話を聞くと、本来の領地はお義父さん。朱雀を理玖さん。玄武を海斗さんが管理するんだって。大変だね!
「少なくともニ十年近くの負担……」
「頑張って下さい、としか言えません!」
理玖さんは苦笑いを浮かべました。分かりますよ。皇家は西條家に沢山負担強いてますよね! 今回の騒動もそうだけど。その発端が僕だけど、知らな振りは駄目かな。駄目だよね。
「まあ、そこは諦めてる」
諦めちゃうんだね。能力あるのも大変だよね。
「話を戻すが、明日は朝が早い。禊から入るからな」
「はい」
「儀式と言っても、神前で行うものが殆どだ。最後はお披露目をするが、苦痛と言えるのはお披露目くらいか。心律は神々に愛されてるからな。そのあたりは心配はない」
でも、お披露目って誰に? 僕の疑問がそのまま顔に出てたみたいで、理玖さんは苦笑い。皇族なら国民にってなると思うけど。いくら四神でも華族だよね。国民はないと思うんだ。では、誰にお披露目するの?
「お披露目は華族にだぞ」
「え?」
「国民、と言いたいが華族である四神は華族にお披露目する。婚姻の儀に四神以下の華族は参加出来ないからな。ああ、海斗は俺の側近で星華の番だから、婚姻の儀は参加する。まあ、星華の相手をしてもらわないとな」
理玖さん、その言葉の後は星華が大人しくしてくれるのは海斗さんの腕の中なの知ってるからだよね。凄く複雑な顔してるよ。多分、未だに星華に海斗さん程懐かれてないからかな。でも仕方ないよ。同じΩとして言わせてもらうと、番のαのフェロモンって安心するんだよ。安定剤的な役割あると思ってる。
「心律」
理玖さんが改まったように声音を変えた。如何したんだろうと、首を傾げちゃうよ。
「これから大変な事が起こると思うが、絶対に守る」
理玖さんの誓いのような言葉に僕はちょっと吃驚したよ。理玖さんの元に来てから沢山守ってもらってるよ。出来なかった事や、やりたい事も少しずつ出来るようになったよ。衣食住の心配もなくなったから。
「ああ、なんて言えばいい」
理玖さんはいきなり右手で頭を掻いた。
「今回の件も心律がいなければ分からなかった事が多い。心律に自覚はないかもしれないが、これから何が起こるか本当に分からないんだ。何より、心律は両親から離れてしまった影響か繋がりという縁が薄いんだそうだ」
「え?」
「婚儀は俺と心律が縁を結ぶ為に必要な儀式だ。確かに番としての繋がりは強固だと自負しているが、それだけでは駄目だ」
理玖さんの表情が何より瞳が揺らいでる気がする。如何してそんなに不安そうなの。僕は理玖さんのそばしか居場所はないんだよ。あ……。僕がそう思ってる時点で問題あるって事なのかな。
「心律。心律は誰よりも必要な存在だときちんと理解してほしい。誰がじゃない。俺にとって唯一で失うなど考えられない」
理玖さんの言葉に、僕は本当の意味で考えを改めないといけないんだって、やっと気が付いたんだ。僕は家族になってくれた皆んなや、朔さんと美紅さん。本当に大切にしてもらってるんだって改めて思ったんだ。朔さんは主に理玖さんをからかう材料に僕を使ってる感じだけど。
昨日、理玖さんにコンコンと説教のようなお話をされて、今までの考えではいけないと思い始めた心律です。そして、今は禊の最中です。早朝から皇家の敷地にある神聖な泉に単姿で理玖さんと水に浸かってます。足の裏に感じる玉砂利の感じとか、体に纏わり付く水の冷たさとか。これ、美紅さんもしたんだよね。単って昔の下着姿だよ。しかも水に浸かったら透けちゃうよ!!!!
「心律。心を落ち着けないと禊の意味がないぞ」
理玖さん、冷静すぎます。確かに性別は同じでも僕はΩなんだよ。こんな格好で理玖さんの隣にいたらダイレクトにフェロモン感じちゃって大変なんだよ。だって、理玖さん抑えてないよね?!
「言っておくが、心律のフェロモンもダダ漏れだからな。この泉の中ではフェロモンは隠せないんだ。それが本来の姿だからな」
「ほえ?」
「この泉の水と足元にある泉の底に引き詰められている玉砂利には力がある。フェロモンがダダ漏れなのではなく、そのフェロモンすら禊で洗われてると、そう考えたらいい」
そんなこと言われても、と必死に耐えました。僕、頑張ったと思う(自分的に)。
食事もいつもと違う。何というか、精進料理に近いのかも。動物性のものが何もないのかな。でも、肉みたいな食感のものもあるし、薄味だけど美味しい。
その後はプロの着付け師さん達にあの豪華な衣装を着付けられてます。重いだろうな、とは覚悟してたけど、実際は本当に重いです。全面刺繍は伊達ではないです。それでも僕が真っ直ぐ立ってられるのは着付けがしっかりしてるからです。じゃないと僕は立つことも歩くことも出来ないと思います! そんな衣装を堂々と着こなす理玖さん。確かに元旦の衣装も重そうだもんね。あれで舞うんだもんね。そりゃあ、綺麗な所作で動けるよね。でも、本当に重いんだよ。女性は更に頭に沢山の飾りをつけんるだって。それ、首折れないの? あれだよね。よく、絵姿でみる豪華な装飾だよね。シャラシャラ音が鳴るような簪とか飾るんだよね。無理、僕には無理だよ。今のこの衣装だけで挫けそうです。左手に付けている理玖さんから渡されたストーンブレスすら重いって感じる僕って。どんだけひ弱なんだろう。溜め息出ちゃうよ。
通された部屋はかなり奥まった場所でした。皇居の中にこんな場所があるんだって、ほへぇ、ってお馬鹿な顔してたと思います。目の前に滝みたいなのがあって、その前に鏡? が置かれてる。そして何故か、頭上から光が降り注いでる。皇家の祖は確か、天照大御神って言われてるから。そして、僕達の背後に親族という名の、皇家の方々と四神の人達。そう言えば、僕って朔さんと美紅さんの式に参列してないよ。つまりは、僕ってまだ、嫁(男だけどオメガだからね)として認めてもらえてなかったって事。それとも妊娠してたからなの?!! そんな僕のグルグルに気が付いてるらしい理玖さんが頭上から苦笑いが漏れてます。むむむ、僕だって悩む頭はあるんだからね!
主上が僕達の前に来て、鏡の前に立つ。そして、不思議な言葉で何かを呟いてる。理玖さんに事前に主上が結婚を取り仕切るのは聞いてたけど、こんな感じなんだね。何を言ってるのか全く理解出来ないけど、静かにその声に耳を傾ける。聞こえてくる声と水の流れていく音と。頭上から降り注ぐ温かな光と。何となく自分が洗われてる感じがする。
『ふふ。この子が私達が慈しんだ子の今の姿なのね』
『隣の彼は相変わらずね。まあ、仕方ないとは思うわよ』
『今回の件は完全に主様の落ち度だ。だから、我等も手出しを許されたんだ。それで機嫌を直すように』
いきなり飛び込んできた声に僕はキョトン、ってなるよ。辺りを見渡したいけどそこはグッと我慢。
『ああ、あの子は名前まで貰ってっ。羨ましすぎるわ!』
『だが、我等と違い肉の体が行動を制限するんだぞ』
『何を言っているの! その代わり維持に力を分けてもらえるじゃない』
何だろう。この、何とも言えない会話。僕、久々のスンッてなる。顔の表情筋が仕事しなくなる感覚。凄く久々なんだけど。でも、ちらりと理玖さんを見上げたら理玖さんも変な顔してる。つまり、聞こえてるんだよね?
そして、目の前の主上も肩が震えてるよね。つまり、聞こえてるんだね。でも、内容的に僕関係なのかな。理玖さんのことも知ってるみたいだし。天上で顔見知りだったって事だよね? 全く記憶にないけど!!!
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