美少女アンドロイドが色じかけをしてくるので困っています~思春期のセイなる苦悩は終わらない~

根立真先

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ep13 今夜は君と......

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 *

 午後。
 俺は机に向かって勉強していた。

 昼食後、部屋に戻ってからはネーコは俺の所に来なかった。
 なのでここぞとばかりに勉強した。

 不定期に波のように押し寄せる、
(ネーコと××××......)
 もわ~んとした妄想に悩ませられることもしばしばだったが、なんとか耐えていた。

 俺にとって『勉強すること』は、一種の強迫観念かもしれない。
 やらないと不安で不安で自分が自分でいられなくなるような恐怖さえある。

(不登校になったのも......)

 一瞬、去年のことを思い出しかけた時。
「コンコン」
 ノック音が鳴った。

 転瞬、俺の頭に昼前ネーコが裸エプロンで来襲してきたことがフラッシュバックする。

「クソっ!堪えていたのに......」

 まったくもって困ったもの。
 ちょっとしたきっかけで、中学二年生男子の性欲の炎は山火事のごとく燃えさかる。
 俺は顔を赤くして椅子の上に固まった。

「コンコン」

 俺の気も知らずにノックは残酷に繰り返される。
 次第にそのコンコンという音でさえ、なにかイヤラシイ音に思えてきた。

「ス~、ハァ~、ス~、ハァー」

 俺は深呼吸を繰り返して懸命に消火作業を試みる。
 このピンク色の炎をなんとか消し止めなければ!
 でないと次こそ美少女アンドロイドに手を出しかねない!

「コンコン」
 
 次のノックが鳴ると、
「よし...」
 低くつぶやいてから立ち上がった。
 そして迎えに出ていく。

「な、なんの用?」

 ドアを開けた。
 最大限の気を引き締めて。
 どんなお色気コスチュームが現れても動揺しないように。

「フミヒロ様。お勉強お疲れ様です。おやつをお持ちしました」

 いつもどおりの制服姿のネーコが現れた。
 お菓子と飲み物を乗せたおぼんを持って。

「あ、ああ。ありがとう」

 俺は若干拍子抜けした。
 どうやら俺が身構えすぎていただけのようだ。

「それとフミヒロ様。さきほどお母様から私へご連絡いただきまして」

「ネーコに連絡?そういえばネーコってスマホ持ってたっけ?」

「スマホの機能は私の中に内蔵されています。アンドロイドですから。とはいえ、未来と今とでは異なる点も多い。ですのでこの時代と互換性のある特別なスマホを所持しています」

 ネーコは俺におぼんを渡すと、手品のように何処からミニサイズのスマホを取り出した。

「ど、どこから出したんだ?」
「秘部です」
「えっ?」
「見たいですか?」
「い、いや、いい...」

「冗談ですよ。見えないように脇に挟んでいただけです。
 お母様とはこちらで連絡を取り合うことになっています。
 このスマホは超高度なセキュリティが実装されており、盗聴やハッキングの心配もまずありません。
 少なくともこの時代の技術ではこのスマホのセキュリティを破ることは理論上不可能です。
 なぜなら...」

「いやその話はいいから!母さんの話を聞かせてくれよ!」

「お母様の話?お母様のファーストキッスの話ですか?」

「なんでそうなる!?それを今聞いてどうすんだ!?てゆーか息子の俺がどんな顔して聞けばいいんだ!そもそもお前そんな情報持ってんのか!?じゃなくて!さっき母さんから連絡来たって言ったろ!?」

「はい。お母様からフミヒロ様にも伝えておいてくれと」

「なんの連絡だったんだ?」

「本日、帰れなくなりそうとのことです」

「ああ、そういう連絡か......えっ」

「どうなさいました?」

「てことは、夜もネーコと二人ってこと...?」

「はい。二人っきりです」

「......」

「フミヒロ様?」

「う、う、う、ううう、うがぁぁぁー!!」

〔セクシープログラム〕なる任務を帯びた美少女アンドロイドと、今夜二人っきり......。
 健全なる不健全、中学二年生男子たる俺は、果たしてこの試練を、無事乗り越えられるのだろうか!?
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