多分、愛じゃない

ゆきの(リンドウ)

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忘れていた恋の記憶

(4)

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「なんだよ、それ!奏、それってもう答え出てるようなもんじゃん!」

「答え?って、なんのことだよ」

「はあ?奏…まさか君がここまで鈍感とは」

 そう言う良樹はどこか呆れたようで、途端に焦りと不安が込み上げてきた。

 鈍感だとはよく言われるし自分でもそこそこ自覚はしている。

 ユウリと付き合っていた時、周りから揶揄される言葉には人一倍敏感なくせに愛の言葉を遠回しに言われた時には全く一ミリも気付かないよねと、笑いながら言われたものだ。

 しかし、今の会話のどこに良樹の言う答えが出ていたのか。そう思案しながら黙りこくっていると、良樹が深いため息を静かに吐いた。

「…もしさ、克巳くんと付き合う前に克巳くんが奏じゃない人と食事に行ったり二人きりで会ってたりしたらどう思う?」

「それゃあ、嫌だよ。俺とだけにしろって思うし」

「だね、じゃあそれはなんでだと思う?自分が一番の親友だから?」

「…いや、多分その時にはもう好きだから?」

「だよね、じゃあ好きだとどうしてそう思う?」

「そう、って」

「嫌だって思うこと」

 問われ、考える。そもそも好きとはどういう感情なのだろう。

 高校の時も好きだった人はいた。先輩で背丈が高く、しっかりとした人だった。

 当時はまだ自分のセクシャリティーを自覚したばかりで、とにかく戸惑っていた。

 それでも、先輩を目の前にすると胸がときめいてドクドクと鼓動が高鳴っていたから、俺はこの人が好きなんだと思ったんだ。

 けれどその恋は、早々に儚く散る。先輩に可愛らしい彼女が出来たのだ。

 しかもその彼女は俺と同じクラスメイトの女の子で、二人が仲良く連れ立って帰る姿を窓から見下ろすたび切なかった。

 切なくてだけど仕方ないと思っていたのだろう。

 しばらくして二人を見下ろすことをしなくなっていた。

 それから好きになった人もいたが、親に見つかり呆気なく好きが終わった。執着もしていなかった。

 じゃあ、ユウリとそして克巳と付き合った時はどうだったのだろう。

 克巳と付き合う時はとにかく、俺がアプローチしまくっていた。

 モサくてデカい図体を必死に丸め、髪の毛で隠れている目にどうにか俺だけを映してやりたかった。
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