多分、愛じゃない

ゆきの(リンドウ)

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番外編:多分、もう愛だった

(4)-1

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「ユウリ、店は?」
「まだだけど、それより二人はどうしてここに?」

言いながら腕を取られ、ユウリの背中に隠された。

「すみません、油井さん。今、奏は僕とお付き合いをしているので、二人きりで会うことは控えていただいてもいいですか?」

はっきりそう言うとユウリは返事を待たずに、奏の腕を握ったまま、歩き出した。

ユウリが怒っている。その事実はわかるのに、克巳を放っておけない。

「ごめん、ユウリ!すぐ戻るからッ!」
「奏⁈」

ユウリの手を振り切り、克巳の元へと走った。

「奏、なんで」
「克巳、俺、今、幸せだよ?だから、克巳もちゃんと幸せになって。な?最後の約束」

笑ってそう言った。きっと伝わったはずだと思った。克巳も泣きながら笑ってくれた。

結局、ユウリの仕事が終わるまで店の中で待たせてもらうことになり、ユウリの部屋に着いたのは十二時を回った頃だった。

変な気まずさが部屋に漂っている。ユウリが怒っているのはわかるが、口を開けない。

『うまくいかないときはボディータッチだな』

良樹のアドバイスを思い出し、キッチンに立つユウリの背中にそっと腕を回した。

勇気を出したつもりだった。自分から行動しなければ何も変わらない。

なのに、振り払われてしまった。強くはないけれど、じんじん痛む気がする。

「ユウリ、なんで?」
「今のは、ごめん。突然でびっくりして」
「突然って俺たち、恋人同士だよな⁈」

つい、声を荒げていた。ショックだったのだ。恋人にスキンシップを拒まれてショックを受けない人はいない。

「怒ってるならなんか言ってよ。じゃないと俺、何から謝ればいいのかわかんない」
「…言っていいの?」
「いいよ」

瞬間、腕を痛いくらいに握られ、ベッドに押し倒された。

「…油井さんと二人で会ってるところ見て、自分の中であり得ないくらいにムカついた」
「うん」
「だって奏は僕の恋人だ。なのに、僕がいないところで二人で会うなんておかしいだろ?それとも奏、油井さんのところ戻りたくなった?」

酷いことを問われているなと思った。まるでユウリのことを好きじゃなくなったというように聞こえてしまう。

なのに、言い返せなかった。見下ろす瞳から今にも涙が溢れそうで、そんな顔をさせている自分が情けなくなる。

横に首を振った。するとユウリが、「じゃあ、なんで触らせたんだよ!」と叫ぶ。

「見間違いじゃなければ奏も油井さんに触ろうとしてたよね?」
「あれは、ごめん。無神経だった」
「なんで?なんでだよ、奏…」

頬に涙が一粒落ちて、二つ、三つと当たる。

「ユウリ、ごめんな」
「奏に触れるのは僕だけがいい。目も髪も頬も、全部僕だけが触りたい」
「うん、いいよ」
「もう、二人きりで会わないで?奏」
「わかった、もう会わない」
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