家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見

文字の大きさ
27 / 84
第2章

26話 アリティアの怒り

しおりを挟む
アリティアの怒り


アリティアは今王宮に来ていた。
「ステレミオ侯爵に用があってきたの。入ってもよろしいかしら。」
ステレミオ侯爵とは、エドモンド・ステレミオといいアリティアの実の親であり、この国の重鎮である。アリティアは、ドアの前にいる騎士にそう告げノックをして返事があったため入室した。
「ステレミオ侯爵。お話がありますわ。」
「なんだ。アリティアか。どうした。今日は休みではなかったか。」
エドモンドは先ほどあった出来事のせいで仕事に追われており、アリティアに一瞬目を向けたもののすぐに書類に目を戻した。
「ステレミオ侯爵?私は、今貴方の娘としてではなく公爵夫人としてきているのだけど。」
父親に対する態度ではないが爵位的には公爵家であるアリティアの方が上にあたるためこの態度は別段おかしいことではない。
「はぁ、どうされました?エヴァンズ公爵夫人。」
エドモンドは、機嫌の悪そうにそう聞いた。
「こちらにも届いていると思いますけど、王家が襲われたあの魔物の事でいろいろ聞きたくて来たのだけど教えていただいてもいいかしら。そうねぇ、出来れば騎士のとこの責任者も含めて。」
有無を言わせないといった態度に仕方なく頷くエドモンドであった。
「それじゃあ、私の仕事部屋に移りましょうか。その前に、騎士団の宿舎によりますがよろしいですよね。」
これも嫌といえるものではなく、ついていくことしかできなかった。


「かしこまりました。ただいま伝えてまいります。」
「お願いね。私の部屋まで来るように。」
アリティアは、騎士の1人にそうお願いして自室へと向かって歩き出す。もちろん、エドモンドも一緒に。

アリティアとエドモンドが部屋に着き少しするとノックの音がした。
「入ってかまわないわよ。」
「失礼いたします。」
そう言って、1人の騎士と思われる男が入室した。
「本日は、どのようなご用件で。」
「陛下たちが襲われたのは知っているわよね。」
アリティアの目が鋭くなる。この最後に入室した男は、近衛騎士団団長のローガンであり、この国の騎士のナンバーツーであった。
「それは、緘口令が敷かれていたはずでは?なぜそれをアリティア夫人がご存じなのでしょう。」
ローガンは、探るような視線をアリティアに向ける。その向けられた視線に不快感を覚えたアリティアは、ローガンに冷たい視線をおくり答える。
「貴方たち騎士が失態を犯してしまったからね。そのせいで、エミリアの息子が...いえ、私の息子に被害が出たのよ。意味がお分かりで?」
「!?」
「ま、まさか...」
エドモンドとローガンは、開いた口が塞がらなかった。
「聞いていないわけないわよね。陛下たちを助けたのが息子のシオンよ。騎士達も全員助けたみたいじゃない。そのせいで本人は、MPが枯渇。倒れて目を覚まさない状態よ。理解できるわよね。どう責任を取ってくれるのかしら?」
2人は、何も発することが出来ない。アリティアは社交界で高い発言力を持っており、王妃とも旧知の仲で知られている。それに加えて、アルフレッドとエミリアの間に生まれた子がそんな状態になっている。そんな現状に、何を言えるだろうか。
「まぁ、今貴方方を咎めたところで何も変わらないから話を変えましょうか。ステレミオ侯爵?最近貴族派が動き出していることはわかっていたのではなくて?それが分かっていたのにこのような事態になることは考えていなかったのかしら。それから、騎士団長。騎士たちの練度が低いのではないかしら。誰が、護衛に決めたのか知らないし興味もないけど人選ぐらいはしっかりした方がいいのでは?」
何も言い返すことが出来ずただただうつむいているだけであった。
「それで、こんな状態になっているけど貴方たちはどのように考えているのかしら。教えてくださる?」
この場は、アリティアの独壇場である。2人ともいろいろな経験をしていて場数を踏んでいるのにも関わらず何も発することが出来ない。それほど、アリティアが本気になっている証拠だった。
「はぁ、もういいわ。ここにいるだけ時間の無駄のようね。これだけは、覚えておいて、もしあの子に何かあった時貴方たちはこの国どころかこの大陸にある国には住めないようになると思うから覚悟しておくといいわ。それから、今回の件は全部調べ上げて報告して頂戴ね。」
そう言って、アリティアは部屋から出ていった。出ていった後も、2人はちかく動くことが出来なかった。


しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...