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episode 32
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号泣する俺と大介の泣き声は、エンジン音に掻き消され、隣同士に座る俺達二人にしか聞こえないのが幸いなだけで、ここに大事な親友が一人欠けたという大きな穴は、二度と埋められない。
小さな窓から、外をを覗き見れば、多くの人の運命を弄び、多くの人の命を奪った憎々しい島が目に入る。
あれから数分しかたっていないのに、だいぶ小さく見える島。
かなり離れたなと思った瞬間、真っ赤な火柱があちこちで上がりだす。
それはまるで、手筒花火を彷彿させるような美しさと残酷さを孕んだ、全てを破壊し燃やし尽くす炎。
爆風が時間を経て、ようやくここまで届いたのか、今になってヘリが大きく揺れた。
とめどもなく流れる涙。
溢れ出る感情。
結局、俺がしたことは何だったのだろう。
ヒーロー気取りで、危険な島に来て。
助けたかった人は一人も救えなかった。
それどころか、大事な親友まで失った。
震えている拳の上に大介の手が添えられる。
「かっつん、無駄じゃないよ。龍平ジィも、直也さんも。それに洋ちゃんも。皆、かっつんに思いを託した。『paraíso』計画をぶち壊せってね! それを皆の力で達成させたんだ。無駄じゃないよ」
大介は、俺に自分を責めるなという事を直接的にではなく、遠回しに伝えてくれた。
けれど、俺は後悔せずにはいられない。
自分を責めずにはいられない。
所長の挑発に乗らず、冷静に対応していれば、もしかしたら助けられた筈の祖父。
自分の手で殺めた兄貴。
待つ事が出来ずに島と共に海に沈めてしまった洋一郎。
全部が全部、俺のせいで命を落としたんだ。
俺は一生を懸けて彼らの意志を引き継ぎ、彼らに償わなくてはならない。
真っ赤に燃える島がどんどん遠ざかっていくのを目の端に捉えながら、新たな決意を誓う。
今後、必ず第二、第三の『paraíso』が計画されるだろう。
そうなったら、全て、俺が潰して見せる。
この命がある限り。
俺は、あの真っ赤に燃える多くの魂の炎にそう誓った。
そして、本土に戻った俺は、傷心を癒やす間もなく、I国とS共和国のニュースを見て、顏を真っ青にさせるのであった。
小さな窓から、外をを覗き見れば、多くの人の運命を弄び、多くの人の命を奪った憎々しい島が目に入る。
あれから数分しかたっていないのに、だいぶ小さく見える島。
かなり離れたなと思った瞬間、真っ赤な火柱があちこちで上がりだす。
それはまるで、手筒花火を彷彿させるような美しさと残酷さを孕んだ、全てを破壊し燃やし尽くす炎。
爆風が時間を経て、ようやくここまで届いたのか、今になってヘリが大きく揺れた。
とめどもなく流れる涙。
溢れ出る感情。
結局、俺がしたことは何だったのだろう。
ヒーロー気取りで、危険な島に来て。
助けたかった人は一人も救えなかった。
それどころか、大事な親友まで失った。
震えている拳の上に大介の手が添えられる。
「かっつん、無駄じゃないよ。龍平ジィも、直也さんも。それに洋ちゃんも。皆、かっつんに思いを託した。『paraíso』計画をぶち壊せってね! それを皆の力で達成させたんだ。無駄じゃないよ」
大介は、俺に自分を責めるなという事を直接的にではなく、遠回しに伝えてくれた。
けれど、俺は後悔せずにはいられない。
自分を責めずにはいられない。
所長の挑発に乗らず、冷静に対応していれば、もしかしたら助けられた筈の祖父。
自分の手で殺めた兄貴。
待つ事が出来ずに島と共に海に沈めてしまった洋一郎。
全部が全部、俺のせいで命を落としたんだ。
俺は一生を懸けて彼らの意志を引き継ぎ、彼らに償わなくてはならない。
真っ赤に燃える島がどんどん遠ざかっていくのを目の端に捉えながら、新たな決意を誓う。
今後、必ず第二、第三の『paraíso』が計画されるだろう。
そうなったら、全て、俺が潰して見せる。
この命がある限り。
俺は、あの真っ赤に燃える多くの魂の炎にそう誓った。
そして、本土に戻った俺は、傷心を癒やす間もなく、I国とS共和国のニュースを見て、顏を真っ青にさせるのであった。
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