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第四章 叶わない願いはないと信じてる
第88話 聖なる杖が暴く闇【後編】
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悲鳴を上げたデゼルが、真っ青な顔をして、懸命に訴えた。
「やめて、サイファを放して! 私の闇主はあなた達にも、村人達にも危害を加えない! 私達、襲われている村を助けにきたの!」
「蒼紫様、魔女に騙されては駄目!」
悔しい、デゼルは魔女なんかじゃないのに。
人質に取られた僕には、ただ、唇を噛むしかできなくて。
公国のみんなにだって、真実を信じてもらうことはできなかったんだ。
進み出たケイナ様がデゼルに向けてロッドを構えた。
何をする気!? まさか――
「デゼル!」
「きゃあ!」
ケイナ様が容赦なく、光魔法でデゼルを撃ったんだ。
どうしよう、デゼルが殺されるのって、まさか、今日この場所で!?
オプスキュリテの幻に視たイメージとかけ離れていて、僕は、その可能性を失念してた。
僕、啓示に頼りすぎて状況判断がおざなりになっていたのかもしれない。
「サイファというの? 彼が大切なのね、デゼル」
ケイナ様は怒っているふうでも、デゼルを憎んでいるふうでもなくて、まるで、お芝居の続きみたいに、淡々と言ったんだ。
怒りも憎しみもなしに、人を魔法で撃てるもの?
なんだか僕、悲しくなってきてしまった。
僕達の命にも、痛みにも、何の興味もないって言われているよう。
「お願い、サイファを傷つけないで。私達、あなた達に何もしない!」
「本当かどうか、見届けさせてもらうわ。その間にデゼル、この手紙をユリシーズに届けてきて欲しいの。私達、しなくていい争いならしたくない。ユリシーズとあなたがネプチューンを止めてくれれば、争わなくてよくなるかもしれないでしょう? できる限り、話し合いで解決したいの。あなたを魔法で傷つけたことは謝るわ。以前、あなたが闇主たちを冷酷に見捨てるのを見たものだから、彼だけは特別なのか、確かめておきたかったの」
僕は少し、ほっとした。
ケイナ様が全然、デゼルを恐れているふうでも、憎んでいるふうでもないから。
ケイナ様にとってのデゼルは、手下の闇主たちにケイナ様を襲わせた魔女なんだってことを、僕はすっかり、忘れていたみたい。
ケイナ様はやっぱり、聖女様だね。
しなくていい争いならしたくないんだ。
よかった、話し合いになりそう。
「わかりました、すぐに、届けます」
デゼルの姿が少し先の木陰に消えた後、気配も消えた。
たぶん、クロノスで帰還したんだ。
逃げ遅れた子供は光の使徒が助けて、村に返しに行ったみたいだった。
「あの」
なんて、言ったら――
ケイナ様を襲ったのはお芝居なんですなんて、本当のことなのに、すごく、言い逃れに聞こえる。
この村にいることも、山賊をけしかけたのが僕達じゃないなら、どうして村が襲われることを知っていて、あまつさえ、他国に闇主たちを連れてきたのか聞かれたら、デゼルの占いでとしか答えられない。
本当のことなのに、やっぱり、ヘタな嘘にしか聞こえない。
困ったな。
「あなた、口がきけるの?」
ケイナ様が少し驚いた顔をして僕を見た。
「? はい」
「へぇ」
どうして、口がきけないと思うんだろう?
「ああ、やっぱり、黙っておいてくれる? デゼルとの話し合いに集中したいの。シナリオが変に崩れたら困るもの」
「えっ……あの、はい……」
よく、わからないけど。
話し合いたいと言って下さるのを、邪魔しない方がいいよね。
ごめんね、デゼル。
あっさり、人質に取られてしまって。
デゼルの足手まといにならないように、ずっと、努力してきたのにな。
「やめて、サイファを放して! 私の闇主はあなた達にも、村人達にも危害を加えない! 私達、襲われている村を助けにきたの!」
「蒼紫様、魔女に騙されては駄目!」
悔しい、デゼルは魔女なんかじゃないのに。
人質に取られた僕には、ただ、唇を噛むしかできなくて。
公国のみんなにだって、真実を信じてもらうことはできなかったんだ。
進み出たケイナ様がデゼルに向けてロッドを構えた。
何をする気!? まさか――
「デゼル!」
「きゃあ!」
ケイナ様が容赦なく、光魔法でデゼルを撃ったんだ。
どうしよう、デゼルが殺されるのって、まさか、今日この場所で!?
オプスキュリテの幻に視たイメージとかけ離れていて、僕は、その可能性を失念してた。
僕、啓示に頼りすぎて状況判断がおざなりになっていたのかもしれない。
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ケイナ様は怒っているふうでも、デゼルを憎んでいるふうでもなくて、まるで、お芝居の続きみたいに、淡々と言ったんだ。
怒りも憎しみもなしに、人を魔法で撃てるもの?
なんだか僕、悲しくなってきてしまった。
僕達の命にも、痛みにも、何の興味もないって言われているよう。
「お願い、サイファを傷つけないで。私達、あなた達に何もしない!」
「本当かどうか、見届けさせてもらうわ。その間にデゼル、この手紙をユリシーズに届けてきて欲しいの。私達、しなくていい争いならしたくない。ユリシーズとあなたがネプチューンを止めてくれれば、争わなくてよくなるかもしれないでしょう? できる限り、話し合いで解決したいの。あなたを魔法で傷つけたことは謝るわ。以前、あなたが闇主たちを冷酷に見捨てるのを見たものだから、彼だけは特別なのか、確かめておきたかったの」
僕は少し、ほっとした。
ケイナ様が全然、デゼルを恐れているふうでも、憎んでいるふうでもないから。
ケイナ様にとってのデゼルは、手下の闇主たちにケイナ様を襲わせた魔女なんだってことを、僕はすっかり、忘れていたみたい。
ケイナ様はやっぱり、聖女様だね。
しなくていい争いならしたくないんだ。
よかった、話し合いになりそう。
「わかりました、すぐに、届けます」
デゼルの姿が少し先の木陰に消えた後、気配も消えた。
たぶん、クロノスで帰還したんだ。
逃げ遅れた子供は光の使徒が助けて、村に返しに行ったみたいだった。
「あの」
なんて、言ったら――
ケイナ様を襲ったのはお芝居なんですなんて、本当のことなのに、すごく、言い逃れに聞こえる。
この村にいることも、山賊をけしかけたのが僕達じゃないなら、どうして村が襲われることを知っていて、あまつさえ、他国に闇主たちを連れてきたのか聞かれたら、デゼルの占いでとしか答えられない。
本当のことなのに、やっぱり、ヘタな嘘にしか聞こえない。
困ったな。
「あなた、口がきけるの?」
ケイナ様が少し驚いた顔をして僕を見た。
「? はい」
「へぇ」
どうして、口がきけないと思うんだろう?
「ああ、やっぱり、黙っておいてくれる? デゼルとの話し合いに集中したいの。シナリオが変に崩れたら困るもの」
「えっ……あの、はい……」
よく、わからないけど。
話し合いたいと言って下さるのを、邪魔しない方がいいよね。
ごめんね、デゼル。
あっさり、人質に取られてしまって。
デゼルの足手まといにならないように、ずっと、努力してきたのにな。
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