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第四章 叶わない願いはないと信じてる
第107話 光の聖女の忠告
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デゼルは何をしてるんだろう。
中空をキラキラした瞳で見詰めてるんだ。
そうかと思えば、両手で口許を覆って泣き出してしまって。
「デゼル、どうしたの!?」
もう、戦闘は終わったみたいだから、玉座の間に入っていいのかな。
僕が少し迷って出遅れたら、心配したユリシーズが先に、デゼルに駆け寄った。
「大丈夫……うまくいったの、ハッピーエンドだよ。もう、大丈夫……」
デゼルはまだ、熱心に中空を見詰めたまま。
そのデゼルに、今度はケイナ様が駆け寄ってきた。
ケイナ様も、デゼルと同じように中空を眺めていたんだけど、ケイナ様はそんなに嬉しそうなわけでも、かといって、悲しそうなわけでもなかった。
二人には何が見えてるのかな。
ケイナ様はデゼルにそっと耳打ちしたから、二人が何の話をしているのかは、わからなかった。
でも、同じように内緒話で返したデゼルが最後に言った、おめでとうの言葉だけは聞こえて、可愛らしく頬を染めたケイナ様が、はにかんで笑ったのは印象に残った。
――あれ?
ずっと、嬉しそうだったデゼルがふいに、途惑った表情になったんだ。
――あれ、あれ!?
なんだろう、デゼルのあの思い詰めた瞳。
なんだか嫌な予感がする。
どうしたのって声をかけたいけど、デゼルはまだ、ケイナ様との内緒話を続けていて、割り込みにくい。
そう思っていたら、ケイナ様の方がもっと、ぎょっとした顔になってデゼルの両肩をつかんだんだ。
「デゼル、駄目よ! 今すぐ、リタイアして! デゼルじゃ絶対、続けたら後悔する!」
えぇ、リタイアって――!?
なんだろう。
何かが終わってないんだ。
デゼルは何かを続けてる。
「だって、私、サイファの目と腕を癒して頂きたいの。リタイアなんてできないよ」
「本末転倒よ! エリス様の裏攻略ガイドで見たの、最後の神のs」
僕の目と腕!?
それ、ケイナ様より僕に相談してくれないと困るよ。僕のことじゃないか。
すごく、嫌な予感がするんだ。
だけど、ケイナ様はとても大切な用事があって、十三日間は戻って来ないんだ。
何の話か、ケイナ様には聞けない。デゼルに聞かなくちゃ。
僕はこの時、ケイナ様が忽然と姿を消したことを、どうしてか、不思議に思わなかった。
僕だけじゃなく、光の使徒達もみんな、ケイナ様は大切な用事があっていなくなったけど、十三日後には戻ってくるってわかっていたんだ。
それよりもデゼルだよ。
エリス様でも、ケイナ様でもない誰かに、僕の目と腕を癒してもらおうとしてるみたいだけど――
いったい、誰に?
闇の神様かな……。
続けたら絶対に後悔するってケイナ様が言ってたし、デゼルの悲壮な目は、まるで、自身を犠牲にして僕を助けようとしてるみたいに見えるんだ。
今夜にも、必ず、デゼルを問い質さないと。
そう、考えた時だった。
ふいに、デゼルの表情が緩んで、ほっとしたような笑顔が零れたんだ。
――あれ?
デゼルが思い詰めてると感じたの、僕の気のせいだったのかな。
多分、デゼルは今、闇の神様からの啓示に、一喜一憂してるんだろうから――
今夜、ゆっくり聞いたらいいのかな。
そっか。
うん、そうしたらいいよね。
デゼルがいつものように、僕に優しい儚さで微笑みかけてくれたから。
僕は、すっかり安心してしまって。
もう、悲劇は終わったはずなのに、デゼルの笑顔から儚さが消えていないのはおかしいって、気がつかなかった。
中空をキラキラした瞳で見詰めてるんだ。
そうかと思えば、両手で口許を覆って泣き出してしまって。
「デゼル、どうしたの!?」
もう、戦闘は終わったみたいだから、玉座の間に入っていいのかな。
僕が少し迷って出遅れたら、心配したユリシーズが先に、デゼルに駆け寄った。
「大丈夫……うまくいったの、ハッピーエンドだよ。もう、大丈夫……」
デゼルはまだ、熱心に中空を見詰めたまま。
そのデゼルに、今度はケイナ様が駆け寄ってきた。
ケイナ様も、デゼルと同じように中空を眺めていたんだけど、ケイナ様はそんなに嬉しそうなわけでも、かといって、悲しそうなわけでもなかった。
二人には何が見えてるのかな。
ケイナ様はデゼルにそっと耳打ちしたから、二人が何の話をしているのかは、わからなかった。
でも、同じように内緒話で返したデゼルが最後に言った、おめでとうの言葉だけは聞こえて、可愛らしく頬を染めたケイナ様が、はにかんで笑ったのは印象に残った。
――あれ?
ずっと、嬉しそうだったデゼルがふいに、途惑った表情になったんだ。
――あれ、あれ!?
なんだろう、デゼルのあの思い詰めた瞳。
なんだか嫌な予感がする。
どうしたのって声をかけたいけど、デゼルはまだ、ケイナ様との内緒話を続けていて、割り込みにくい。
そう思っていたら、ケイナ様の方がもっと、ぎょっとした顔になってデゼルの両肩をつかんだんだ。
「デゼル、駄目よ! 今すぐ、リタイアして! デゼルじゃ絶対、続けたら後悔する!」
えぇ、リタイアって――!?
なんだろう。
何かが終わってないんだ。
デゼルは何かを続けてる。
「だって、私、サイファの目と腕を癒して頂きたいの。リタイアなんてできないよ」
「本末転倒よ! エリス様の裏攻略ガイドで見たの、最後の神のs」
僕の目と腕!?
それ、ケイナ様より僕に相談してくれないと困るよ。僕のことじゃないか。
すごく、嫌な予感がするんだ。
だけど、ケイナ様はとても大切な用事があって、十三日間は戻って来ないんだ。
何の話か、ケイナ様には聞けない。デゼルに聞かなくちゃ。
僕はこの時、ケイナ様が忽然と姿を消したことを、どうしてか、不思議に思わなかった。
僕だけじゃなく、光の使徒達もみんな、ケイナ様は大切な用事があっていなくなったけど、十三日後には戻ってくるってわかっていたんだ。
それよりもデゼルだよ。
エリス様でも、ケイナ様でもない誰かに、僕の目と腕を癒してもらおうとしてるみたいだけど――
いったい、誰に?
闇の神様かな……。
続けたら絶対に後悔するってケイナ様が言ってたし、デゼルの悲壮な目は、まるで、自身を犠牲にして僕を助けようとしてるみたいに見えるんだ。
今夜にも、必ず、デゼルを問い質さないと。
そう、考えた時だった。
ふいに、デゼルの表情が緩んで、ほっとしたような笑顔が零れたんだ。
――あれ?
デゼルが思い詰めてると感じたの、僕の気のせいだったのかな。
多分、デゼルは今、闇の神様からの啓示に、一喜一憂してるんだろうから――
今夜、ゆっくり聞いたらいいのかな。
そっか。
うん、そうしたらいいよね。
デゼルがいつものように、僕に優しい儚さで微笑みかけてくれたから。
僕は、すっかり安心してしまって。
もう、悲劇は終わったはずなのに、デゼルの笑顔から儚さが消えていないのはおかしいって、気がつかなかった。
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