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第四章 叶わない願いはないと信じてる

第110話 死の神の祝福

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 死神のような骸骨が、風を切るように振るった大鎌が。
 僕を一薙ひとなぎにしたように見えた。

 それは、あまりにも刹那のことで。
 何かを判断する暇も、逃げる隙もなかったんだ。

「えっ……」
「デゼル! エトランジュ!」

 キンコーン

 ――何の音!?

=================================
 第一の願いのサクリファイスが選定されました。
 【サイファ】
 サイファに死の宣告がくだりました。
 三十秒後に、サイファが絶命します。
=================================

 中空にいきなり字幕が現れて、僕が死ぬって宣告されたんだ。

「なっ……やめて! 駄目、やめて!!」
「デゼル!?」

 デゼルにも見えるんだ。

忘却レーテー【Lv9】――ターゲット・サイファ!」

 デゼルが必死な声で叫んだ。
 忘却レーテー【Lv9】って、覚えてる。僕がケイナに支配されてしまった時に、解除した魔法。

時空クロノス【Lv10】!!」

 僕は軽く目を見張った。
 初めて聞く宣言だけど、その魔法が何かは知っていたから。
 デゼルがさらわれた時に、手がかりを探して調べた攻略ノートに魔法の一覧みたいなものがあって、すごい魔法があることに驚いたから覚えてるんだ。
 時空クロノス【Lv10】は時間の巻き戻し。
 だけど、使うとゲームオーバーって書いてあって、ゲームオーバーの意味はわからなかったけど、それって、もしかしたらデゼルの命に関わるんじゃ――
 そう考えた僕はすごく慌てたけど、レーテーもクロノスも失敗したみたいで、中空に出現した30秒のカウントダウンは減り続けてた。

「やだ、いやだ、お願いやめて!!」

 エトランジュも怖がって、火がついたように泣き出した。

「いやぁあああああ!!! サイファ! エトランジュ!!」

 いやだ、困るよ。
 泣き叫ぶデゼルとエトランジュを置いて死ねないのに!

 何が起きているのかわからないまま、死神の大鎌からデゼルとエトランジュを守ろうとして、泣いているデゼルを抱き締めてあげようとして、伸ばした手が届く前に。

 ――カウントダウンが、ゼロになった。
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