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第三章 願いの枠が余ったので
第88話 悪役令嬢はヒロインに入れ知恵する
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それから十日ほどかかって、私達は魔物にされてしまった人達を残らず人に戻してあげられたよ。
デゼルの役割だから、デゼルのシステムにカウンターがあって、わかるの。
私、神様とのゲームをクリアしたい。
二つ目の願いでエトランジュにご加護を頂くつもりだったけど、エトランジュは神様に頼らず、私とサイファで守ればいいよね。
代わりに、二つ目の願いでサイファを癒して頂きたいの。
片目を失うと、残った目に負担がかかって、遠からず、両目とも失明してしまうと聞いたの。
サイファが光を失うなんて、そんなこと、耐えられない。
私のせいよ。
私の何を犠牲にしても、サイファを救いたいの。
私のせいなのに、サイファは一言も私を責めないの。
何もなかったみたいに私に優しいの。
サイファ、サイファ、好きになってごめんなさい。
悪役令嬢の悲劇に巻き込んでごめんなさい。
そう言って泣いて謝る私を、サイファは左腕で優しく抱いてくれたのよ。
「僕がデゼルにプロポーズしたのに、どうして謝るの? ずっと、デゼルのことが大好きだよ」
私、神様とのゲームをクリアしたい。
必要な承認はあとふたつ。
最後の魔物を人に戻してあげられたところで、ずっと、手伝ってくれていた京奈にお願いしてみたの。
「京奈、お願いがあるの。私、京奈に『星空のロマンス』をクリアして欲しい」
京奈が絶句して私を見た。
「私、ネプチューンを殺さなくて済むクリア方法を考えてみたの。聞いてくれる?」
「そんなことできる?」
「闇の十二使徒の闇落ちも、オプスキュリテ公国が滅亡するシナリオも阻止できたもの。私、できると思う」
既に神様とのゲームをゲームオーバーしていた京奈に残されていたのは、戦術【Lv1】と忘却【Lv1】と容姿端麗【Lv10】。
なんていうか、ゲームが苦手な京奈らしいなと思ったけど。
エリス様は嘘をつかないの。本当のことを言わないだけ。
私、これならきっと、いけると思った。
『聖戦の軌跡』を何ステージも1ターンでクリアした私の戦術を、今こそ、京奈に入れ知恵する時!
詳しく説明すると、緊張した顔で聞いた京奈が、静かに、うなずいてくれた。
やってくれるのね!
こうして、『星空のロマンス』のクライマックスが幕を開けたの。
デゼルの役割だから、デゼルのシステムにカウンターがあって、わかるの。
私、神様とのゲームをクリアしたい。
二つ目の願いでエトランジュにご加護を頂くつもりだったけど、エトランジュは神様に頼らず、私とサイファで守ればいいよね。
代わりに、二つ目の願いでサイファを癒して頂きたいの。
片目を失うと、残った目に負担がかかって、遠からず、両目とも失明してしまうと聞いたの。
サイファが光を失うなんて、そんなこと、耐えられない。
私のせいよ。
私の何を犠牲にしても、サイファを救いたいの。
私のせいなのに、サイファは一言も私を責めないの。
何もなかったみたいに私に優しいの。
サイファ、サイファ、好きになってごめんなさい。
悪役令嬢の悲劇に巻き込んでごめんなさい。
そう言って泣いて謝る私を、サイファは左腕で優しく抱いてくれたのよ。
「僕がデゼルにプロポーズしたのに、どうして謝るの? ずっと、デゼルのことが大好きだよ」
私、神様とのゲームをクリアしたい。
必要な承認はあとふたつ。
最後の魔物を人に戻してあげられたところで、ずっと、手伝ってくれていた京奈にお願いしてみたの。
「京奈、お願いがあるの。私、京奈に『星空のロマンス』をクリアして欲しい」
京奈が絶句して私を見た。
「私、ネプチューンを殺さなくて済むクリア方法を考えてみたの。聞いてくれる?」
「そんなことできる?」
「闇の十二使徒の闇落ちも、オプスキュリテ公国が滅亡するシナリオも阻止できたもの。私、できると思う」
既に神様とのゲームをゲームオーバーしていた京奈に残されていたのは、戦術【Lv1】と忘却【Lv1】と容姿端麗【Lv10】。
なんていうか、ゲームが苦手な京奈らしいなと思ったけど。
エリス様は嘘をつかないの。本当のことを言わないだけ。
私、これならきっと、いけると思った。
『聖戦の軌跡』を何ステージも1ターンでクリアした私の戦術を、今こそ、京奈に入れ知恵する時!
詳しく説明すると、緊張した顔で聞いた京奈が、静かに、うなずいてくれた。
やってくれるのね!
こうして、『星空のロマンス』のクライマックスが幕を開けたの。
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