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第三章 願いの枠が余ったので
第89話 決戦! 悪の帝王の宮殿
「誘惑!」
容姿端麗を【Lv10】に上げて、魅力がカンストしたデゼルの誘惑は凶悪だった。
上位スキルのフルポテンシャルで、スピードも上げてあるの。
「よもや、トランスサタニアン帝国の皇宮にこれほど平和に乗り込めようとは……」
金華がなかばあきれた様子で言いながら、誘惑されて抵抗しないネプチューンの幹部を縛っていく。
ラストダンジョンは天界にある、トランスサタニアン帝国の皇宮。
最強の副官である、デゼルとユリシーズが聖女側だから、途中の戦闘なんてもう、ないも同じ。
ユリシーズはもちろん渋い顔をしたけど、京奈に『ユリシーズもルーカスもジャイロも殺さない』約束をしてもらって、ネプチューンを裏切ってもらったの。
私がネプチューンを裏切るなら、もう、どうしようもないと思ってくれたみたい。
次々と闇の十二使徒が襲いかかってくる皇宮を、私の誘惑で、秒で戦闘終了に持ち込みながら突き進んだ。
おかげで、私達は犠牲者を出さないまま、玉座の間に到達したの。
衛兵とかも、全部よ。誘惑で片づけた。
「フルポテンシャルを解除します。さらに、戦術【Lv10】――容姿端麗を【Lv1】にリセットします」
玉座の間に乗り込む前に、私の魅力を限界まで下げておきたいの。これは大事なこと。
玉座の間には今、ネプチューンとユリシーズ、それにジャイロがいるはず。
こちらは私と京奈、サイファと光の十二使徒。
ネプチューンはまともに戦うとさすがに強いから、サイファには翡翠と蒼紫を護衛につけて、ここで待機してもらうことにしたの。
万が一、サイファを人質に取られると話がややこしくなるもの。
ちなみに、ネプチューンに誘惑はきかない。
デゼルの魅了スキルは、そもそも、ネプチューンに与えられた魔力によるものだから、駄目なの。
「京奈、準備はいい?」
「……私、やってみせるわ」
うん、頑張って。
京奈が玉座の間の扉を開け放つと、玉座に悠然と腰かけていたネプチューンが立ち上がり、ゲーム通りのセリフを口にした。
「よく、ここまで辿り着いたな。さすがだと褒めておこう、聖女ケイナ」
戦闘らしい戦闘がひとつもなかっただけに、ちょっとサムイ。
「ネプチューン、会いたかったわ」
「ほう?」
ここからはもう、シナリオとは違う展開よ。
「光の使徒様、ネプチューンを抑えて! デゼル、お願い!」
「ふ、いよいよ本格的に裏切ったというわけか、デゼル!」
散開した光の使徒達が一斉にネプチューンを抑えにかかるけど、さすがに強い。
強いけど――
多勢に無勢ってラクね。
京奈と闘った時とは逆に、こちらが十二人もいるんだもの。
ネプチューン、お気の毒だけど年貢の納め時よ!
「忘却【Lv4】――ターゲット・ネプチューン。京奈の記憶をすべて抹消します!」
「なにっ!? デゼル、きさ――」
ネプチューンはしきりに私を攻撃しようとしたけど、光の使徒が次々と庇いに入ってくれて、一度もヒットしなかった。
多勢に無勢ってホントにラクね。
「京奈、今よ!」
うなずいた京奈が、高らかに声を張り上げた。
「ネプチューン、もうやめて! 私の話を聞いて!」
京奈の記憶を消されたネプチューンは、初めて見た聖サファイアの光の聖女がユリアそっくりだと気づいて、驚愕の表情を浮かべたの。
「容姿端麗【Lv10】――ターゲット・ネプチューン。私はあなたのユリア。あなただけのユリア」
容姿端麗【Lv10】の効果は、ターゲットに術者を世界で一番美しいと認識させること。
支配力はないの。
ただただ、世界で一番、美しいと認識させるだけ。
だからなんだと言われたら、それまでのスキルよ。
だけど、案の定!
ネプチューンは京奈の美しさに見惚れて、ますます、目を見張った。
名付けて『二人は出会った途端、恋に落ち、もう二度と運命に引き裂かれることはない』作戦よ!
「私は聖サファイア共和国の光の聖女ケイナ。――あなたのユリアよ」
「なに……」
ネプチューンがチラッとユリシーズに視線を走らせた。
失礼なやつ! でも、わかってた!
「ネプチューン、もう、ユリアを復活させる必要はないの。もう、罪を重ねる必要はないの。だって、あなたのユリアはここにいるもの! あなたともう一度出会うために、生まれ変わった私がユリアよ!」
「まさか……」
ネプチューンがチラッと私に視線を走らせた。
失礼なやつ! でも、わかってた!
ていうか、京奈すごい。よく、あんなセリフを真顔で言えるよね。
背景には大輪の薔薇の花が咲き乱れて見えて仕方ないの。
京奈なら、天才女優になれそう、ノリノリよ。
「会いたかった、愛しているわ、ネプチューン。ユリアだった前世の私も、そして、京奈として生まれ変わった今の私も、あなたを世界中の誰よりも愛しているわ!」
「……ユリア! もう二度と離さない!!」
ちょろい!!
わかってた、ネプチューン、あなたは女を顔で選ぶ男よ!
ユリシーズも京奈も、ネプチューンのどこがいいのかわからないけど、いいと言うなら幸せになって!
光の使徒達はさすがに、何とも言えない様子で見守ってた。
あ、仙斎と紅紫は感動してる。金華と彩朱はすっごく微妙な表情。
そんなことを考えていたら、切なくて綺麗な旋律、エンディング・テーマが流れ始めたの。
――成功ね!?
やった、やった、ユリシーズもデゼルもネプチューンも生き残ってる、私、シナリオの大改ざんをやり遂げた!
【挿絵】カゴ様
容姿端麗を【Lv10】に上げて、魅力がカンストしたデゼルの誘惑は凶悪だった。
上位スキルのフルポテンシャルで、スピードも上げてあるの。
「よもや、トランスサタニアン帝国の皇宮にこれほど平和に乗り込めようとは……」
金華がなかばあきれた様子で言いながら、誘惑されて抵抗しないネプチューンの幹部を縛っていく。
ラストダンジョンは天界にある、トランスサタニアン帝国の皇宮。
最強の副官である、デゼルとユリシーズが聖女側だから、途中の戦闘なんてもう、ないも同じ。
ユリシーズはもちろん渋い顔をしたけど、京奈に『ユリシーズもルーカスもジャイロも殺さない』約束をしてもらって、ネプチューンを裏切ってもらったの。
私がネプチューンを裏切るなら、もう、どうしようもないと思ってくれたみたい。
次々と闇の十二使徒が襲いかかってくる皇宮を、私の誘惑で、秒で戦闘終了に持ち込みながら突き進んだ。
おかげで、私達は犠牲者を出さないまま、玉座の間に到達したの。
衛兵とかも、全部よ。誘惑で片づけた。
「フルポテンシャルを解除します。さらに、戦術【Lv10】――容姿端麗を【Lv1】にリセットします」
玉座の間に乗り込む前に、私の魅力を限界まで下げておきたいの。これは大事なこと。
玉座の間には今、ネプチューンとユリシーズ、それにジャイロがいるはず。
こちらは私と京奈、サイファと光の十二使徒。
ネプチューンはまともに戦うとさすがに強いから、サイファには翡翠と蒼紫を護衛につけて、ここで待機してもらうことにしたの。
万が一、サイファを人質に取られると話がややこしくなるもの。
ちなみに、ネプチューンに誘惑はきかない。
デゼルの魅了スキルは、そもそも、ネプチューンに与えられた魔力によるものだから、駄目なの。
「京奈、準備はいい?」
「……私、やってみせるわ」
うん、頑張って。
京奈が玉座の間の扉を開け放つと、玉座に悠然と腰かけていたネプチューンが立ち上がり、ゲーム通りのセリフを口にした。
「よく、ここまで辿り着いたな。さすがだと褒めておこう、聖女ケイナ」
戦闘らしい戦闘がひとつもなかっただけに、ちょっとサムイ。
「ネプチューン、会いたかったわ」
「ほう?」
ここからはもう、シナリオとは違う展開よ。
「光の使徒様、ネプチューンを抑えて! デゼル、お願い!」
「ふ、いよいよ本格的に裏切ったというわけか、デゼル!」
散開した光の使徒達が一斉にネプチューンを抑えにかかるけど、さすがに強い。
強いけど――
多勢に無勢ってラクね。
京奈と闘った時とは逆に、こちらが十二人もいるんだもの。
ネプチューン、お気の毒だけど年貢の納め時よ!
「忘却【Lv4】――ターゲット・ネプチューン。京奈の記憶をすべて抹消します!」
「なにっ!? デゼル、きさ――」
ネプチューンはしきりに私を攻撃しようとしたけど、光の使徒が次々と庇いに入ってくれて、一度もヒットしなかった。
多勢に無勢ってホントにラクね。
「京奈、今よ!」
うなずいた京奈が、高らかに声を張り上げた。
「ネプチューン、もうやめて! 私の話を聞いて!」
京奈の記憶を消されたネプチューンは、初めて見た聖サファイアの光の聖女がユリアそっくりだと気づいて、驚愕の表情を浮かべたの。
「容姿端麗【Lv10】――ターゲット・ネプチューン。私はあなたのユリア。あなただけのユリア」
容姿端麗【Lv10】の効果は、ターゲットに術者を世界で一番美しいと認識させること。
支配力はないの。
ただただ、世界で一番、美しいと認識させるだけ。
だからなんだと言われたら、それまでのスキルよ。
だけど、案の定!
ネプチューンは京奈の美しさに見惚れて、ますます、目を見張った。
名付けて『二人は出会った途端、恋に落ち、もう二度と運命に引き裂かれることはない』作戦よ!
「私は聖サファイア共和国の光の聖女ケイナ。――あなたのユリアよ」
「なに……」
ネプチューンがチラッとユリシーズに視線を走らせた。
失礼なやつ! でも、わかってた!
「ネプチューン、もう、ユリアを復活させる必要はないの。もう、罪を重ねる必要はないの。だって、あなたのユリアはここにいるもの! あなたともう一度出会うために、生まれ変わった私がユリアよ!」
「まさか……」
ネプチューンがチラッと私に視線を走らせた。
失礼なやつ! でも、わかってた!
ていうか、京奈すごい。よく、あんなセリフを真顔で言えるよね。
背景には大輪の薔薇の花が咲き乱れて見えて仕方ないの。
京奈なら、天才女優になれそう、ノリノリよ。
「会いたかった、愛しているわ、ネプチューン。ユリアだった前世の私も、そして、京奈として生まれ変わった今の私も、あなたを世界中の誰よりも愛しているわ!」
「……ユリア! もう二度と離さない!!」
ちょろい!!
わかってた、ネプチューン、あなたは女を顔で選ぶ男よ!
ユリシーズも京奈も、ネプチューンのどこがいいのかわからないけど、いいと言うなら幸せになって!
光の使徒達はさすがに、何とも言えない様子で見守ってた。
あ、仙斎と紅紫は感動してる。金華と彩朱はすっごく微妙な表情。
そんなことを考えていたら、切なくて綺麗な旋律、エンディング・テーマが流れ始めたの。
――成功ね!?
やった、やった、ユリシーズもデゼルもネプチューンも生き残ってる、私、シナリオの大改ざんをやり遂げた!
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