ありふれた異能バトル~リレー式~

やすいケンタウロス

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ハーレム!!

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 =高層ビル、屋上=

「これでいいかしら?」

「ああ、約束通り山田探索を手伝おう」

「でもよかったの?」

「何がだ?」

「奥さんだったんでしょ」

「…赤ん坊、一切表情を変えてなかったろ、声も上げねえ、虐待ってやつだよ、あれなら今組織立って動い
てるやつらのとこにいたほうがリョウは安全だ」

「あなたは一緒にいなくていいの?」

「…子を守れないやつはもう父親じゃねえのさ」

 No.55  小鳥遊 龍臣
 ー千里眼ー
 透明な球体を介して遠くを見ることができる、見ているところまでの距離はわからないが方向はわかる

「風が気持ちいいわね」

「…飛び降りるなよ」

 ◇


「待ってくダサーーイ、私全然怪しくないですよ~。おジョーーチャーン!!」

「キャアアアア、追いかけてこないでよこのロリコン!変態!」

 なんでクルミ、こんな変なおっさんに追われてるんだろう。あのお兄ちゃんの言う通りにちゃんと良い子にしてたのに……。

 ~回想~
  お兄ちゃんの計画を聞いてクルミは六軒島さんと仲直りした。それで約束した通りに1日経ってまたあのマンションに行ってみた。でもいくら待っても六軒島さんは出てこなかったの……。クルミ何かいけない事したのかなあ、それで六軒島さんが怒ってクルミが来る前にどっかいっちゃったとか。きっとそうだよね、あの人いっつも怒鳴ってたし、怒りっぽい人なんだよ。
  気をとりなおして六軒島さんを探しにクルミはマンションを出たの。それでしばらく歩いてたら、いつの間にかこの状況。変態な外国の人に追いかけ回されてる。しかも、クルミのごえんだまは全部あの人の彼女みたいな人、豊島って女の人に防がれちゃったの……。

 No.74 豊島 満
 ー氷柱召喚コールドサモン
  ある特定のポーズをとることで乗用自動車ほどのサイズの氷柱を思い描いた位置に召喚する。10時間につき10本。

「ほーら、捕まえまーシタ!!これでお嬢チャンもワターシのトリコでーす。ん?違うのでーす豊島サン、ワターシにそんな趣味なくてデスね。能力を発動に必要な行動ナノでーす。そんな目でこっちを見ないでくだサーイ。」

 千畳川を抱き抱えながら、豊島に必死に弁解するトムの姿はまさに変態のソレだった。表情が明らかにアウトなのである。そんなイチャイチャとしたやり取りを全力でぶち壊すべく、あの集団が走ってきた。

「うぉぉぉ部長!事件です。女子小学生と思われる少女が卑猥なおっさんに連れ去られようとしています!あのおっさん羨まs、じゃない決して許してはなりません!」

「興奮すんなよ、風霧。ロリコンがロリコン罵っても効果ねぇぞ。それより部長、あそこに美女が!あのおっさんに脅されているに違いありません。我々で保護しましょう!!。」

「な、俺はロリコンじゃないっすよ嵐山先輩。ただあの子が心配でですね……。そう、保護!保護が必要だと思って!」

「まぁまぁ落ち着け2人とも。部長も呆れた顔してるだろ?ん、あれは……。おぉぉぉい見ろお前らぁぁぁ。美女が空から降ってくるぞぉぉぉ。急いで回収しろぉぉぉ。」

 本当にバカばっか……。

  徐々に集まってくるトムの協力者達に流石の野球部連中も真剣な表情になった。

「どうやらあのトムって奴の能力で女共は操られてるらしいな……。おい!トムって言ったか?その子を離しやがれ!」

「嫌で~す。こんな上質な抱きまk、ゴホッゴホッ。能力発動に必要なのデース信じてくダサーーイ、豊島サン、滝川サン。あと1分、1分だけですから~。」

「聞いたかお前らぁぁ!リミットはあと1分だ。それであの子もあっち陣営に加わる!何とかして引き剥がすぞぉぉぉ!」

 4人は一斉に駆け出した!

「無駄デース。この2人の他にもワタシはあと3人従えてイマース。No.91のルリチャンが着いたらお前らには勝ち目ありマセーン!」

 真っ先に動いたのは風霧だった。先程の滝川の飛翔。あの速度で移動されたら誰も追いつけない、捕らえるなら今しかない、と。彼の判断は的を得ていたと言える、そして行動も後から見ればとても理にかなったものだった。

「バカやろぉぉぉ、風霧!戦闘中に女に抱きつく奴があるか!盛ってんじゃねーよ!」

「ぶ、部長ー!事件ですっ。この人めちゃくちゃ柔らかくて、いい匂いで……。」

 小・中・高と全てを野球に捧げてきた彼には大人の女性は少々刺激が強過ぎた。心拍数も一気に跳ね上がった事だろう……。

「おま、……。ん?あれは隔壁か?しかもあの女も閉じ込めてる。でかした風霧ぃー!」

 と、今度は豊島が動いた。豊島の計算では一番にトムに近付いているあの子芥子川を注目されていない自分が不意打ちで凍結させるはずだった。しかし、豊島の能力には1つ欠点があった。

「おい、待て健太郎!どこへ行く気だ?トムはあっちだぞ!」

「将太と恭一は先に行ってろ!俺はあの女を食い止める!!」

 うっひょう!!なんだあの姉ちゃん戦闘中に悩殺ポーズとはやるねぇ!!

「そうか、すまんな。おら恭一、さっさと行くぞ!なに立ち止まってんだ!」

「で、ですけど部長!叢雨先輩だけズルいっすよ……。」

「あぁ?健太郎は身を挺して俺たちに道を作ってくれたんだぞ!?ズルいも何もあるかぁ!」

「す、スンマセン……。」

 この人ああいう事にほんと疎いんだよなぁ。バカバカ言ってる自分が一番の野球バカだっつーの。

 な、なんだ!?あの男、私が何かするのに勘付いたのか!?物凄い形相で向かって来てる。威嚇、か……。だが、私の能力は甘くないぞ!

  おいおいおいおい、大丈夫かあのねーちゃんさらに大胆になって来てねーか!?やっぱ俺を誘ってるんじゃ……?

「どんな能力か知らんが喰らえ!氷柱多数召喚・氷雨!!」

「氷雨だと!?雹を降らす能力者だったのか!俺たちますます相性ピッタリじゃねーか!!」

 天下落涙!!

 叢雨へと一斉に降りかかっていた氷柱は一瞬にして砕け散り、真夏の太陽によって2人の間に妙に幻想的な光景が広がった。
 フッ、どうやら天も俺を応援しているらしいな……。

「やはり俺たちはこうなる運命だったんだ!!」

 くっ。負かされた上、勝負は始めから決まっていた宣言、か。

「負けたよ(勝負に)。こうなっては仕方がない、私はあなたにずっとついて行くよ(弟子として)」

 *豊島は元々武闘家気質の父から幼少時より、育てられてきたが、諸事情あってモデルの道を進んでいる。そのため、武闘家気質ながら、比較的虚弱な肉体を持つ。

「恭一、残った時間はあと10秒くらいだ。俺はあの子を引き剥がすから、お前は自分の能力の仮説試してみろ。用意も良いな?」

「任せとけ、部長!ちゃんと能力使うために裸足になってるから……。」

「ぐっ、豊島と滝川は何やってるのデスカ!敵が2人もこちらへ!ん?なんだお前、ぐぁっ。しまった!クルミチャンが!」

 芥子川はトムの顔面に1発、怯んだ瞬間に千畳川を奪い返した。
  あたふたとしているトムにさらなる1撃が襲いかかる。

「右目に当てる!」

 どういう軌道を描いたらそうなるのか、嵐山の繰り出した足は自然な流れで運ばれていき、トムの右目を無慈悲に抉り取った。

「ぐぁっああああ!メガ、目ガァァァァ!」

「よしっ。上手くいった!このままボロボロにしてやる。今度は左目だ!」

 嵐山の左足小指がトムの左目に襲いかかる直前。間一髪のタイミングで突然トムが消えた。

「あれっ?消えた。あいつまだこんな能力持ってたのか?」

「恐らくまだ3人いるっていう協力者の1人だろう。深追いはするな。それより、この状況一体どうするか……。」
  芥子川は部員達の“戦績”に呆れ、深い溜息を吐いた。
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