ありふれた異能バトル~リレー式~

やすいケンタウロス

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OKAMAかつKUMA、登場

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「はぁっ、はぁっ。危ないところでシター。感謝しマース、久保サン。クソッそれにしてもあのガキ共……。絶対復讐してやりマース。」

 No.61 久保 晴美
 ー強制召喚ー
  顔・名前・No.の一致する参加者なら誰でも手書きの魔方陣上に召喚できる。魔方陣は一回のみの使い捨て。

「フゥ…助かったデース、Thank youネ、久保サン」

「ア…アァ」

「久保サン?」

「きゃああああああ!!」ドサッ

 突如、倒れる久保!トムは慌てて後ろを振り向いた!
 そう!トムが見たものとは!

「ウワアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「あら?驚かせちゃったかしら♪」

 身長212cm 体重120㎏
 その巨体は決して脂肪などという情けないものなど一切ついておらず、ほぼすべてが筋肉…おそらく体脂肪率は一桁であろう!

 No.2 阿武隈 マコト
 ー男は度胸、女は愛嬌オカマは最強
 男性であれば度胸、女性であれば愛嬌が出る

 そして阿武隈はオカマであった!すなわちそれは男らしさと女らしさを兼ね備えているということ!
 今ッ!度胸と愛嬌、そして阿武隈が前から持っていた圧倒的プレッシャーが混ぜ合わさり!一国の王クラスのカリスマを発揮していた!

「ウアア…アア…」

 トムは悟った!自分は絶対に目の前の生物に勝つことは決してできないと!

「あらあら♪そんなに震えちゃって…可哀想ね」

「ヒッ!」

 トムは腰が抜けていた!しかしトムの生存本能は健気にトムの手足を動かし後ろへと後ずさっていた!

「どこへ行くのかしらぁ?危ないわよぉ」

 笑顔の阿武隈がトムの頬に手を添え、トムの顔を覗き込む!

「ヒィィィィィ!!」

「そんなに怖がらないの♪ところでアタシ、聞きたいことがあるんだけど…」
 逃げられない!トムは覚悟した!こうなればもうこの会話を乗り切るしかない!

「ナ、ナンデゴザイマショウ」

「オンナのコたちを能力を使って服従させる最低野郎はあなたかしらぁ」

 トム!絶体絶命!阿武隈の語尾にはもはや疑問詞すらついていない!トムは理解した!この生物は自分を逃がす気は無い!
 トムの頭に走馬燈が流れる…幼いころ両親と暮らした屋敷、家にはもうおばさんといっていい年のメイドしかおらず、トムは普通に暮らしていた。そして5歳の時行った幼稚園、そこでトムは運命の」


 ー正義執行ー

 ドッ

「ただの最低ガチペドロリコン野郎じゃないの…」

 トムは空高く打ち上げられた!ああ!さらばトム!君の夢はここで敗れた!

 ートム・スティラー!脱落!ー






「しかし、この子どうしようかしら?」

「私が運ぶよマコト、君は心は乙女でも体は漢だろう?」

「名案ね♪でも大丈夫?冥慈ちゃん?」

 ひょこっと阿武隈の背から身長130~140㎝程の女性が現れる!

「大丈夫だよ、こう見えてもランキング20位だ」

 No.20 月夜見 冥慈
 ー丑三ツ独歩ー
 午前二時から三時までの間、誰も追いつくことができない(前方からであれば近づける)

「よいしょっと」

 月夜見は女性とはいえ自分より大きい久保を軽々と背負った!

「ありがとね♪冥慈ちゃん♪」

「礼には及ばないさ……………それにマコトの背は私だけのものだボソッ」

「?何か言ったかしら冥慈ちゃん、やっぱりアタシが担ごうかしら?」

「なんでもないよ…オカマじゃなかったらもうちょっと攻略しやすいんだけどなぁ…」


 滝川、豊島はすぐにその事態に気が付いた。

「「トムの能力が…消えた…?」」

 しかし、あの変態が自分から能力を解除するとは到底考えられない…つまり

「死んだのか…」

 ゴミみたいなやつであったがあんな奴でも…

「いや、ないな…」

 そんなことはなかった!







  「くそっ、あの2人組まだ追ってきやがる……。やっぱ歩きだけじゃまけねぇな~、かといって走るのはダメだし戦うのも分が悪いし……。」

 No.12 大木 直哉
 ー爆音ロードー
 走る音全てが爆音に変わる。

  街の西、公園や広場の点在するこのエリアは木や遊具、噴水など多くの障害物が設置してある。大木は物陰に隠れながら襲ってきた2人組みから何とか逃れようとしていた。

「いたか、新田?さっきの奴の身のこなしは明らかにランキング上位者だ。早く狩ってポイント稼ごうぜ。」

 No.80 徳田 吾郎
 ー伝説の傭兵ー
 持った武器の特性を最大限発揮させる。
 例・刀を持てばあらゆるものを斬れる

 No.67 新田 天
 ー万能武器商ー
 123種類の武器の中からランダムで1つ召還
(壊れたら再召喚可能)

「そうだな、能力も使ってこないし……。しかしこのエリアは追い詰めにくいなぁ全く。これじゃあ逃げ足の早そうなあいつは逃げちまうぜ。」

 ハッハッハと笑い合う2人。しかし、一向に反応がない。2人は能力の相性から1日目開始時に程なく合流、獲物を探して西エリアを歩き回っていた。

「どうやらあの2人は武器供給と武器使用に完全に役割を分けてる様だな……。武器供給の能力者はいいとしても武器使用者の能力は一体何なんだ。ボウガンは岩を壊すための武器じゃねぇんだぞ……。」

  徳田の放ったボウガンのあまりの威力に大木はかなり動揺していた。

「このままじゃマジで殺されちまう……。さっさとこの場を離れねぇとな~。だけど1人じゃ無理っぽいしな。」

「そのようだナ。こうなっては仕方ない2人で協力するヨ。」

 突然の声にビクッと肩を震わせる大木。見ると隣に中華な雰囲気の美女が同じように身をかがめている。

「うおっ、あんた誰っすか!?いったいどこから……。」

「ん?ああ、そういえば自己紹介がまだだったネ。私、練 白れん はくという。いずれは中国一のラーメン屋を経営する女ネ、よろしくアル。」

 No.16 練 白
 ー頭脳調査官ー
 相手の頭の良さが数値で分かる

「え、ええ。俺は大木っす、よろしく……。」

 練の怒涛の自己紹介に面食らいながらも真面目に答える大木。自身の命が危ない今、流暢に協力者を選んでいる暇などない。

「俺はランキング12位で足音が爆音に変わるっていう邪魔な能力っす。練さんのは?」

「私も役に立たないゴミ能力ネ。相手の頭の良さが数値で分かる。
 お前のは42って出るが基準が無いからイマイチよく分かってないネ。」

 と、徳田のボウガンが遂に2人を見つけた。

「おぉ、新田見つけたぞ!!」

 そう言うと無造作にボウガンの弦をいじる。それを見ていた新田は新たに武器を召喚した。

「よし、壊れたと認定された。ほらよ徳田こいつで粉々して来い。」

「ハンマーか?壊しにくそうだな……。」

 新田から鉄槌を受け取ると徳田は走り始めた。

「うわっ来た!練さんこっちへ。取り敢えず逃げるのが先っす。大丈夫この先に俺の隠れ家が……。」

「いや、分かれて逃げるネ。」

 え、何で?

「お前うるさ過ぎ。」

 能力忘れてました。

 大木がありえない音量の爆音で囮となり逃げ回っている間に練はひっそりと徳田の後をつけていた。

「走力はそれほどないナ、ランキング下位者だナ?あいつ。能力は…武器の性能向上カ?武器を壊せばそれ程でもないはずネ。」

 確信した練は一気に徳田の背後まで移動すると体当たりを食らわせ吹き飛ばした。

「師匠に扱かれながら身につけた強力な八極拳、じっくり味わうがいいネ!!」

 体勢を崩した徳田にとどめを刺そうと練は手を伸ばす。しかし、徳田が無造作に振った鉄槌が腕にあたり練は後方に飛ばされた。

「グハッ、ハッ、ハッ。」

 直撃した左腕を抑える練。あいつが適当に振り回しただけでこの威力……。ハンマー相手に接近戦は絶望的ネ……。
 じりじりと間合いを取る練はそこである事に気づく。
 いつの間にか爆音が無くなってる……、あいつうまく逃げきったのカ?

「おいおい、余所見してていいのか?」

 飛び上がって間合いを詰めてきた大木を間一髪でかわした練。振り下ろされた鉄槌は宙をきってそのまま地面へ振り下ろされた。

 ボッゴォォォォン

 周囲の地面ごと崩され、徳田の足元に巨大なクレーターが出来上がった。

「へぇ、あんたよく避けたね。ん?おいおいマジかよこのハンマーもう壊れちまった。おーい新田!武器の補充だ!!」

 その言葉に青ざめる練。地面へ振り下ろした衝撃でハンマーが壊れた!?素手で勝てる相手じゃないネ……。

 ジャマダハルを受け取り徳田が練を刺し殺そうとした瞬間、そこに割って入る者があった。

「お、お前何してるね!!あいつの武器を諸に受けたら……。」

 がしかし、間に入った女性は無傷だった。呆気に取られる新田、徳田、練。

「練ちゃん、早くこっちへ!!今のはあの人の攻撃対象があなただったから避けられただけです。次はそうもいきません!!」

 そう言うと練の手を取って走り出した。そこでハッと我にかえる練。

「そうネ!早く逃げないと……。」

 徳田達も慌てて追いかけ始める。

「お、おい何やったか知らねぇが逃げ切れると思うなよ!!さっさと殺して終わらせてやる。」

 しかし、逃げるうちに西エリアを出た練達はビル郡に駆け込んで行ってしまった。


  
 あるビルの3階

「とにかく助かったネ。あなた何者カ、何で私の事知ってるアル?」

「さっきあの公園にいた時に急に男の人に頼まれたんですよ、あの娘を助けてくれって。私も自分の能力で人を助けられるならって……。あれも本当にたまたまだったんですよ。」

 No.49 雲架 澪
 ー意思ナキ力ハ力ニ非ズー
 自身を認識していない状態での攻撃を無効化する

「そうだったのカ……。大木、なかなかの男アルネ。そう言えばその大木はどこカ?まだ公園に?」

「大木君は別の場所から攻めてみるって言ってたわね……。またあの2人組に挑みに行ったんじゃないかしら?」

「何!?あいつ、無鉄砲すぎるネ!!雫、本当に助かったアル。恩はいつか返すネ……。私は大木を助けに行かないト。」

 街に隠れるつもりの雲架と別れると練は再び聞こえ始めた爆音の方に向かった。

 ドゴォォォンドゴォォォンドッゴォォォオオオン

「くそっ耳がおかしくなる……。あいつ、爆音で俺たちの連携を絶とうとは考えたな。確かにこう煩いと何も聞こえねぇな。」

 ブーメランを持った徳田は新田と交戦している大木へ放つタイミングをはかっていた。

「新田!!一旦距離を取ってくれ。チッやっぱ聞こえてねぇな……。」

 取り敢えず投げてみるか、と徳田が振り上げたブーメランを新たな影が叩き落とした。

「お前は……。さっきの女!!」

「武器が無い今、お前の戦闘力は無いに等しいネ。ちょっと眠ってろヨ。」

 腹部へ1発入れて気絶させると折り曲がったジャマダハルを器用にかわしている大木に声をかけた。

「大木!もう充分ネ。こいつが寝てるうちにさっさと逃げるヨ!」

 だが爆音で届かない声、依然として2人は戦っている。

「逃げるって言ってるダロ!!」

 大木にも1発入れ担ぎ上げた練は新田へ言い放った。

「相棒は私が沈めたネ、同じ目に遭いたくなければ私達を見逃すアル!!」

 悔しげな表情だが新田は練との実力差をしっかりと理解していた。

「フン、しょうがないな。今回は見逃してやるよ……。」

 同じように徳田を担ぎ上げて新田は西エリアに去っていった。

「何とか逃げ切れたネ。武器があったら確実に負けてタ。上位能力者強すぎネ……。」

 練は身を隠すため中央エリアのビル群の中へ歩いて行った。






 =ショッピングモール三階フードコート=

「はい、あーん///」

「あーん、あむっ」

 今、俺は女の子にあーんしている、少し照れるような恥ずかしいような、何せ親戚の子供の面倒を見ることはあったが、こういった思春期にありそうな甘酸っぱい体験はほとんどない、男子校出身故の定めである。

「相馬さん、顔が真っ赤ですけど大丈夫ですか?」

 心配そうな顔で柘榴ちゃんがこちらを覗き込んでくる、ああああかわいいけど君は腕がないんだからそういう椅子から落ちそうな行為は…

「うわっ」

 ほら言わんこっちゃない!俺は慌てて柘榴ちゃん抱きとめる。うあわああ、いい匂いする!

「だ、大丈夫かい」

「あっ、ありがとうございます。」

 出会ってすぐの男性相手だというのに嫌悪感を見せるどころか笑顔でお礼を言ってくる柘榴ちゃん…
 もう俺、死んでもいいかも…

 ◇

 今、わたしはショッピングモール三階のフードコートに来ている。
 目の前には私の世話をしてくれている親切な男性、相馬イブキさん、火傷の痕や腕のことを気にするそぶりも見せないし、わたしがこけてもすぐかばえるようにわたしの斜め前に立ってエスコートしてくれたり、退屈させないように話しかけてくれたり、とっても優しい人です。やっぱり人を見かけや言葉遣いで判断してはいけませんね。

「はい、あーん///」

「あーん、あむっ」

 今はカウンターに座りご飯を食べさせてもらっている。一日ぶりのご飯、餓死は無事免れた。
 わたしは誰かに支えてもらわないと生きて行けない、しかしわたしが助けてもらう誰かに返せるものはほとんどない。
 でも今は能力がある、戦うのは怖いけどせめて相馬さんの力になるくらいの恩返しできるのではないだろうか、戦えとか言われてもできる気がしないし相馬さんはそんな人ではないと信じてるけど。
 ふと、相馬さんの顔を見る、真っ赤だ、風邪でも引いたのだろうか?

「相馬さん、顔が真っ赤ですけど大丈夫ですか?」

 心配になって顔を覗き込むが、相馬さんの顔はますます紅くなる

「うわっ」

 相馬さんの顔を見るのに意識を取られてうっかり椅子から落ちそうになってしまう

「だ、大丈夫かい」

「あっ、ありがとうございます。」

 相馬さんに抱き留められる、危なかった、わたしの貧弱ボディでは何が命にかかわるかわからない、前には軽くこけただけで肋骨を折ったこともあったのだ。本当に今までよく生きてこれたと思う。
 相馬さんはわたしを抱きしめたままぼうっとしている、温かくて安心するがこのままいても迷惑だろう。

「相馬さん…あの」

「あ、ああごめんごめん」

「いえ、謝ることでもないと思いますけど…」

 相馬さんの顔はまだ赤い、本当に大丈夫だろうか?

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