6 / 33
No.1
しおりを挟む
スマホの画面を見ていた國川はポツリと呟いた。
「さっき滝川が血相変えてこいつを連れて来てまたすぐに出て行ったから何かあると思ったが……。」
「何かあったのか?國川じい。」
「トムの奴が死んだようじゃ。あやつは別にどうなろうと知った事ではないが、あの能力を失うのは色々まずいのう……。これで我々の中でまともに動けるのはわしの奴隷1号……No.60六軒島怜斗だけとなってしまった。」
六軒島は國川に軽く一礼。
「フフン。大丈夫だよ、じい。むしろこっちの方が俺としては好都合。」
「どういうことじゃ?」
「俺はあいつの裏切りの方が怖かったって話さ……。まぁ、あいつが死んだおかげであの子がなんの縛りも無く俺たちの陣営に加わってくれる。」
と、タイミングを見計らったように滝川木ノ葉が上空より舞い降りた。
「トムに操られていても自我は普通に存在してるからね、話したら快く受け入れてくれたよ。トムを殺すって条件付きで。」
ニッコリと微笑む滝川。
「ほう、そうじゃったか。じゃが、わからんのぉ。確かに滝川の機動力と探査能力の優秀さはわしも認めるが、トムを殺してまでとるほどのものか?あっちは人手も多い分、兵力としても優秀じゃが。」
「じいが懸念してることはよく分かるよ。俺たちは肉体派の集団ゴリ押しに弱いってことだろ?大丈夫、滝川の能力は近接戦においてもかなりの強さだと思うから。」
目を見張る國川、滝川。
「滝川の最大100キロで飛翔可能ってあるだろ?あれ、0キロだとどうなるか考えたんだよ。恐らくは、絶対静止状態。あらゆる物理的干渉を受け付けないものだろう。まぁその間木ノ葉は動けないが……。100キロの攻撃力もバカにはできないしな。」
「なるほどのぉ。肉体派といえば天道、おぬし1位の能力分かるか?わしらの天敵みたいなやつじゃが……。」
「あぁNo. 1か?レール・サスキンソンとかいう奴だけど、あいつは動けないよ。自分の能力に殺されてるからな……。」
◇
レールはその名を広く世に知られた凶悪殺人鬼である。彼は元々FBIの調査官だった。彼の名を爆発的に広めたのは日本でのある事件だった。
10月10日の悪夢。FBI調査官、レール・サスキンソンが交差点にて突如として発狂。相棒の男の両眼を一瞬にして抉り取ると民間人、警察含め合計26人を惨殺。6人目にして何とか彼を取り押さえた警官によると彼は捕まる時、悪魔の様な笑みを浮かべていたという。
彼の凶行はこれだけでは終わらない。囚人になって以降も惨殺は続いた。同房に入れられた囚人、気に食わない看守、監獄で働く清掃員、調理師。あらゆる方法を使い人を殺し続けた彼は遂には独房に入れられ人との接触の一切を断ち切られた。そして3日後の死刑執行を待っている最中、彼は今回のゲームによって再び解き放たれた……。
「クソッ、駄目だ何で俺は、あぁぁぁぁ。今になって殺した奴らの顔がチラつく。クソッ信じらんねぇ、とんでもねぇクソ能力だ。」
ゲーム開始直後から自分の能力に嫌な予感を感じつつも行動したレール。呼吸するかの様に立て続けにNo.15、No.31、No.54の3人を殺したがそこで限界がきた。
脳内に流れ込む胸糞悪い感情……。何だ?俺が、狂気の死刑囚と呼ばれたこの俺が殺人を悔いているだと!?ありえない、ありえない、ありえなぁぁぁぁい!!
「暴れてますねぇ~、ランキング1位ともあろうものが情けない……。」
「誰だ?てめえ。俺は今イラついてんだ、殺されたくなかったらさっさと汚ねぇ口閉じて帰んな。」
突如現れた青年は荒ぶるレールを鎮めているのか煽っているのか終始穏やかな口調で話した。
「できないでしょう?だから困ってる。“改造屋”の俺を雇ってみませんか?今なら1000ポイントで請け負いますよ。能力の改造。」
「出来るのか?この能力を変えることが?雇う、雇うから早く変えてくれ。もう駄目なんだ、早くしないと俺はぁぁ完全に狂っちまう。」
「分かった。俺は堂之内 天智。取り敢えず、能力のページ開いてくれ。」
No.65 堂之内 天智
ー若手作家の苦悩ー
能力文に加筆・修正ができる。
*・改変した分バランス保持の為に新たな条件などが発生する。
・能力名は変えられないため名前と何らかの関連が無ければ能力は無効となる。(この場合オリジナルも消える)
・能力を変える場合、必ずしもスマホに触らなくても良い。スマホに触って変えた場合はその能力は本人と改変者には無効となる。
・スマホに触らずに能力を変えるには、相手の口から名前・No.・能力名・正確な能力文を言わせなければならない。
・能力を変更した場合でもそれまで効果が続いていたものはその条件のまま続行される。その場合能力の効果は使用者に加えて改変者が殺されても止まる。
「さーて、どうするかなぁ。お、何々?天使の囁きかー、そうだなぁなら伝達系能力にしとくか。これならそこまで条件も重くならないだろうし……。これでどうだ?」
ー天使の囁きー
人を傷つけると良心がとがめる。
↓
天使を遣わすことで他者の脳内に直接語りかけることができる。
*・No.を必ず指定しなければならない
・天使は無尽蔵に出てくる
・必ずしも天使は使用者の味方という訳ではない
「……清々しい気分だ。やっとあの感情を吹っ切れた。能力はこれで問題ないな……。おい、堂之内。俺と組もうぜ。お前がいれば今まで不遇だったランキング上位者が一気に無双できる。強能力に頼りきってる奴らを全員ぶっ殺そうぜ。」
「いや、俺はこの商売で儲けるだけ儲けたらさっさと脱出するつもりなんでな。ま、ビジネスパートナーなら引き受けてやるよ。」
遂に3日目にしてランキング上位者達の逆襲が始まる……。
レール陣営
No.5早川
ー雨男ー
外に出ると自分の周囲に局所的に雨が降り出す。
但し、本人が雨を願っている場合を除く
↓
ー雨男ー
自分の周囲に水を集めて操る
*どんな状況でも水は周りに集まる。
No.10星野 真帆
ーレンゴン君・無限発生ー
発動すると本ゲームのオリジナルマスコット・レンゴン君(手足の生えた蓮根)の人形が発生し続ける。
↓
ーレンゴン君・無限発生ー
発動するとレンゴン君型戦闘ロボットが5分ごとに召喚される。
*レンゴン君ロボットの制御は誰にもできない
No.13 勝馬 鉄
ー不運な数字ー
発動すると13の倍数の参加者が全員死ぬ。
↓
ー不運な数字ー
指定したNo.の参加者に何か不幸な出来事が訪れる。
*それと同じことが使用者にも起こる。
「さっき滝川が血相変えてこいつを連れて来てまたすぐに出て行ったから何かあると思ったが……。」
「何かあったのか?國川じい。」
「トムの奴が死んだようじゃ。あやつは別にどうなろうと知った事ではないが、あの能力を失うのは色々まずいのう……。これで我々の中でまともに動けるのはわしの奴隷1号……No.60六軒島怜斗だけとなってしまった。」
六軒島は國川に軽く一礼。
「フフン。大丈夫だよ、じい。むしろこっちの方が俺としては好都合。」
「どういうことじゃ?」
「俺はあいつの裏切りの方が怖かったって話さ……。まぁ、あいつが死んだおかげであの子がなんの縛りも無く俺たちの陣営に加わってくれる。」
と、タイミングを見計らったように滝川木ノ葉が上空より舞い降りた。
「トムに操られていても自我は普通に存在してるからね、話したら快く受け入れてくれたよ。トムを殺すって条件付きで。」
ニッコリと微笑む滝川。
「ほう、そうじゃったか。じゃが、わからんのぉ。確かに滝川の機動力と探査能力の優秀さはわしも認めるが、トムを殺してまでとるほどのものか?あっちは人手も多い分、兵力としても優秀じゃが。」
「じいが懸念してることはよく分かるよ。俺たちは肉体派の集団ゴリ押しに弱いってことだろ?大丈夫、滝川の能力は近接戦においてもかなりの強さだと思うから。」
目を見張る國川、滝川。
「滝川の最大100キロで飛翔可能ってあるだろ?あれ、0キロだとどうなるか考えたんだよ。恐らくは、絶対静止状態。あらゆる物理的干渉を受け付けないものだろう。まぁその間木ノ葉は動けないが……。100キロの攻撃力もバカにはできないしな。」
「なるほどのぉ。肉体派といえば天道、おぬし1位の能力分かるか?わしらの天敵みたいなやつじゃが……。」
「あぁNo. 1か?レール・サスキンソンとかいう奴だけど、あいつは動けないよ。自分の能力に殺されてるからな……。」
◇
レールはその名を広く世に知られた凶悪殺人鬼である。彼は元々FBIの調査官だった。彼の名を爆発的に広めたのは日本でのある事件だった。
10月10日の悪夢。FBI調査官、レール・サスキンソンが交差点にて突如として発狂。相棒の男の両眼を一瞬にして抉り取ると民間人、警察含め合計26人を惨殺。6人目にして何とか彼を取り押さえた警官によると彼は捕まる時、悪魔の様な笑みを浮かべていたという。
彼の凶行はこれだけでは終わらない。囚人になって以降も惨殺は続いた。同房に入れられた囚人、気に食わない看守、監獄で働く清掃員、調理師。あらゆる方法を使い人を殺し続けた彼は遂には独房に入れられ人との接触の一切を断ち切られた。そして3日後の死刑執行を待っている最中、彼は今回のゲームによって再び解き放たれた……。
「クソッ、駄目だ何で俺は、あぁぁぁぁ。今になって殺した奴らの顔がチラつく。クソッ信じらんねぇ、とんでもねぇクソ能力だ。」
ゲーム開始直後から自分の能力に嫌な予感を感じつつも行動したレール。呼吸するかの様に立て続けにNo.15、No.31、No.54の3人を殺したがそこで限界がきた。
脳内に流れ込む胸糞悪い感情……。何だ?俺が、狂気の死刑囚と呼ばれたこの俺が殺人を悔いているだと!?ありえない、ありえない、ありえなぁぁぁぁい!!
「暴れてますねぇ~、ランキング1位ともあろうものが情けない……。」
「誰だ?てめえ。俺は今イラついてんだ、殺されたくなかったらさっさと汚ねぇ口閉じて帰んな。」
突如現れた青年は荒ぶるレールを鎮めているのか煽っているのか終始穏やかな口調で話した。
「できないでしょう?だから困ってる。“改造屋”の俺を雇ってみませんか?今なら1000ポイントで請け負いますよ。能力の改造。」
「出来るのか?この能力を変えることが?雇う、雇うから早く変えてくれ。もう駄目なんだ、早くしないと俺はぁぁ完全に狂っちまう。」
「分かった。俺は堂之内 天智。取り敢えず、能力のページ開いてくれ。」
No.65 堂之内 天智
ー若手作家の苦悩ー
能力文に加筆・修正ができる。
*・改変した分バランス保持の為に新たな条件などが発生する。
・能力名は変えられないため名前と何らかの関連が無ければ能力は無効となる。(この場合オリジナルも消える)
・能力を変える場合、必ずしもスマホに触らなくても良い。スマホに触って変えた場合はその能力は本人と改変者には無効となる。
・スマホに触らずに能力を変えるには、相手の口から名前・No.・能力名・正確な能力文を言わせなければならない。
・能力を変更した場合でもそれまで効果が続いていたものはその条件のまま続行される。その場合能力の効果は使用者に加えて改変者が殺されても止まる。
「さーて、どうするかなぁ。お、何々?天使の囁きかー、そうだなぁなら伝達系能力にしとくか。これならそこまで条件も重くならないだろうし……。これでどうだ?」
ー天使の囁きー
人を傷つけると良心がとがめる。
↓
天使を遣わすことで他者の脳内に直接語りかけることができる。
*・No.を必ず指定しなければならない
・天使は無尽蔵に出てくる
・必ずしも天使は使用者の味方という訳ではない
「……清々しい気分だ。やっとあの感情を吹っ切れた。能力はこれで問題ないな……。おい、堂之内。俺と組もうぜ。お前がいれば今まで不遇だったランキング上位者が一気に無双できる。強能力に頼りきってる奴らを全員ぶっ殺そうぜ。」
「いや、俺はこの商売で儲けるだけ儲けたらさっさと脱出するつもりなんでな。ま、ビジネスパートナーなら引き受けてやるよ。」
遂に3日目にしてランキング上位者達の逆襲が始まる……。
レール陣営
No.5早川
ー雨男ー
外に出ると自分の周囲に局所的に雨が降り出す。
但し、本人が雨を願っている場合を除く
↓
ー雨男ー
自分の周囲に水を集めて操る
*どんな状況でも水は周りに集まる。
No.10星野 真帆
ーレンゴン君・無限発生ー
発動すると本ゲームのオリジナルマスコット・レンゴン君(手足の生えた蓮根)の人形が発生し続ける。
↓
ーレンゴン君・無限発生ー
発動するとレンゴン君型戦闘ロボットが5分ごとに召喚される。
*レンゴン君ロボットの制御は誰にもできない
No.13 勝馬 鉄
ー不運な数字ー
発動すると13の倍数の参加者が全員死ぬ。
↓
ー不運な数字ー
指定したNo.の参加者に何か不幸な出来事が訪れる。
*それと同じことが使用者にも起こる。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
クロワッサン物語
コダーマ
歴史・時代
1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。
第二次ウィーン包囲である。
戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。
彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。
敵の数は三十万。
戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。
ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。
内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。
彼らをウィーンの切り札とするのだ。
戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。
そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。
オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。
そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。
もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。
戦闘、策略、裏切り、絶望──。
シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。
第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる