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病気
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月明かりが照らす道を草元は夏樹を背負い、走っていた
「夏樹、もうすぐだ、もうすぐ帰れる」
「…」
「ああでも邪魔者がいるかもしれないな、ああそうだな、排除しような」
「…」
「っと、ぐっすり寝てる、独り言も辞めよう、寂しいけどそれ以上に悲しくなってきた、大人しく起きるのを待とう」
草元は自身の背中で眠る夏樹の寝顔を見てほほ笑む
「なあ、夏樹が寝てるんだ、起こそうとは思うなよ」
「貴方が巨人のパートナーですね」
満月から少し欠けた月が相対する二人を照らす、草元と艶ノ小路、恋愛を理由に行動する狂人と病人が今ここに遭遇した
「ったく、今は気分がいいから戦う気が無いんなら見逃してもよかったんだがなぁ」
めんどくさそうに呟く草元を艶ノ小路が睨む
「一つ、質問があります」
「あん?」
「巨人と戦っていた4人、特に青いジーンズに白いシャツの男性が今どうなってるか知りませんか?」
「ん?え~っと、ああ、あいつらね」
草元は今まで忘れていたことをようやく思い出したかのように、ニヤリと口元を歪めて言う
「夏樹を傷つけたからな、土の下にまとめて埋めてやったよ」
「そう…ですか…」
艶ノ小路の顔から表情が消える
「んで、それがどうした嬢ちゃん、生憎俺は早く帰りたいんだそこを退け」
「いえ、今のを聞いて絶対に引けない理由ができました。それとこんな感情は初めてです、いえ、悪いことだとはわかってはいるんですけど止められそうにないです」
「ん、そんな怖い顔してどうしたよ?」
艶ノ小路は今度は明確な殺意を持って草元を睨みつける
「イブキを殺しましたねいえマコトさんが言っていたから少なくとも死んではいないのでしょうあの人はなんかそのへん鋭そうですしでも貴方がイブキを傷つけたことに変わりはありませんこんな気持ち初めてですさっきの外国人の男の人と遭った時はこんな気持ちにはならなかったんですけどねあなたが憎いあなたが嫌いだ死んでほしいああわたしがこんな気持ちを抱く時が来るなんて思いませんでしたわたしの大好きなイブキを傷つけた貴方が許せないこれが殺意というものでしょうか今ならわたしがなんでこんな能力を貰ったのかわかるような気がします頭では悪いことだと嫌な感情だとこんなことして喜ばれることなどないと思っているのにどうしても貴方を殺したいなんで貴方はそんなにのうのうと大切な人と歩いているのですかどうして貴方の大切な人はそんなに幸せそうに眠っているのですか何故4人もの人を重症に追いやってそんな顔をしていられるのですかいえ言わなくてもわかりますよきっと今わたしがしようとしていることは貴方がしたことと同じこと唯大切なもののためだけ唯それだけ悪く思わないでください因果応報したことが返ってくるそれだけです」
「あーはいはい、うるさいから死んで」
草元は壊れた機械のようにしゃべり続ける艶ノ小路の頭を蹴り上げようとして
「あれ?」
その場に膝をつき、座り込んだ
「貴方の両足を『殺し』ました大丈夫ですもう貴方の足は動くことはありませんが車いすがあるので両腕がないよりはいいと思いますよさてどうしましょうかこのまま貴方に死んでもらうのもいいんですけどそれだとなんか違う気がしますそもそもわたしは貴方を『殺す』つもりだったのに足の殺傷なんてことをしてしまいましたなんででしょうか?ねえどう思います?」
「こいつッ!」
草元は夏樹をやさしく地面に下ろし、腕だけでなんとか動こうとする、しかし彼は6位、1位~3位なら腕だけで走るなど化け物のような行動をとれるかもしれないが生憎彼は一般人、彼らのような逸般人ではないためまともに動くことはできない
「自分でもよくわからないんですけど心の底ではまだ殺したくないっていうのは違う気がしますだって初めてだけどわかります貴方を殺したいそれだけは確かな感情でそれを止めようとする感情はどこにもないですたぶん貴方と同じです大切な人の物のためならそれ以外すべていらないなんて普段は思えないでしょうけど今なら思えますある意味ではあなたに感謝すらしていますよわたしはこんなにイブキのことが好きなんだって気づけましたからまあ許しはしませんが、私事ですけど病院って多くの人が死ぬところなんですよく話した寝たきりのおばあさんとか難病が治ると笑顔で希望を抱きながら手術台から戻らなかった子どもとかでもわたしは彼らが死んだとき悲しいとは思いましたがここまでの激情は抱きませんでしたそもそも事情が違うといわれるかもしれませんが同じことです人の命に変わりはないイブキは死んでませんけどでも人によって命の価値は違ういえ大統領と市民の差ってわけじゃないですよ単にその人にとって誰が大事かって話です家族と他人のようにまあ何が言いたいかといえば私にとって貴方の価値はマイナスですだから殺したい」
「ッ!」
ここに来て草元は初めて艶ノ小路の目を見て理解した、もう逃げられない、自分は相手の掌の上だと、狂った者には説得も通じない
「ああ、わかりましたなんで貴方を殺していないのか平等じゃないですよねわたしと貴方体はわたしが腕で貴方が足まあこれで平等としましょうでは状況はどうでしょうかわたしは大好きな人が重傷を負った急いで救助しないと死ぬかもしれませんとても心配で心配で不安で怖くて恐くてはやく助けに行きたいですでも何故かそれ以上に貴方を殺したいきっと初めて抱いた感情だからですかね人を心配になったことはたくさんありましたが殺したいなんて本当に初めてですおっと話がずれましたね何が平等じゃないって貴方の大切なモノは全く傷ついていませんよね」
「まさかお前!待て!」
「嫌です待ちません」
艶ノ小路は慌てる草元を一瞥し彼の奥に横たわる夏樹を見た、その口はニィっと三日月のように歪んでいて目は濁りきっている
「あれ、康クン?」
「待て!やめろぉ!」
ちょうど夏樹が目を覚ます、草元の叫びを聞き艶ノ小路はさらに三日月のような笑みを深める
「はい『殺傷』♪」
「ああああああああああああああああ!!!!」
艶ノ小路の言葉とともに夏樹の目から一瞬光が消える
「ここはどこ?」
「あ、あ?」
夏樹は生きていた、それに草元は安堵し夏樹に手を伸ばそうとする、がその手を振り払われる
「うわっあなたは誰ですか?いきなり手を伸ばされるとちょっと吃驚しますよ、というか大丈夫ですかその足」
「うわあああああああああああああああああああ!!!!」
「ひぃっ」
艶ノ小路は夏樹の草元に関する一切の記憶を『殺傷』消去した、辺りには忘れられた草元の叫びが響く
「さすがに混乱してくるので寝ててください」
「あっ」
艶ノ小路の手によって夏樹は阿武隈と同様に気絶する
「お前、絶対にぶっ殺してやる!」
「やれるものならどうぞでも彼女は死んでませんよ意識を失ってもらっただけです良かったですね思い人は生きてますよイブキは死ぬかもしれないのに…何やってるんですかねわたし…あっそうそう記憶がなくてももう一度関係をなんて思ってるかもしれませんが残念でしたね貴方と彼女の『縁』も『殺し』てしまったので無理ですよ、袖触れ合うも多生の縁とも言いますしたぶん貴方はもう彼女に触れることすらできないんじゃないんですかね」
「あ゛あ゛あ゛あああああああああ!!!!」
「辛いですか辛いですよね分かりますよもしわたしもイブキに忘れられたり二度と触れ合うことができなくなったとしたらきっと自殺すると思いますでも貴方が悪いんですよ貴方がもう少し他人に頓着していたらこうはならなかったかもしれませんねまあ終わったことですし無理ですけどそういえばもうあと2回どうしてくれましょうかあっそうだこんなのはどうでしょうかね?」
艶ノ小路は無邪気に微笑み無慈悲に『殺す』
「あ、ああ、あれ思い出せない…返せ…返してくれ!」
「大切だったことは覚えてるのにそれが何なのか覚えていないってどんな気分なんですかね♪まあわたしはそんなこと知りたくもないのでごめんですがあと返すのは無理ですわたしにできるのは在るものを『殺す』だけ戻すのは無理です様を見ろ」
「あ、うあ、あああ…」
草元は無表情のまま涙を流し虚空を見つめる、それを見つめる艶ノ小路は狂ったように、いや事実狂い笑い嘲う。
「あははははは♪ねぇ死にたいですか?」
「…頼む」
「嫌です♪はははははははははははははは…こふっかふっ…ははははははは♪」
艶ノ小路は血を吐いても笑うのを辞めない、壊れてしまった人形のように
「あはははそんな簡単に死なせる訳が無いでしょう大事な人を守るために人を苦しめたのは貴方も同じでしょう?目には目を歯には歯をですよもっともっともっともっと苦しんで泣いて喚いて悲しんで哀しんで惨めな思いをして叫んで哭いて鳴いて啼いて最後に諦めて絶望して死んでいけ♪」
「う、あ、おえっ、はあっはあっあああああああああああああああ!!!」
空っぽになった男はかつて愛していた女に這い寄る、別に夏樹のことを覚えている訳では無く目の前の人形から逃げるためであろう、しかし人形の能力が女に触れることすら許さない、それでも必死に女に触れようと人形から逃げようとする男の姿を見て人形はただ笑う
そんなとき不意に人形は背後から抱きしめられる
「もう、やめよう…な」
「イ…ブキ…?」
「?…ああ、俺は此処にいるよ」
「嗚呼、ごめんなさい、でも貴方が生きていて良かった…」
人形の糸は切れ、狂った少女は眠りにおちた、何かに安心したように何かをおそれるように…
★こうしてこのゲームの争いは全て終着した
艶ノ小路と草元のやり取りを最初から見ていた者が一人、そう佐伯である。
以下ダイジェスト
あわわわわ、ヤバイよヤバイよあの女の子が襲われちゃ…
病ノ小路「両足殺傷」
WWW元「ぐああああ!」
…えっ?
病ノ小路「彼女の記憶殺傷」
WWW元「いやぁぁぁぁ!」
…あれ?
病ノ小路「彼女の縁と意識殺傷」
WWW元「もうやめてぇぇぇ!」
…ナニアレコワイ((((;゜Д゜)))助けておばあちゃん
病ノ小路「お前の記憶殺傷」
WWW元「もう殺せぇぇぇぇ!」
病ノ小路「や♪だ♪」
やめたげてよおぉぉぉぉ!
佐伯は思わず艶ノ小路を抱きしめた
「もう、やめよう…な」(もうやめてあげて!見てて怖いから!)
「イ…ブキ…?」
「?…ああ、俺は此処にいるよ」(あれ?なんか勘違いされてる、いやでも止まってくれるなら…)
「嗚呼、ごめんなさい、でも貴方が生きていて良かった…」
うわあああああ!やめてよぉ!ヤバイよこのままイブキさん死んでたらこの人立ち直れないよ!お願いだから生きててイブキさぁぁぁん!
「う、あああ、殺してくれ…殺し…」
!?そういえばこの人のこと忘れてた。
…うん、きっとわたしもおばあちゃんとの関係をこんなんにされたら相当なんてものじゃないくらい辛いだろう、ましてやこの人はこの女の人が生き甲斐そのものだったんだ
「殺し…」
「ボクを恨まないでくれよ、どうか戦士たちとともに安らかに!」(私を恨まないでね、巨人の被害者と共に眠って!お願いだから化けて出ないでぇっ!)
佐伯は手刀の一撃で草元の首を飛ばした
「婆やの形見の妾の釵を砕いたこと忘れてはおらぬ!」(私はおばあちゃんの釵を壊したことは忘れて無いんだから!)
「だから…巨人との戦いで亡くなった人のことをこの人達にも覚えてて欲しかったな…」
「夏樹、もうすぐだ、もうすぐ帰れる」
「…」
「ああでも邪魔者がいるかもしれないな、ああそうだな、排除しような」
「…」
「っと、ぐっすり寝てる、独り言も辞めよう、寂しいけどそれ以上に悲しくなってきた、大人しく起きるのを待とう」
草元は自身の背中で眠る夏樹の寝顔を見てほほ笑む
「なあ、夏樹が寝てるんだ、起こそうとは思うなよ」
「貴方が巨人のパートナーですね」
満月から少し欠けた月が相対する二人を照らす、草元と艶ノ小路、恋愛を理由に行動する狂人と病人が今ここに遭遇した
「ったく、今は気分がいいから戦う気が無いんなら見逃してもよかったんだがなぁ」
めんどくさそうに呟く草元を艶ノ小路が睨む
「一つ、質問があります」
「あん?」
「巨人と戦っていた4人、特に青いジーンズに白いシャツの男性が今どうなってるか知りませんか?」
「ん?え~っと、ああ、あいつらね」
草元は今まで忘れていたことをようやく思い出したかのように、ニヤリと口元を歪めて言う
「夏樹を傷つけたからな、土の下にまとめて埋めてやったよ」
「そう…ですか…」
艶ノ小路の顔から表情が消える
「んで、それがどうした嬢ちゃん、生憎俺は早く帰りたいんだそこを退け」
「いえ、今のを聞いて絶対に引けない理由ができました。それとこんな感情は初めてです、いえ、悪いことだとはわかってはいるんですけど止められそうにないです」
「ん、そんな怖い顔してどうしたよ?」
艶ノ小路は今度は明確な殺意を持って草元を睨みつける
「イブキを殺しましたねいえマコトさんが言っていたから少なくとも死んではいないのでしょうあの人はなんかそのへん鋭そうですしでも貴方がイブキを傷つけたことに変わりはありませんこんな気持ち初めてですさっきの外国人の男の人と遭った時はこんな気持ちにはならなかったんですけどねあなたが憎いあなたが嫌いだ死んでほしいああわたしがこんな気持ちを抱く時が来るなんて思いませんでしたわたしの大好きなイブキを傷つけた貴方が許せないこれが殺意というものでしょうか今ならわたしがなんでこんな能力を貰ったのかわかるような気がします頭では悪いことだと嫌な感情だとこんなことして喜ばれることなどないと思っているのにどうしても貴方を殺したいなんで貴方はそんなにのうのうと大切な人と歩いているのですかどうして貴方の大切な人はそんなに幸せそうに眠っているのですか何故4人もの人を重症に追いやってそんな顔をしていられるのですかいえ言わなくてもわかりますよきっと今わたしがしようとしていることは貴方がしたことと同じこと唯大切なもののためだけ唯それだけ悪く思わないでください因果応報したことが返ってくるそれだけです」
「あーはいはい、うるさいから死んで」
草元は壊れた機械のようにしゃべり続ける艶ノ小路の頭を蹴り上げようとして
「あれ?」
その場に膝をつき、座り込んだ
「貴方の両足を『殺し』ました大丈夫ですもう貴方の足は動くことはありませんが車いすがあるので両腕がないよりはいいと思いますよさてどうしましょうかこのまま貴方に死んでもらうのもいいんですけどそれだとなんか違う気がしますそもそもわたしは貴方を『殺す』つもりだったのに足の殺傷なんてことをしてしまいましたなんででしょうか?ねえどう思います?」
「こいつッ!」
草元は夏樹をやさしく地面に下ろし、腕だけでなんとか動こうとする、しかし彼は6位、1位~3位なら腕だけで走るなど化け物のような行動をとれるかもしれないが生憎彼は一般人、彼らのような逸般人ではないためまともに動くことはできない
「自分でもよくわからないんですけど心の底ではまだ殺したくないっていうのは違う気がしますだって初めてだけどわかります貴方を殺したいそれだけは確かな感情でそれを止めようとする感情はどこにもないですたぶん貴方と同じです大切な人の物のためならそれ以外すべていらないなんて普段は思えないでしょうけど今なら思えますある意味ではあなたに感謝すらしていますよわたしはこんなにイブキのことが好きなんだって気づけましたからまあ許しはしませんが、私事ですけど病院って多くの人が死ぬところなんですよく話した寝たきりのおばあさんとか難病が治ると笑顔で希望を抱きながら手術台から戻らなかった子どもとかでもわたしは彼らが死んだとき悲しいとは思いましたがここまでの激情は抱きませんでしたそもそも事情が違うといわれるかもしれませんが同じことです人の命に変わりはないイブキは死んでませんけどでも人によって命の価値は違ういえ大統領と市民の差ってわけじゃないですよ単にその人にとって誰が大事かって話です家族と他人のようにまあ何が言いたいかといえば私にとって貴方の価値はマイナスですだから殺したい」
「ッ!」
ここに来て草元は初めて艶ノ小路の目を見て理解した、もう逃げられない、自分は相手の掌の上だと、狂った者には説得も通じない
「ああ、わかりましたなんで貴方を殺していないのか平等じゃないですよねわたしと貴方体はわたしが腕で貴方が足まあこれで平等としましょうでは状況はどうでしょうかわたしは大好きな人が重傷を負った急いで救助しないと死ぬかもしれませんとても心配で心配で不安で怖くて恐くてはやく助けに行きたいですでも何故かそれ以上に貴方を殺したいきっと初めて抱いた感情だからですかね人を心配になったことはたくさんありましたが殺したいなんて本当に初めてですおっと話がずれましたね何が平等じゃないって貴方の大切なモノは全く傷ついていませんよね」
「まさかお前!待て!」
「嫌です待ちません」
艶ノ小路は慌てる草元を一瞥し彼の奥に横たわる夏樹を見た、その口はニィっと三日月のように歪んでいて目は濁りきっている
「あれ、康クン?」
「待て!やめろぉ!」
ちょうど夏樹が目を覚ます、草元の叫びを聞き艶ノ小路はさらに三日月のような笑みを深める
「はい『殺傷』♪」
「ああああああああああああああああ!!!!」
艶ノ小路の言葉とともに夏樹の目から一瞬光が消える
「ここはどこ?」
「あ、あ?」
夏樹は生きていた、それに草元は安堵し夏樹に手を伸ばそうとする、がその手を振り払われる
「うわっあなたは誰ですか?いきなり手を伸ばされるとちょっと吃驚しますよ、というか大丈夫ですかその足」
「うわあああああああああああああああああああ!!!!」
「ひぃっ」
艶ノ小路は夏樹の草元に関する一切の記憶を『殺傷』消去した、辺りには忘れられた草元の叫びが響く
「さすがに混乱してくるので寝ててください」
「あっ」
艶ノ小路の手によって夏樹は阿武隈と同様に気絶する
「お前、絶対にぶっ殺してやる!」
「やれるものならどうぞでも彼女は死んでませんよ意識を失ってもらっただけです良かったですね思い人は生きてますよイブキは死ぬかもしれないのに…何やってるんですかねわたし…あっそうそう記憶がなくてももう一度関係をなんて思ってるかもしれませんが残念でしたね貴方と彼女の『縁』も『殺し』てしまったので無理ですよ、袖触れ合うも多生の縁とも言いますしたぶん貴方はもう彼女に触れることすらできないんじゃないんですかね」
「あ゛あ゛あ゛あああああああああ!!!!」
「辛いですか辛いですよね分かりますよもしわたしもイブキに忘れられたり二度と触れ合うことができなくなったとしたらきっと自殺すると思いますでも貴方が悪いんですよ貴方がもう少し他人に頓着していたらこうはならなかったかもしれませんねまあ終わったことですし無理ですけどそういえばもうあと2回どうしてくれましょうかあっそうだこんなのはどうでしょうかね?」
艶ノ小路は無邪気に微笑み無慈悲に『殺す』
「あ、ああ、あれ思い出せない…返せ…返してくれ!」
「大切だったことは覚えてるのにそれが何なのか覚えていないってどんな気分なんですかね♪まあわたしはそんなこと知りたくもないのでごめんですがあと返すのは無理ですわたしにできるのは在るものを『殺す』だけ戻すのは無理です様を見ろ」
「あ、うあ、あああ…」
草元は無表情のまま涙を流し虚空を見つめる、それを見つめる艶ノ小路は狂ったように、いや事実狂い笑い嘲う。
「あははははは♪ねぇ死にたいですか?」
「…頼む」
「嫌です♪はははははははははははははは…こふっかふっ…ははははははは♪」
艶ノ小路は血を吐いても笑うのを辞めない、壊れてしまった人形のように
「あはははそんな簡単に死なせる訳が無いでしょう大事な人を守るために人を苦しめたのは貴方も同じでしょう?目には目を歯には歯をですよもっともっともっともっと苦しんで泣いて喚いて悲しんで哀しんで惨めな思いをして叫んで哭いて鳴いて啼いて最後に諦めて絶望して死んでいけ♪」
「う、あ、おえっ、はあっはあっあああああああああああああああ!!!」
空っぽになった男はかつて愛していた女に這い寄る、別に夏樹のことを覚えている訳では無く目の前の人形から逃げるためであろう、しかし人形の能力が女に触れることすら許さない、それでも必死に女に触れようと人形から逃げようとする男の姿を見て人形はただ笑う
そんなとき不意に人形は背後から抱きしめられる
「もう、やめよう…な」
「イ…ブキ…?」
「?…ああ、俺は此処にいるよ」
「嗚呼、ごめんなさい、でも貴方が生きていて良かった…」
人形の糸は切れ、狂った少女は眠りにおちた、何かに安心したように何かをおそれるように…
★こうしてこのゲームの争いは全て終着した
艶ノ小路と草元のやり取りを最初から見ていた者が一人、そう佐伯である。
以下ダイジェスト
あわわわわ、ヤバイよヤバイよあの女の子が襲われちゃ…
病ノ小路「両足殺傷」
WWW元「ぐああああ!」
…えっ?
病ノ小路「彼女の記憶殺傷」
WWW元「いやぁぁぁぁ!」
…あれ?
病ノ小路「彼女の縁と意識殺傷」
WWW元「もうやめてぇぇぇ!」
…ナニアレコワイ((((;゜Д゜)))助けておばあちゃん
病ノ小路「お前の記憶殺傷」
WWW元「もう殺せぇぇぇぇ!」
病ノ小路「や♪だ♪」
やめたげてよおぉぉぉぉ!
佐伯は思わず艶ノ小路を抱きしめた
「もう、やめよう…な」(もうやめてあげて!見てて怖いから!)
「イ…ブキ…?」
「?…ああ、俺は此処にいるよ」(あれ?なんか勘違いされてる、いやでも止まってくれるなら…)
「嗚呼、ごめんなさい、でも貴方が生きていて良かった…」
うわあああああ!やめてよぉ!ヤバイよこのままイブキさん死んでたらこの人立ち直れないよ!お願いだから生きててイブキさぁぁぁん!
「う、あああ、殺してくれ…殺し…」
!?そういえばこの人のこと忘れてた。
…うん、きっとわたしもおばあちゃんとの関係をこんなんにされたら相当なんてものじゃないくらい辛いだろう、ましてやこの人はこの女の人が生き甲斐そのものだったんだ
「殺し…」
「ボクを恨まないでくれよ、どうか戦士たちとともに安らかに!」(私を恨まないでね、巨人の被害者と共に眠って!お願いだから化けて出ないでぇっ!)
佐伯は手刀の一撃で草元の首を飛ばした
「婆やの形見の妾の釵を砕いたこと忘れてはおらぬ!」(私はおばあちゃんの釵を壊したことは忘れて無いんだから!)
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