四つの前世を持つ青年、冒険者養成学校にて「元」子爵令嬢の夢に付き合う 〜護国の武士が無双の騎士へと至るまで〜

最上 虎々

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第九章 在るべき姿の世界

第百四十四話 ロディアの一撃

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 ロディアは一瞬、その数十秒にも感じる一瞬を硬直し、そして口を開く。

「……へぇ。そういえば……そうだったね。僕が何か言っても、信じてもらえないのか。僕が神の価値観を話に出した時点で、僕の言葉には完全にトドメが刺された訳だね」

 ロディアは短くため息をつき、巨体のまま、右手でポリポリと頭を掻いた。

「ああ、その通りだ、ロディア。何を勘違いしてたのか知らねーが、お前も人間じゃない。ずっと魔術師ロディアでいれば、俺達だって、人間としてお前と接することかできていたのに……いや、まあ無理か。分かってるけどさ」

「悪魔差別かい?全く、前世で何を学んできたのかな」

「被害者ぶるな!」

「実際に被害者だよ、君達が神に流されるがまま動いていたら、僕の餌場が無くなるんだから。冷静に会話しようよ、会話」

「じゃあまず、その指先に溜めている魔力を何とかしてくれよ」

「それもそうだね。じゃ、発射っと」

 ロディアは口を閉じると同時に、高く飛び上がって指先をこちらへ向け、闇の魔力から生成した弾丸を撃ち出してくる。

「不意打ちのつもりか?どこまで行っても裏切り者らしいな」

 俺はその弾丸を斬り捨て、右肩に風の魔力を溜めながら懐へ。

「ちぇっ、バレちゃった。……って、それすら警戒できないほどバカだったら、ここまで来れてないか」

「一々うるさいな、ホントに!」

 しかし、その魔力を纏ったタックルが当たる事は無く、ロディアはちょうど身体一つ分、後ろへ下がっていた。

「でも、ここまでだよ」

 タックルを外した俺の頭上を、闇の魔力が覆う。

「【駆ける風】!」

 俺はロディアの左腕の側へ回り込む事で回避するが、そこにはロディアの左手。

「甘いよ!」

「ぐべぇぁっ!」

 そのまま顔面に拳を受けてしまった。

「ジィン!大丈夫!?」

「な、何とか……!」

 岩に背中を打ちつけられたまま、俺は親指を立てる。

「しばらく下がっていなさい、ジィン。皆の拘束は解いた。正直、この人数でも勝てるかどうか分からないけど……少し休むくらいは出来るハズよ」

「お、お願いします……」

「……という訳だから。行きますわよ、皆さん」

「任せろッ!はぁぁぁぁぁ!」

 先陣を切るは、マーズ・バーン・ロックスティラ。

「やぁやぁ、マーズ。君も出会った時と比べると、かなり強くなったね。昔は技も魔法も無かったのに」

「そうだな!お前と歩んできた道は、だから私は、今も臆せずお前に立ち向かえる!」

「へぇ。確かにパワーも剣の扱いも、短期間で歴戦の戦士並みになってるからねぇ。ちょっと僕も怖がらなきゃいけないかな」

「あまりナメてもらっては困るな。喰らえ、絶技……【怒羅剣ドラッケン】!!!」

「うわっ、ぐォォォォォッ!?」

 完全に油断していたのか、ロディアはマーズさんの必殺技とも言える『怒羅剣どらっけん』を避けることができず、左脇腹を抉られた。

「ふぅ、ふぅー……。どう、だ、ロディア!」

「ぐ、ぐググぐグググぐ……ハァ!いヤぁ、危なイとコロだったよ。ちょっと、まともに喋れなくなるところだった。この身体を取り込んだばかりの時を思い出すね」

「くっ……思ったより効いていない、ようだな」

「まあね。でも、ちゃんと身は削られたよ。今は闇の魔力で覆ってるけど、回復まではちょっと時間がかかるかな。大きいカサブタみたいなものだよ」

「仕方あるまい。ならば、もう一撃叩き込めば良いだけの話だな……!」

 マーズさんは前方へ大きく踏み込みながら、軌道を予測しづらいように、構えを変えながらロディアへ接近。

 そのままもう一度、大きく息を吸い込んで予備動作へ入った。

「いやいや。相手は悪魔だよ?しかも、結構有名な。同じ轍は踏まないって、分からないかい?」

「なっ……」

 ロディアはそれを見るなり、マーズさんの背後へ回り込む。

「【デモンセスタス】」

「ぐ、ぁ」

 そして闇の魔力から生成した巨大な手を用いて、マーズさんの剣と右肩を粉砕したのであった。
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