28 / 39
第三章・ランスウォールの後継者
罪状、詐欺、誘拐、etc
しおりを挟む
テッドが連れて来たのはメイリックの父親だけではなかった。みすぼらしく無精ひげを生やした、でっぷりと肥えた男が拘束された状態で騎士に連れられ入って来た。視界に動くものを捉え、そちらに目をやったゲルダは一瞬黙り、目を丸くした。
「ミンス様! 助けてください! あなたが言った通りにしたらこんな目に遭ってしまったわ! あなたが娘の仇を取りたいというから、言うとおりにしたのよ。私は悪く無いわ」
「な、なにをふざけた事を! この姿を見て分からんのか! 私はお前に関わったせいで捕まってしまったのだぞ! あの日、王都で声などかけなければ良かった。お前の娘のおかげで全てを失い、今度は母親のお前に罪人にされてしまった。私はもうお終いだ! お前たち親子は疫病神だ。人を不幸にしかしない!」
テッドはこの二人の罵りあいを無視して、元ミンス男爵をこの場に連れて来た理由を説明し始めた。
「この男は、マリエル・ミンス元男爵令嬢の義理の父親、アントン・ミンス元男爵です」
「は!? マリエルの義理の父親がなんで? その前に、今おかしな事を言わなかったか? ゲルダがマリエルの母親だって? マリエルは俺たちと同じ年だぞ、一体いくつで産んだんだ?」
ハワードだけではない、伯爵もアナスタシアも、今知った驚愕の事実に言葉を失った。テッドはこの短時間で、手の者が見つけ出したゲルダと懇意にしていたという酒場の男を捕まえ、事情を聞いていた。時間が無いので少々強引な手も使ったが、その男がマリエルの義理の父親である事と、ゲルダと接触して、彼女に余計な事を吹き込んでいた事がわかった。
テッドの説明は続いた。
「王都の川が氾濫した日に、たまたまゲルダと再会したらしいです。ゲルダが泣き止まないメイリック君をあやす為に雨の降る中外に出て、父親の居るレストランに近いアーケードをウロウロしていた所を、昔馴染みの女だと思い、ミンス元男爵から声をかけたと言っています。そしてそこで、マリエルを養女に迎えて王子と結婚させようとしたが、あと一歩の所でランスウォール伯爵の娘に邪魔されたと話したらしく、ゲルダの方も、四年前に伯爵から冷たい仕打ちを受けたと文句を言っていて、二人ともランスウォール伯爵家に復讐したいと意見が一致したそうです。ミンス元男爵の思い付きで、そこに一緒に居たメイリック君を利用して後継者問題に揺さぶりをかけようと提案したところ、ゲルダはそれに乗り、伯爵親子を仲違いさせ、アナスタシアを追い出して後妻に納まりランスウォールを手に入れようとしたようです。男の子を連れ去った当日は、増水した川に子供の靴とゲルダの肩掛けを投げ入れ、三人で王都を離れて一先ずは隣のバルシュミーデに身を寄せて、元男爵がランスウォールの偵察を行って機会を窺っていたようです」
騎士に押さえつけられていたゲルダは、テッドの言葉を聞いて暴れ出し、ミンス元男爵をさらに口汚く罵った。
「この小児性愛者のド変態が! 余計な事をべらべらと! あんたはマリエルを養女にしたと言うけど、本当にあんたの娘よ! お腹が大きくなり始めるまで妊娠に気付かずに、私はまだ12歳になったばかりだったのに、死ぬほど苦しんで出産するはめになってしまったんだから! しかもあんたは妊娠が分かる頃には別の娼館に入ったもっと小さな女の子に入れあげていて、店にも顔を出さなくなった。あんた、もしかしてまだ子供だったマリエルを買ったんじゃないの? あの子は私の母に面差しが似ていて、あんたには似ていないかもしれないけど、間違いなくあんたの子供よ。当時子供を好き好んで買うのはあんたしか居なかったんだから!」
「な……な……違う! 私の子供のはずが無い、あの子は……父親は別に居ると……! そうだ、お前の言葉など信じられるか! この大嘘つきの自己中女め! 私は伯爵のように騙されないぞ! 大体何だ、娘が王子に捨てられたと教えてやったのに、あの子が今どうしているのか心配して聞きもしないで、そのくせ王族と親戚になる機会を逃したと言って悔しがっていたな。お前は自分の事しか考えられないのか!」
耳を塞ぎたくなる醜聞に、アナスタシアは眉をひそめた。この女性が本当に極普通の大人しい貴族女性を演じられたのか、甚だ疑問だ。聞けばそれももって数日の事だったらしいが、自分の目で見ていないアナスタシアには想像も付かなかった。身に付かなかったとは言え、マクダネル男爵夫人から令嬢としての礼儀作法は何年もかけて仕込まれてきたのだから、出来ない事はないのだろうが。
ハワードはそっとアナスタシアの耳を手で覆った。
「お前は聞く必要は無い。耳を塞いでいろ。自暴自棄になったあの女の口から、何が出てくるか分からない。この調子だと、親父さんの聞かせたくない内容も出てくるかもしれない」
アナスタシアはハワードの言う事を聞き、耳を塞いだ。本当はすべて知るべきだと思っているが、前に居る父親の不安そうな顔を見て、言う通りにした。とは言っても、ゲルダのよく通る声は、その声量も相まって、耳を手で覆ったくらいでは関係無かった。あとは何も聞こえない振りをするだけだった。
ゲルダはアナスタシアがそうしてハワードに構われているのを見て、わざと大きな声で伯爵の黒歴史を話し始めた。
「ああ、そうそう、伯爵はその立派な体躯であっても今まで再婚しなかった理由がよくわかったわ。初めに×××した時は、あっという間に××して、とっても濃い××を私の××に××したけど、そのあとは私がどれだけ×××を頑張っても、少しも×××は反応しなかった。情け無いわね、死んだ奥さんをいつまでも引きずって、他の女と××××出来ないだなんて。男として終わってるわ!」
アナスタシアに聞こえたのはこれだけだった。ハワードが、聞かせたくないワードが出そうになるとアナスタシアの手の上から耳を覆ってくるので、肝心のところは聞こえなかった。伯爵の視線は不安そうに、耳を塞ぐ娘に向いていた。こんな事を聞かせたくないのは当然の事。ハワードの機転でそれは回避できたようだ。アナスタシアは目をパチクリと瞬いて、キョトンとしている。
ゲルダは今度は視線をずらし、アナスタシアに牙を剥こうとした。あまりに暴れるので騎士はゲルダを床に押さえ付け、後ろ手にガチャリと拘束具を着けた。そしてセーファスが指示を出し、先ほど口から吐き出し床に落ちた布切れを、また口に突っ込み、さらに上から布で縛った。
セーファスはウンザリした表情で、伯爵に対し、ゲルダとミンス元男爵を公の場で裁くよう言った。
「もう良い、ランスウォール伯爵、この二人の罪状は詐欺に誘拐、その女に関してはマクダネル男爵殺害の容疑も掛かっている。調べればまだまだ余罪はありそうだが、貴族に対する無礼も見過ごす事は出来ない。王都にて裁判にかける。その為にも、もう一度マクダネル男爵の事故死を洗いなおす。事故に見せかけた殺人ともなれば、義理とはいえ親殺しは重罪。王都の宮殿前広場にて公開処刑とされるだろう。そこのミンス元男爵は、トラヴィスの一件で陛下に温情を与えられ、命だけは救われたというのに、生かしておけばこの様な犯罪に手を染める愚か者だとわかった。よって、この全てを陛下に報告させてもらう。この問題にいつまでも構ってはいられないのだ。速やかに解決させるぞ。親子鑑定の結果が出た時点で、陛下はアナスタシアを煩わせた女を処刑すると言っていた。これがまた、あのマリエルの母とわかれば、どうなってしまうやら。もう逃げられないぞ」
ゲルダとミンス元男爵は罪人用の檻上の馬車に乗せられ、速やかに王都へと身柄を移された。ゲルダはもがもがと何か言いたそうであったが、構わず檻に入れられた。ミンス元男爵は項垂れて、もう全てを諦めたように見えた。
リック改め、メイリックとの別れの時、伯爵はあっさりと「元気でな」の一言で別れ、セーファスと共に執務室へ向かい、アナスタシアは少し懐いてくれたメイリックとの別れを惜しんでいた。
「ところで、どうして子守のマリエラの事をママと呼ばせていたのですか?」
素朴な疑問だった。普通子守をママとは呼ばない。メイリックの父は、これにきちんと答えてくれた。
「まだもっと小さな頃、マリエラと呼べなくてマーマーと呼んでいました。それがそのまま、ママになったのかと。うちの妻は子供と一緒に連れて来たマリエラの事を、生みの母だと勘違いしていたようで、この子に辛く当たっていました。本当の母親はこの子を産んですぐ亡くなりまして、マリエラとは昔同じ所で働いていたと聞いています。私の前だとおかしな所は無かったのですが、もっと妻を信じればよかった。彼女は妻に対してそれとない嫌味を言ったり、メイリックの母であると匂わせて妻を苛立たせていたのです。メイリックが行方不明になった後、妻はこれまでの不満をぶつけてくれて、誤解は解けました。私が子供が欲しくて妾を囲っていた事も許してくれましたし、この子を連れ帰ったら、きっと今度は可愛がってくれると信じています」
メイリックは「アナシュターシャ、バイバイ」と言って、お父さんに抱かれながら商談中だったバルシュミーデに向けて行ってしまった。アナスタシアは心配事が消えて清々するどころか、弟かも知れなかった可愛いリックを失って、胸にポッカリ穴が開いたようだった。
「ミンス様! 助けてください! あなたが言った通りにしたらこんな目に遭ってしまったわ! あなたが娘の仇を取りたいというから、言うとおりにしたのよ。私は悪く無いわ」
「な、なにをふざけた事を! この姿を見て分からんのか! 私はお前に関わったせいで捕まってしまったのだぞ! あの日、王都で声などかけなければ良かった。お前の娘のおかげで全てを失い、今度は母親のお前に罪人にされてしまった。私はもうお終いだ! お前たち親子は疫病神だ。人を不幸にしかしない!」
テッドはこの二人の罵りあいを無視して、元ミンス男爵をこの場に連れて来た理由を説明し始めた。
「この男は、マリエル・ミンス元男爵令嬢の義理の父親、アントン・ミンス元男爵です」
「は!? マリエルの義理の父親がなんで? その前に、今おかしな事を言わなかったか? ゲルダがマリエルの母親だって? マリエルは俺たちと同じ年だぞ、一体いくつで産んだんだ?」
ハワードだけではない、伯爵もアナスタシアも、今知った驚愕の事実に言葉を失った。テッドはこの短時間で、手の者が見つけ出したゲルダと懇意にしていたという酒場の男を捕まえ、事情を聞いていた。時間が無いので少々強引な手も使ったが、その男がマリエルの義理の父親である事と、ゲルダと接触して、彼女に余計な事を吹き込んでいた事がわかった。
テッドの説明は続いた。
「王都の川が氾濫した日に、たまたまゲルダと再会したらしいです。ゲルダが泣き止まないメイリック君をあやす為に雨の降る中外に出て、父親の居るレストランに近いアーケードをウロウロしていた所を、昔馴染みの女だと思い、ミンス元男爵から声をかけたと言っています。そしてそこで、マリエルを養女に迎えて王子と結婚させようとしたが、あと一歩の所でランスウォール伯爵の娘に邪魔されたと話したらしく、ゲルダの方も、四年前に伯爵から冷たい仕打ちを受けたと文句を言っていて、二人ともランスウォール伯爵家に復讐したいと意見が一致したそうです。ミンス元男爵の思い付きで、そこに一緒に居たメイリック君を利用して後継者問題に揺さぶりをかけようと提案したところ、ゲルダはそれに乗り、伯爵親子を仲違いさせ、アナスタシアを追い出して後妻に納まりランスウォールを手に入れようとしたようです。男の子を連れ去った当日は、増水した川に子供の靴とゲルダの肩掛けを投げ入れ、三人で王都を離れて一先ずは隣のバルシュミーデに身を寄せて、元男爵がランスウォールの偵察を行って機会を窺っていたようです」
騎士に押さえつけられていたゲルダは、テッドの言葉を聞いて暴れ出し、ミンス元男爵をさらに口汚く罵った。
「この小児性愛者のド変態が! 余計な事をべらべらと! あんたはマリエルを養女にしたと言うけど、本当にあんたの娘よ! お腹が大きくなり始めるまで妊娠に気付かずに、私はまだ12歳になったばかりだったのに、死ぬほど苦しんで出産するはめになってしまったんだから! しかもあんたは妊娠が分かる頃には別の娼館に入ったもっと小さな女の子に入れあげていて、店にも顔を出さなくなった。あんた、もしかしてまだ子供だったマリエルを買ったんじゃないの? あの子は私の母に面差しが似ていて、あんたには似ていないかもしれないけど、間違いなくあんたの子供よ。当時子供を好き好んで買うのはあんたしか居なかったんだから!」
「な……な……違う! 私の子供のはずが無い、あの子は……父親は別に居ると……! そうだ、お前の言葉など信じられるか! この大嘘つきの自己中女め! 私は伯爵のように騙されないぞ! 大体何だ、娘が王子に捨てられたと教えてやったのに、あの子が今どうしているのか心配して聞きもしないで、そのくせ王族と親戚になる機会を逃したと言って悔しがっていたな。お前は自分の事しか考えられないのか!」
耳を塞ぎたくなる醜聞に、アナスタシアは眉をひそめた。この女性が本当に極普通の大人しい貴族女性を演じられたのか、甚だ疑問だ。聞けばそれももって数日の事だったらしいが、自分の目で見ていないアナスタシアには想像も付かなかった。身に付かなかったとは言え、マクダネル男爵夫人から令嬢としての礼儀作法は何年もかけて仕込まれてきたのだから、出来ない事はないのだろうが。
ハワードはそっとアナスタシアの耳を手で覆った。
「お前は聞く必要は無い。耳を塞いでいろ。自暴自棄になったあの女の口から、何が出てくるか分からない。この調子だと、親父さんの聞かせたくない内容も出てくるかもしれない」
アナスタシアはハワードの言う事を聞き、耳を塞いだ。本当はすべて知るべきだと思っているが、前に居る父親の不安そうな顔を見て、言う通りにした。とは言っても、ゲルダのよく通る声は、その声量も相まって、耳を手で覆ったくらいでは関係無かった。あとは何も聞こえない振りをするだけだった。
ゲルダはアナスタシアがそうしてハワードに構われているのを見て、わざと大きな声で伯爵の黒歴史を話し始めた。
「ああ、そうそう、伯爵はその立派な体躯であっても今まで再婚しなかった理由がよくわかったわ。初めに×××した時は、あっという間に××して、とっても濃い××を私の××に××したけど、そのあとは私がどれだけ×××を頑張っても、少しも×××は反応しなかった。情け無いわね、死んだ奥さんをいつまでも引きずって、他の女と××××出来ないだなんて。男として終わってるわ!」
アナスタシアに聞こえたのはこれだけだった。ハワードが、聞かせたくないワードが出そうになるとアナスタシアの手の上から耳を覆ってくるので、肝心のところは聞こえなかった。伯爵の視線は不安そうに、耳を塞ぐ娘に向いていた。こんな事を聞かせたくないのは当然の事。ハワードの機転でそれは回避できたようだ。アナスタシアは目をパチクリと瞬いて、キョトンとしている。
ゲルダは今度は視線をずらし、アナスタシアに牙を剥こうとした。あまりに暴れるので騎士はゲルダを床に押さえ付け、後ろ手にガチャリと拘束具を着けた。そしてセーファスが指示を出し、先ほど口から吐き出し床に落ちた布切れを、また口に突っ込み、さらに上から布で縛った。
セーファスはウンザリした表情で、伯爵に対し、ゲルダとミンス元男爵を公の場で裁くよう言った。
「もう良い、ランスウォール伯爵、この二人の罪状は詐欺に誘拐、その女に関してはマクダネル男爵殺害の容疑も掛かっている。調べればまだまだ余罪はありそうだが、貴族に対する無礼も見過ごす事は出来ない。王都にて裁判にかける。その為にも、もう一度マクダネル男爵の事故死を洗いなおす。事故に見せかけた殺人ともなれば、義理とはいえ親殺しは重罪。王都の宮殿前広場にて公開処刑とされるだろう。そこのミンス元男爵は、トラヴィスの一件で陛下に温情を与えられ、命だけは救われたというのに、生かしておけばこの様な犯罪に手を染める愚か者だとわかった。よって、この全てを陛下に報告させてもらう。この問題にいつまでも構ってはいられないのだ。速やかに解決させるぞ。親子鑑定の結果が出た時点で、陛下はアナスタシアを煩わせた女を処刑すると言っていた。これがまた、あのマリエルの母とわかれば、どうなってしまうやら。もう逃げられないぞ」
ゲルダとミンス元男爵は罪人用の檻上の馬車に乗せられ、速やかに王都へと身柄を移された。ゲルダはもがもがと何か言いたそうであったが、構わず檻に入れられた。ミンス元男爵は項垂れて、もう全てを諦めたように見えた。
リック改め、メイリックとの別れの時、伯爵はあっさりと「元気でな」の一言で別れ、セーファスと共に執務室へ向かい、アナスタシアは少し懐いてくれたメイリックとの別れを惜しんでいた。
「ところで、どうして子守のマリエラの事をママと呼ばせていたのですか?」
素朴な疑問だった。普通子守をママとは呼ばない。メイリックの父は、これにきちんと答えてくれた。
「まだもっと小さな頃、マリエラと呼べなくてマーマーと呼んでいました。それがそのまま、ママになったのかと。うちの妻は子供と一緒に連れて来たマリエラの事を、生みの母だと勘違いしていたようで、この子に辛く当たっていました。本当の母親はこの子を産んですぐ亡くなりまして、マリエラとは昔同じ所で働いていたと聞いています。私の前だとおかしな所は無かったのですが、もっと妻を信じればよかった。彼女は妻に対してそれとない嫌味を言ったり、メイリックの母であると匂わせて妻を苛立たせていたのです。メイリックが行方不明になった後、妻はこれまでの不満をぶつけてくれて、誤解は解けました。私が子供が欲しくて妾を囲っていた事も許してくれましたし、この子を連れ帰ったら、きっと今度は可愛がってくれると信じています」
メイリックは「アナシュターシャ、バイバイ」と言って、お父さんに抱かれながら商談中だったバルシュミーデに向けて行ってしまった。アナスタシアは心配事が消えて清々するどころか、弟かも知れなかった可愛いリックを失って、胸にポッカリ穴が開いたようだった。
0
あなたにおすすめの小説
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる