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第四章 いにしえの都
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しおりを挟むリン・・・・・・。
リン・・・・・・。
とても透明な鈴の音が響く。
リン・・・・・・。
ふと目を覚ました。
時計を見れば午前2時を回っている。
隣りに寝ている実咲も塔子もすやすや寝ていて、私の気のせいだと思いまた寝ようとした。
リン・・・・・・。
今度ははっきり聞こえた。
窓のカーテンを開けて見れば山の上が明るい。
この感覚に覚えがあった。
そうだ、皇居で藤原がやってたやつだ。
きっとこの山で何かしているに違いない。
私は静かに洋服に着替えると、匂い袋を首にかけ部屋を出た。
宿を出て裏に回ると石段があり、その石段の足下が何故かぼんやり照らされている。
上を見上げればオレンジ色。
私は確信して石段を登っていった。
登り切って先を見れば、祭壇のような所の前で神主姿のような人達が一身に何か唱えている。
周囲は松明が焚かれているが、今見えているオレンジ色は陰陽師と思われる人達から立ち上り、広がっているように見えた。
その先には真っ黒な煙が、まるで大蛇のようにくねくねと動き、その様子だけでその黒いものを陰陽師の人達がなかなか弱めることが出来ないのがわかった。
「誰だ、お前は!?」
急に大きな声で男の人が私に向かい声を上げた。
しまった!つい来てしまったけど、ここは京都だ、自分が来てはいけないことをすっかり忘れてしまっていた。
近くにいる男性達が一気に私に振り向き、私は怖さで動けなくなった。
「ゆいちゃん?!」
聞き慣れた声にほっとしてそちらを向けば、いつもの制服じゃない、陰陽師の姿をした加茂君が目を見開き、そして慌てるように口に手を当てた。
「なんで一般人がここに」
「そういえば下の旅館に晴陽学園の生徒達が」
「結界が張ってあったのに入ってきたなら東京のか?」
「さっき照清が『ゆい』と言ったぞ。
もしかして・・・・・・東京の巫女じゃないのか?」
誰かが言ったその言葉に、一気に静まると、周囲の目が何か変わったような様な気がして、怖さで身体が震えそうになる。
「君、もしかして東雲ゆいちゃん、かな?」
遠巻きに見ていた男の人達の中から一人、お父さんよりも上くらいの歳の人が前に出てきて、声をかけながら近づいてきた。
突然、私の目の前に男性の背中が立ちふさがるように現れた。
それは加茂君で、後ろから少しだけ見えるその横顔は今までみたことがないほど張りつめていた。
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