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第六章 火の花
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しおりを挟む「さて、そろそろ寝るか」
そう言われたけれど、何だか頭は混乱してるし興奮してるし、とても眠れそうになんて無い。
「まだ眠れそうに無い」
「じゃあ英単語の問題出してやるから、答えているうち眠くなるんじゃないか?」
「そんなの余計眠れないよ!」
私が思い切り抗議すると、眼を細めて頭を撫でてきた。
「そっちのベットでお前は寝ろ。
俺はリビングのソファーで寝るから」
思わずぽかんとする。
ベッドは凄く大きくて一つしか無いのに、何でわざわざソファーに行くんだろう。
「なんでソファー?一緒に寝ようよ、おっきいよ?あのベッド」
「俺はソファーが落ち着くんだよ」
「自宅でも大きなソファーが置いてあったのって寝るため?」
「そうそう」
確かに英語教師室のソファーでいつも寝てるけど、足は曲げてもだいぶ出てるし、背の高い藤原が気持ち良く寝るならどう考えてもベッドだと思うのに。
「でも、一緒に寝ようよ、一杯話ししたいし」
「それじゃ眠れないだろうが」
「そのうち寝るから!」
必死にお願いする。
夏休みだしきっとまた仕事で会えなくなる。
なら今のうちに目一杯くっついて、一杯話したい。
なのに、藤原は考え込んでいた。
「困らせるならいいよ・・・・・・」
上目遣いで見れば、藤原が途惑ったような表情を浮かべた後、ため息をついた。
「わかった、一緒に寝るか」
苦笑いでそう言った藤原に、思わず私は両手をあげた。
良かった、寝るときまで側にいて話せるなんて幸せだ!
寝る準備をしてベッドに行けば、既に部屋は暗い。
藤原が先にいて掛け布団をめくってくれ、そこに私はわくわくと入り込んだ。
もう少しだけ、もう少しだけ、近づいてもいいかな。
私はもそもそと藤原に近寄って、おでこを藤原の胸元に当てた。
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