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第七章 もう一度あの場所で
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しおりを挟む「一つ、聞いても良いですか?」
先生の静かな声に、何を聞かれるのかと箸を置いて思わず身をただす。
「東雲さんは、光明のどこが好きなのですか?」
思わずぽかん、と先生を見た後、顔が熱くなる。
まさかそんな事を聞かれるなんて思ってなかった。
「すみません、これは私の単なる興味なんです。
光明のどこを好きになってくれたのかな、と」
穏やかに微笑みながらそう言う先生を見て、部下としてではなく純粋に聞いているのだと伝わってきた。
「どこ、と言われると、なんと言えばいいのか・・・・・・」
俯きがちに答え、少し悩んで口ごもっても、先生は待っている。
「我が儘だし、子供だし、訳分からない行動して、手が掛かるなぁって思うんです。
でも、意地っ張りで、一人で頑張ってて、寂しそうにしてて、なんというか、放っておけなくて。
あれ?好きなとこかな?これ」
口に出しながらわからなくなって首をかしげると、先生が口に手を当てて軽く吹き出した。
「他に何かありますか?」
楽しそうに私を見ながら先を促され、私は困りながら考える。
「しいていえば、笑ってるとこ、でしょうか」
「笑ってるとこ?」
「なんというか、藤原が凄く無邪気にというか、心から笑ってる、その笑顔が好きだなぁ、と」
何だかやっぱり恥ずかしくて、ぼそぼそそう言うと、東雲さん、と呼ばれ顔を上げる。
「光明は貴女に見つけてもらって本当に良かったです」
とても優しい笑みを向けられ、色々な事が恥ずかしくてたまらない。
考えて見たら、藤原との交際をこうやって話せているのは加茂君以来で、それも安心して話せる相手だと思うとほっとするし、誰かに話したいのを我慢していたから凄く嬉しい。
「なんか、藤原が違う人のように思えるんです」
「どういうことですか?」
「今まで大きな子供だったなずのに、凄く過保護になって、何故かヤキモチとか焼いて、恥ずかしい言葉も言ったりするんで本当にこれは藤原なのかな、と」
葛木先生はきょとんとしたあと、口に手を当て身体を曲げながら肩を震わせている。
さすがに笑いたくなる気持ちは私でもわかった。
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