月曜日の巫女【弐】

桜居かのん

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第九章 縁を結ぶ者

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「貴女に言われて、ほんとだ、ちゃんと努力してなかったなって気がつかされました。

知らずに巫女能力に頼り、そしてみんなの優しさに助けられていただけで」


私は言いながら、自分の未熟さを痛感していた。


「でも、やっぱり藤原が好きなんです」


私の言葉を聞いたせいか、一気に黒いモノが膨らむ。

それでも私を睨む彼女の目から逃げずに見つめ返した。


「私の想いはどうなるかわかりません。

藤原に嫌われる可能性も高いんです、ううん、多分もう嫌われた、かな」


自分で言いながら悲しくなる。

もしかしたらこれを言ったことで、和華子さんと藤原の距離が近づくかもしれないのに。

そんな私の言葉を聞いて、急に彼女は途惑ったような表情を浮かべた。


「だからはっきり言ってこんな強い思いを持つ貴女が怖い。

でも、その強い思いは正しく使って下さい。

邪気に飲み込まれるなんて、それこそ今までの貴女の努力に失礼だと思います」


私がしっかりと彼女の目を見て言うと、彼女は突然苦しそうに息をした。


「私が手伝いますから、どうか自分の力でその邪気を追い払って下さい」


「無理よ、私には能力が・・・・・・」


私はすぐ後ろで待機している加茂君に目配せすると、加茂君は驚いたような顔をした後、頷いた。


「私は素人なので、後は貴女がコントロールしてください。

大丈夫、和華子さんなら出来ます」


私はそういうと、彼女の前まで進むと途惑っている彼女の手を握り、邪気が消えるように強く願った。

この人なら私が手助けするだけで自分自身の力で元に戻れる。

私はそれを確信していた。

彼女の綺麗な顔が苦痛に歪む。


「貴女の力で追い払って!」


彼女は苦悶の表情を浮かべたまま私を見ると、頷いた。


「・・・・・・光明さんに、また光明さんに会いたいんだから、邪魔しないで!!」


突然の大声と光に私ははじき飛ばされ、彼女はその場に倒れ込んだ。

ふらふら目眩がしたけれど、必死に意識を手放さないようにして私は声を出す。


「加茂君!」


「大丈夫、気を失ってるだけ。

もう、無茶しないでよ」


彼女に駆け寄った加茂君が呆れたような声で尻餅をついている私に言った。

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