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第十二章 あなたの手を取って
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しおりを挟む「ありがとう、ございました」
鼻の奥がツンとして声が震えながら、私は心から頭を下げる。
「良いんだよ」
優しい声。この大きな優しさに私はどれだけ支えられただろう。
「それと、一つ覚えておいて欲しい」
私は顔を上げて土御門さんを見る。
「君の本当の能力は、縁を結ぶ力だ。
人に頼ることは君の場合、甘えでは無い。
人に頼り、頼むことで新たな繋がりが出来るんだ。
間違えても何かを成すために、自分を犠牲にする選択肢は取ってはいけないよ」
その言葉に胸が一杯になる。
私は一体何なのか、苦しんでいたことから答えを導かせてくれた。
「・・・・・・はい」
涙声でそう答えると、障子の開く音がして顔を上げる。
そこには藤原が私を見て驚いたような顔をした後、土御門さんを睨み、土御門さんは私に視線をよこすと軽く肩を上げ下げした。
「電話、葛木先生?」
私がそんな土御門さんを見て苦笑いを浮かべながらそう聞くと、藤原はちらりと土御門さんを見た後、あぁと答えた。
「荷物が部屋にあるの。先に車に行ってて良いよ?」
「俺も行く」
さも当然のように言った藤原にくすっと笑って、私は土御門さんに部屋に戻ることを伝え、小さな着物姿の女の子に先導されあの洋室に戻る。
部屋を見た藤原はぽかんとした後、初孫持ったジジイか!とぶつぶつ言いながらベットに座った。
私は苦笑いを浮かべ、鞄に荷物を詰めながら尋ねる。
「明治神宮の儀式、どうなったの?
成功して、犠牲者も無いから藤原が来ているんだとは思うけど」
「その事について、お前に話したいことがある」
藤原はそう言うとベッドから降りて私の側に来るとあぐらをかいて座った。
私も片付けをする手を止め、何を言われるのか不安になりながら藤原を見る。
「お前が助けに来てくれたおかげで、全員邪気から逃れられ、落雷により付近にいた者が倒れたりしたが重傷を負わずに済んだ。
境内の一部が破損したりはしたが、壊滅的な被害は出なかった。
そしてお前が俺に教えてくれた言葉。
あのおかげで儀式を祓うものではなく、自分達を律するものに変更し、東京での被害は最小限で済んだ。
多少京都にも影響が出てるだろうがそんなものは知らん」
藤原は最後苦々しく言った。
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