月曜日の巫女【弐】

桜居かのん

文字の大きさ
上 下
298 / 316
最終章 月曜日の・・・・・・

15

しおりを挟む




「もしかして教師辞めたいの?」


「いや」


心配になって聞いたら、藤原が右手だけ私の手から離しその手を伸ばして私の頭を撫でた。


「ありがとう」


そんな嬉しそうに言われたら、何だか恥ずかしい。


「その、確認したいんだが」


「なに?」


「交際は続けているんで良いんだよな?」


真剣な顔で聞かれて思わず笑ってしまう。前回も確認してきたのに。

あんなに陰陽師の長としては凜として格好いいのに、こういうとき変に弱気なんだろう。

でもそんな姿も可愛いと思ってしまう。

私がうなずくと、藤原はホッとしたようだった。


「京都では一月にご両親に合わせて欲しいと言ったけれど、そろそろ試験前だし、俺も今回の件と教師の仕事がかなりばたついて時間をとれそうにないんだ。

それで、春休みでも良いだろうか」


うーん、良いだろうかと言われても。


「もし交際が学校とかでばれたり、うちの両親が教育委員会とかに言ったら、教師辞めることになったりしない?」


やはり交際していて心配なのはこれだ。ニュースでもやっていたし。


「あぁ、そういうのは問題ない。行政機関なら簡単に潰せる。

マスコミの方が面倒だな、まぁ出る前には潰せるだろ」


特に気にすることもなさそうに言った藤原に、なんだかとても恐ろしい人たちと関わったのではないかと今更思ってしまった。


その後は、宅配してもらったやけに豪華なピザや、コンビニで買ってきたシンプルなプリンを二人で食べながら、あのクリスマスからの出来事をお互いに話したけれど、私の京都での話を聞いて藤原は時折むすっとしたり、目が据わったりするので素直に話すべきでは無かったのかもしれない。

でも藤原もとても苦しんで、特に両親との関係を話してくれていたときは、勝手に涙が出て、その度に藤原は苦笑いしながら私の頭を撫でていた。


しおりを挟む

処理中です...