月曜日の巫女【弐】

桜居かのん

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『Sweet Sweet』

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※読者様へのお礼短編です。
 原作後バレンタインのお話しになります。



*********




一月もそろそろ終わりに近づき、放課後廊下を歩いていたら掲示板に目がとまる。

そこにある一枚の紙にデカデカと太文字で『注意!!』、と題名が書かれたその下には、


「教員へのバレンタインプレゼントの受け付けは、2月14日の放課後職員室のみ。高額品は禁止」


と書かれているのを呟きながら読んで首をかしげた。


「あぁ、これですか」


突然真後ろから聞こえた声に振り向けば、葛木先生が掲示された紙を見ていた。


「去年私達は学校を休みましたから、東雲さんは初めて目にしますよね」


確かに去年は過激な陰陽師達の事件で藤原も葛木先生もしばらく休みだったが、それとこれが何が関係するのだろうか。


「バレンタインデー当日は朝から生徒達がプレゼントを渡したりで授業時間に影響することが多かったので、放課後、それも職員室でのみの受付としたんです」


そう言いながら困ったように笑う先生は、さぞかし毎年大変な思いをしていたのだろう。

私だって葛木先生に渡したいけれど他の子の迫力に負けそうだ。


「もしかして、私だけのためにこの張り紙が出ていると思っていますか?」


「はい」


私の答えに、先生は口元に手を当て顔を背けて肩をふるわせている。


「光明への対策もですよ?」


「えー、まさか」


私が笑いながら言うと、先生は顎に手を当てて考えていた。


「信じられないなら当日職員室を覗いてみては?」


先生がにこにこと提案してくる。


「えっと、藤原はまぁ良いとして、葛木先生に渡そうと思っていたから当日どちらにしろ職員室行きますね」


「えっ?!」


思わず驚いたように大きな声をあげた先生が、慌てたように周囲を見た。

妙に声は響いたけれど、誰もいないのを確認して先生が私に顔を近づける。


「光明には渡すんですよね?」


「はい。

出来ればバレンタインデー前にあげたかったんですけど、仕事の予定が入っているそうで次に会えるときに渡そうかと思って。

バレンタインデー過ぎちゃいますけど」


「それ、光明知っていますか?」


「何も言ってませんけど・・・・・・」


先生が私の返事に天を仰いだ。


「出来ればバレンタインデー前に、今度会うときに必ず渡す、と伝えておきませんか?」


「うーん、でもサプライズにしたいなって」


「お願いします、伝えてあげて下さい。色々な仕事に支障が出かねないので」


深刻そうな顔の先生に私は困惑していたけれど、生徒達が階段を上がってきているのか騒ぐ声が近づいてくるのに気が付くと、先生は絶対お願いしますね!と言って去って行った。


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