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第15章 妄想のススメ
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1.
和幸と兄が政府に送り付けた脅迫状で指定をした期限日がやってきた。
爆破未遂事件の報道は、下火になっていた。新たに爆弾が見つかったという報道もされていない。
脅迫状が送られてきたことはマスコミによって報道されたが、それに対して、政府は、脅しに屈して内閣を総辞職することはないということと、爆弾に対する対策を講じているということを明らかにした。どのような対策を講じているのかは、現在警察が捜査を続けていることもあって、明らかにできないということだった。
テレビ局は、犯罪心理や爆弾の専門家たちの見解を伝えていた。大方の見解は、爆弾がまだ仕掛けられている可能性が高いが期限日よりも前に爆破されることはないだろうということと、発信器を持った犯人が遠隔操作で爆破するものと考えられるため政府は主だった施設に対して外部電波を遮断するための対策を講じているのではないだろうかという内容だった。
政府が、電波遮断対策を行うであろうことは和幸も兄も考えていた。だからこそ、警察庁の入る中央合同庁舎第2号館に仕掛けた爆弾が見つかった時に兄が発信器を持って出かけたのだ。
自分が葛藤を繰り返している間政府による対策が進んでしまったのではないかという思いが、和幸の気持ちを沈めさせていた。
悩みぬいた和幸は、気持ちの整理をつけた。
兄との約束を果たすべきだという結論を出していた。
約束を果たすということは、彩菜のことはあきらめるということだ。
出会ってから一週間余りしか経っていなかったが、思いのほか彼女の存在は大きかった。兄との約束を果たすべきだという思いに傾いてからは、彩菜への未練と闘い続けた。
そして、ようやく打ち勝った。和幸は、そう思うことにした。
今日が、政府に与えた期限日だ。
復讐計画のシナリオでは、期限日翌日の午前零時に、どこかの施設を爆破することになっていた。
残る施設は、日本銀行、霞が関ビルディング、東京駅、羽田空港の四つである。
まずは、どこを爆破するべきか。
和幸は、冷静に考えた。
東京駅と羽田空港は、国や国民に与える影響が特に大きいため、切り札として置いておいたほうがよいのではないか。さらに日本銀行は、政府が何らかの対策を講じている可能性が高いと考えられた。
自分たちは、政府を脅迫した。自分たちの要求に従わない場合は、国の主要施設に仕掛けた爆弾を爆破させると脅した。
今まで爆弾が見つかった施設は、内閣府と国会議事堂、防衛省、警察庁だ。いずれも、国家運営の中枢機関である。しかも、政治との絡みの強い施設ばかりだ。
おそらく、政府は、現政府もしくは政治に不満のある犯人が、政治との絡みの強い重要施設に爆弾を仕掛けたのだと考えているはずだ。
だから、日本銀行が防御されているのは間違いのないところだろう。
残るのは霞が関ビルディングだ。現在は、民間企業が数多く入居するビルであり、政治との絡みも薄い。
そして、霞が関ビルディングの中には、彩菜が勤務する法律事務所も入居していた。
和幸の脳裏に彩菜の顔が浮かんできた。彼女は、弁護士としての経験を積ませてくれている事務所に感謝をしていると言っていた。
(すまない)和幸は、胸の中で彩菜に詫びた。
これから自分がやろうとしていることは、好きになりかけた女の希望を奪うことにもつながることだ。
しかし、彼女への思いを完全に断ち切らない限り、兄との約束は果たせない。
そういう意味でも、彩菜が勤務する法律事務所のある霞が関ビルディングを爆破することは理に適っている。
午前零時を過ぎていれば、彩菜はビルの中にはいない。事務所のルールで、所長も含めた全員が午後十時以降の残業はやらないと決めていると聞いていたからだ。
和幸は、脳裏に浮かんだ彩菜の残像を掻き消そうと、今後の計画の展開を頭の中で整理した。
2.
午後十時、発信器をバッグの中に詰めた和幸は、家を出た。
発信器を押す場所は、すでに決めてあった。電波の届く距離と自分自身の身の安全、障害物の位置などを考えた上で導き出した最適な場所だった。
和幸は、公共交通機関を使って目的地へと向かった。
目的地の日比谷公園に到着した。
予想通り、深夜の日比谷公園は人の姿がまばらだった。
園内の施設はすべて閉まっており、数組のカップルと数人の酔っ払いがまばらにいるだけだった。
和幸は、空いているベンチに座った。発信器の入ったバッグを膝の上で抱えた。
深夜零時でも、ビルの中で働いている人はいる。周囲の飲食店も営業している。通行人だっているだろう。
どの程度の犠牲者が出るのかは、正直わからない。
犠牲になる人間の中に、十年前に両親を死に追いやり自分と兄の前途を閉ざした行為に直接加担した人間がはたして含まれているのだろうか。
そういった面では理に適っていない復讐方法だともいえるが、それが和幸たちの選択だった。
午前零時を迎えた。
和幸は、ベンチから立ち上がった。
さりげなく、周囲を見渡す。
自分の視界の範囲に人の姿は見られない。
和幸は、バッグの中から発信器を取り出した。電波の発信口を霞が関ビルディングの方向に向けた。
頭の中で、彩菜が悲しんでいる姿が浮かんできた。勤務する法律事務所が破壊され、途方に暮れている姿だった。コツコツと積み上げてきた弁護士としての実績のすべてが宙へと散っていた。
和幸の指が、発信器のスイッチに触れた。あとは、指の力を加えればよい。そうすることで、計画の新たな幕開けとなる。
しばしの時間、和幸は、スイッチを押すことを躊躇した。彩菜の残像が、良心という二文字が、脳裏に浮かび上がろうとしている。
和幸は、意思の力でそれらを抑え込んだ。
そんな和幸の耳に、兄の声が聞こえてきた。
「何をやっているんだよ。早く、押せよ」
和幸の頭の中が白くなった。
そして、発信器のスイッチに触れた指先に力を込めた。
和幸は、目をつぶった。恐怖から逃れるように身をすくめた。周囲の物音も消え去る。
発信器のスイッチを押してから十数秒が経過していた。
和幸は、そっと目を開けた。
何の変化も起こらなかった。爆音も、人々の悲鳴も聞こえてこない。
和幸は、首をひねった。今いる場所から霞が関ビルディングまでの距離は、十分に電波到達距離の範囲内に収まっている。
中間にあるビルなどの障害物の存在を考えたとしても、すでに電波が到達している時間であった。
和幸は、その場に立ち尽くした。五分間待ったが、やはり何も起こらない。
和幸は、日比谷公園の入り口まで霞が関ビルディングに近づいた。これ以上近づくと、自分自身の身の安全が保障されない。公園の入り口であれば、発信器のスイッチを押した後すぐに公園内に逃げ込めばよい。
さっき何も起こらなかったのは、公園内の木々や施設が電波の到達を妨害したせいなのかもしれない。
和幸は、再び周囲を見渡した。目の前の通りを歩く人の姿も、園内から入口に向ってくる人の姿もない。
今度こそ、ビルは爆破される。
再び、発信器のスイッチに力を込めた。
和幸は、公園の奥深くへと走った。園内施設の庇の下に身を寄せる。
しかし、和幸の耳には爆発音は聞こえてこなかった。地面を揺らす振動すら感じない。
和幸は、顔を上げた。
もはや、あきらめるしかないということを悟った。
政府が、霞が関ビルディングにも対策を施したのかもしれない。あるいは、発信器に不具合があったのかもしれない。
そうではないのだとしても、これ以上霞が関ビルディングに近い場所で発信器のスイッチを押すわけにはいかなかった。爆発した時に、自分自身の身に危険が及ぶからだ。
和幸は、発信器をバッグの中にしまった。
そのまま崩れるように、地べたに座り込んだ。
3.
和幸は、うつろな視線を地面に当てた。
公園の外の街灯の明かりは、和幸がいる場所へは届かない。闇間と地面が同化していた。周囲の木々が、夜風に吹かれてザワザワと揺らめいている。
和幸は、静かに息を吐いた。
己を誘惑する何もかもを断ち切り、兄と二人で確かめ合った志を貫こうと決意をしたのだが、何の変化も起こらなかった。
和幸の体内から、急速にエネルギーが抜けていった。
計画のすべてがダメになったわけではなかったが、再び爆破にチャレンジしようという気持ちが失せていた。
(今まで、何のために突っ走ってきたのだろう)和幸の胸に、失望と疑問が交差した。
自分たちが抱いてきた思いや志してきたことは、間違いだったのだろうか。だから、神様が許してくれなかったのだろうか。
だとすれば、自分たちは、どうするべきだったのだろう。
和幸の脳裏に、両親の姿が浮かんできた。
幸せだったころ、両親は、自分たち兄弟にたくさんの愛を与えてくれた。
そして、この世を去るとき、自分たち兄弟に『人間らしく生きろ』というメッセージを残した。父親直筆のメモだった。
遺書がなかったのは、限界まで精神が追い詰められていたからだと自分も兄も思った。
そんな中、人間らしく生きろというメッセージを託された。人間らしく生きるということは、愛すべき人の命を奪い自分たちの幸せをも奪った相手に対して復讐することだと信じて疑わなかった。
和幸は、両親から与えられたもの、教えられたこととは何だったのだろうかということを考えた。
そんな和幸の中で、ある思いが湧き出てきた。
もしかしたら、両親が遺書を残さなかったのは、すべての恨みやつらみをあの世に持っていくつもりだったからなのかもしれない。
そのうえで、自分たち兄弟には人間らしい道を歩み続けてほしいという思いを、あの短いメッセージにしたためていたのかもしれない。
和幸は、自分たちは、とんでもない過ちを犯していたのではないだろうかと思い始めた。
そんな和幸の胸の中で、彩菜の声が聞こえた。
「あなたは、一生恨みを持ち続けながら生きていくつもりなの?」
「そんなんじゃ、一生面白くない人生を送らなければならなくなっちゃうよ」
「後ろを振り向かずに、前を向いて歩いていこうよ」
「私と一緒に歩いていきましょう」
和幸は、うつむいていた顔を前に向けた。
そして、「そうだね」と暗闇の向こうにいるはずの彩菜に向って呟いた。
和幸の復讐心がしぼみ始めた。それとともに、今まで準備に力を注いできたことを滑稽に思うようになった。
兄弟で肉体を酷使し、お金を貯め、試行錯誤の末、爆弾や発信器を作り上げた。そのために、最も実りのある青春の時間を代償にした。
もう、これでよいのではないだろうか。自分たちの中で、十分復讐を果たしたのではないだろうか。
これからは、人間らしく生きていくべきなのではないだろうか。
そんな和幸に、ある考えが浮かんだ。
自分たちの爆弾で、この国が混乱に陥っている様を妄想してみよう。そうすれば、今まで費やしてきた時間も、無駄にはならない。
自分たちの知識と技術を結集して作り上げた爆弾は、間違いなくたくさんの建物を破壊し、この国を混乱に陥れていたはずなのだから。
深夜零時、耳をつんざくような爆音とともに、霞が関ビルディングの壁が崩れ落ちた。飛び散る塵が、街灯の明かりに映し出される。粉雪が舞い落ちているような幻想を和幸は覚えた。
地鳴りの音が、指で両耳をふさいだ和幸のもとへも伝わってきた。
霞が関ビルディングを破壊したエネルギーは、周囲の建物をも襲った。
ワンテンポおいて、隣接する建物が崩れ落ちた。近隣の建物の窓ガラスが吹っ飛ぶ。
和幸は、耳をふさいでいた指を離した。
辺りは、静寂に包まれていた。すべての動きが止まってしまったような錯覚に和幸は陥った。
やがて、静寂が喧騒に変わった。人々の叫び声が聞こえてくる。爆発の起きた方向へ向かって駆けていく足音も大きくなっていった。
和幸は、公園の入り口から通りに出た。
あちらこちらの方向から、サイレンの音が近づいてきていた。
その後、パトカーと救急車、消防車が、続々と現場に押し寄せてきた。目にしたこともないような台数である。
しばしの後、警察が、付近の道路をパトカーで封鎖した。その外側に、黄色い非常線テープが張られた。非常線の内側にいた人たちが、外へと押し出される。
非常線ギリギリのところに報道関係者が群がった。その周囲を、やじ馬たちが何重にも取り巻く。
そんな中、大きな爆発音が鳴った。それとともに火柱が高く舞い上がる。非常線の内側にあるビルが、火を噴いていた。
周囲の喧騒が、悲鳴に変わった。
4.
日比谷公園を後にした和幸は、霞が関ビルディングの方向に向かって歩き出した。
深夜の都心は静まり返っていた。時折、タクシーが通りを走り抜けた。
和幸の視界に、霞が関ビルディングの全容が迫ってきた。日本初の高層ビルとして一九六八年に建てられた建物は、周囲に威厳を放っていた。窓に、ぽつぽつと明かりが灯っている。窓の向こう側では、夜を徹して仕事をするビジネスマンたちが懸命に闘っているのだろう。
和幸は、霞が関ビルディングの前で立ち止まった。ゆっくりと上を見上げる。屋上に建てられた二本のアンテナが、夜空を突き刺しながら天まで伸びていっているような幻想を覚えた。
アンテナの先にいるのは、あの世に旅立った両親なのだろうか。
和幸の胸に、『人間らしく生きろ』というメッセージがよみがえってきた。
尊敬してやまない父と母の声が聞こえてきた。
和幸は、道を歩き出した。
この時間でもタクシーを拾えないことはなかったが、静かな空間をゆっくりとさまよってみたいという思いに駆られていた。歩きながら、過去を振り返り、そして、今後の人生に思いを馳せてみたい。
しっかり大地を踏みしめるように通りを歩き続けた。
空腹を覚えた和幸は、二十四時間営業のカフェに入った。軽食とコーヒーを注文した。
食事を終えた和幸は、睡魔に襲われた。緊張から解放された脳がつかの間の休息を求めていた。
店内は空いていた。他のテーブルでは、本を読みながら寝ている客もいた。店員も注意しない。
和幸は、椅子にもたれ、両目をつぶった。
そのまま、睡眠の世界へといざなわれていった。
和幸は、ジーンズのポケットから伝わる振動で目を覚ました。スマートフォンのバイブが鳴っていた。両目をこすりながら、ポケットからスマートフォンを取り出す。
ディスプレーには、記憶にない電話番号が表示されていた。
時刻は、朝の七時になろうとしている。
和幸は、通話応答ボタンを指でスクロールし、スマートフォンに耳を近づけた。
「はい」とだけ返事をする。
「澤田和幸さんでいらっしゃいますか?」男の声が問いかけてきた。
「そうですが」
「こちら、神田総合病院です。実は、先ほど、澤田義幸さんの意識が戻られましたので、ご連絡差し上げました」
「本当ですか!」
和幸の眠気が覚めた。兄の意識が戻ったというのだ。つまり、危機を脱したということだ。
和幸は、連絡をくれた病院関係者に、今すぐ駆けつけると返事をした。
病院に駆けつけた和幸は、兄のもとへと向った。
兄は、集中治療室のベッドの上にいた。眠っているように見える。
「兄は、もう大丈夫なのですよね?」和幸は、医師に確認した。
「意識が戻られましたから、深刻な事態からは脱したと思います。もちろん、詳しい検査をしてみないとちゃんとしたことは話せませんが」
「今、兄と話せるのですか?」
「大丈夫ですよ。病院の人間とも二言三言言葉を交わしましたから。ただし、長時間話すことは避けてください。脳への負担が大きいですから。それと、刺激的な話も避けるようにしてください」
「わかりました」
医師から説明を受けた和幸は、集中治療室に足を踏み入れた。兄の枕元にひざまずき、顔を覗き込む。
病院は、和幸と兄を二人きりにしてくれた。
「兄貴」和幸は、小さな声で呼びかけた。兄の体が、ぴくりと反応した。ゆっくりと目を開く。
「和幸か?」兄が、弱々しく返事をした。
「そうだよ」和幸は、兄の手を握った。兄が、手を握り返してくる。
「あれから、何日経ったんだろう」
「十日。いや、もう十一日か」
兄が事故に巻き込まれてから十一日が経過していた。
「そうなのか……。迷惑をかけたな」兄が、弱々しく笑った。
意識は、しっかりとしているようだった。記憶の障害も発生していないように見える。
「オレが眠っている間、あのことは、どうなったんだ?」兄が問いかけてきた。
和幸は、すぐには答えられなかった。
ありのままを話すべきなのだろうか。それとも曖昧に話したほうが良いのだろうか。
しばしの時間、和幸は迷い続けた。
そして、結論を出した。
ありのままを伝えるべきだ。自分たちが過ちを犯していたということを。両親が、自分たちに伝えたかったことを。
兄ならば、きっとわかってくれるはずだ。自分よりも頭の良い兄なのだから。
和幸は、兄が事故に巻き込まれてからのことを、要点をまとめて伝えた。今までの間違いに気づいたという考えも口にする。
「オレ、人間らしく生きてみようと思う。兄貴にも、そうなってもらいたい。なぁ、兄貴。これからも支えあって生きていこうよ」
兄が、目をつぶった。目じりから小さな涙が零れ落ちた。何度か、小さく頷く。
和幸の胸にも、熱いものが込み上げてきた。
きっと、兄も苦しんでいたのだ。兄も、早く楽になりたかったのだ。
和幸は、兄が自分の思いを理解してくれたことを悟った。
「疲れたよ」
「えっ?」
「本当は、もっと聞きたいことがあるんだけど、疲れちゃったよ。また来て、いろいろと話を聞かせてくれよ」
兄が、疲れたという意思表示をした。
意識が戻ったばかりで頭が疲れたということもあるのだろうし、一人でゆっくりと考えてみたいという思いもあるのだろう。
そのように察した和幸は、「また来るから」と返事を支、集中治療室を出た。
病院関係者に挨拶をして病院を後にする。
そんな和幸の脳裏に、彩菜の笑顔が浮かんできた。風邪が治ったら連絡すると伝えてある。
和幸は、無性に彩菜に会いたくなった。
ジーンズのポケットからスマートフォンを取り出した和幸は、体調が戻ったので会いたいというメールを彩菜に送信した。
和幸と兄が政府に送り付けた脅迫状で指定をした期限日がやってきた。
爆破未遂事件の報道は、下火になっていた。新たに爆弾が見つかったという報道もされていない。
脅迫状が送られてきたことはマスコミによって報道されたが、それに対して、政府は、脅しに屈して内閣を総辞職することはないということと、爆弾に対する対策を講じているということを明らかにした。どのような対策を講じているのかは、現在警察が捜査を続けていることもあって、明らかにできないということだった。
テレビ局は、犯罪心理や爆弾の専門家たちの見解を伝えていた。大方の見解は、爆弾がまだ仕掛けられている可能性が高いが期限日よりも前に爆破されることはないだろうということと、発信器を持った犯人が遠隔操作で爆破するものと考えられるため政府は主だった施設に対して外部電波を遮断するための対策を講じているのではないだろうかという内容だった。
政府が、電波遮断対策を行うであろうことは和幸も兄も考えていた。だからこそ、警察庁の入る中央合同庁舎第2号館に仕掛けた爆弾が見つかった時に兄が発信器を持って出かけたのだ。
自分が葛藤を繰り返している間政府による対策が進んでしまったのではないかという思いが、和幸の気持ちを沈めさせていた。
悩みぬいた和幸は、気持ちの整理をつけた。
兄との約束を果たすべきだという結論を出していた。
約束を果たすということは、彩菜のことはあきらめるということだ。
出会ってから一週間余りしか経っていなかったが、思いのほか彼女の存在は大きかった。兄との約束を果たすべきだという思いに傾いてからは、彩菜への未練と闘い続けた。
そして、ようやく打ち勝った。和幸は、そう思うことにした。
今日が、政府に与えた期限日だ。
復讐計画のシナリオでは、期限日翌日の午前零時に、どこかの施設を爆破することになっていた。
残る施設は、日本銀行、霞が関ビルディング、東京駅、羽田空港の四つである。
まずは、どこを爆破するべきか。
和幸は、冷静に考えた。
東京駅と羽田空港は、国や国民に与える影響が特に大きいため、切り札として置いておいたほうがよいのではないか。さらに日本銀行は、政府が何らかの対策を講じている可能性が高いと考えられた。
自分たちは、政府を脅迫した。自分たちの要求に従わない場合は、国の主要施設に仕掛けた爆弾を爆破させると脅した。
今まで爆弾が見つかった施設は、内閣府と国会議事堂、防衛省、警察庁だ。いずれも、国家運営の中枢機関である。しかも、政治との絡みの強い施設ばかりだ。
おそらく、政府は、現政府もしくは政治に不満のある犯人が、政治との絡みの強い重要施設に爆弾を仕掛けたのだと考えているはずだ。
だから、日本銀行が防御されているのは間違いのないところだろう。
残るのは霞が関ビルディングだ。現在は、民間企業が数多く入居するビルであり、政治との絡みも薄い。
そして、霞が関ビルディングの中には、彩菜が勤務する法律事務所も入居していた。
和幸の脳裏に彩菜の顔が浮かんできた。彼女は、弁護士としての経験を積ませてくれている事務所に感謝をしていると言っていた。
(すまない)和幸は、胸の中で彩菜に詫びた。
これから自分がやろうとしていることは、好きになりかけた女の希望を奪うことにもつながることだ。
しかし、彼女への思いを完全に断ち切らない限り、兄との約束は果たせない。
そういう意味でも、彩菜が勤務する法律事務所のある霞が関ビルディングを爆破することは理に適っている。
午前零時を過ぎていれば、彩菜はビルの中にはいない。事務所のルールで、所長も含めた全員が午後十時以降の残業はやらないと決めていると聞いていたからだ。
和幸は、脳裏に浮かんだ彩菜の残像を掻き消そうと、今後の計画の展開を頭の中で整理した。
2.
午後十時、発信器をバッグの中に詰めた和幸は、家を出た。
発信器を押す場所は、すでに決めてあった。電波の届く距離と自分自身の身の安全、障害物の位置などを考えた上で導き出した最適な場所だった。
和幸は、公共交通機関を使って目的地へと向かった。
目的地の日比谷公園に到着した。
予想通り、深夜の日比谷公園は人の姿がまばらだった。
園内の施設はすべて閉まっており、数組のカップルと数人の酔っ払いがまばらにいるだけだった。
和幸は、空いているベンチに座った。発信器の入ったバッグを膝の上で抱えた。
深夜零時でも、ビルの中で働いている人はいる。周囲の飲食店も営業している。通行人だっているだろう。
どの程度の犠牲者が出るのかは、正直わからない。
犠牲になる人間の中に、十年前に両親を死に追いやり自分と兄の前途を閉ざした行為に直接加担した人間がはたして含まれているのだろうか。
そういった面では理に適っていない復讐方法だともいえるが、それが和幸たちの選択だった。
午前零時を迎えた。
和幸は、ベンチから立ち上がった。
さりげなく、周囲を見渡す。
自分の視界の範囲に人の姿は見られない。
和幸は、バッグの中から発信器を取り出した。電波の発信口を霞が関ビルディングの方向に向けた。
頭の中で、彩菜が悲しんでいる姿が浮かんできた。勤務する法律事務所が破壊され、途方に暮れている姿だった。コツコツと積み上げてきた弁護士としての実績のすべてが宙へと散っていた。
和幸の指が、発信器のスイッチに触れた。あとは、指の力を加えればよい。そうすることで、計画の新たな幕開けとなる。
しばしの時間、和幸は、スイッチを押すことを躊躇した。彩菜の残像が、良心という二文字が、脳裏に浮かび上がろうとしている。
和幸は、意思の力でそれらを抑え込んだ。
そんな和幸の耳に、兄の声が聞こえてきた。
「何をやっているんだよ。早く、押せよ」
和幸の頭の中が白くなった。
そして、発信器のスイッチに触れた指先に力を込めた。
和幸は、目をつぶった。恐怖から逃れるように身をすくめた。周囲の物音も消え去る。
発信器のスイッチを押してから十数秒が経過していた。
和幸は、そっと目を開けた。
何の変化も起こらなかった。爆音も、人々の悲鳴も聞こえてこない。
和幸は、首をひねった。今いる場所から霞が関ビルディングまでの距離は、十分に電波到達距離の範囲内に収まっている。
中間にあるビルなどの障害物の存在を考えたとしても、すでに電波が到達している時間であった。
和幸は、その場に立ち尽くした。五分間待ったが、やはり何も起こらない。
和幸は、日比谷公園の入り口まで霞が関ビルディングに近づいた。これ以上近づくと、自分自身の身の安全が保障されない。公園の入り口であれば、発信器のスイッチを押した後すぐに公園内に逃げ込めばよい。
さっき何も起こらなかったのは、公園内の木々や施設が電波の到達を妨害したせいなのかもしれない。
和幸は、再び周囲を見渡した。目の前の通りを歩く人の姿も、園内から入口に向ってくる人の姿もない。
今度こそ、ビルは爆破される。
再び、発信器のスイッチに力を込めた。
和幸は、公園の奥深くへと走った。園内施設の庇の下に身を寄せる。
しかし、和幸の耳には爆発音は聞こえてこなかった。地面を揺らす振動すら感じない。
和幸は、顔を上げた。
もはや、あきらめるしかないということを悟った。
政府が、霞が関ビルディングにも対策を施したのかもしれない。あるいは、発信器に不具合があったのかもしれない。
そうではないのだとしても、これ以上霞が関ビルディングに近い場所で発信器のスイッチを押すわけにはいかなかった。爆発した時に、自分自身の身に危険が及ぶからだ。
和幸は、発信器をバッグの中にしまった。
そのまま崩れるように、地べたに座り込んだ。
3.
和幸は、うつろな視線を地面に当てた。
公園の外の街灯の明かりは、和幸がいる場所へは届かない。闇間と地面が同化していた。周囲の木々が、夜風に吹かれてザワザワと揺らめいている。
和幸は、静かに息を吐いた。
己を誘惑する何もかもを断ち切り、兄と二人で確かめ合った志を貫こうと決意をしたのだが、何の変化も起こらなかった。
和幸の体内から、急速にエネルギーが抜けていった。
計画のすべてがダメになったわけではなかったが、再び爆破にチャレンジしようという気持ちが失せていた。
(今まで、何のために突っ走ってきたのだろう)和幸の胸に、失望と疑問が交差した。
自分たちが抱いてきた思いや志してきたことは、間違いだったのだろうか。だから、神様が許してくれなかったのだろうか。
だとすれば、自分たちは、どうするべきだったのだろう。
和幸の脳裏に、両親の姿が浮かんできた。
幸せだったころ、両親は、自分たち兄弟にたくさんの愛を与えてくれた。
そして、この世を去るとき、自分たち兄弟に『人間らしく生きろ』というメッセージを残した。父親直筆のメモだった。
遺書がなかったのは、限界まで精神が追い詰められていたからだと自分も兄も思った。
そんな中、人間らしく生きろというメッセージを託された。人間らしく生きるということは、愛すべき人の命を奪い自分たちの幸せをも奪った相手に対して復讐することだと信じて疑わなかった。
和幸は、両親から与えられたもの、教えられたこととは何だったのだろうかということを考えた。
そんな和幸の中で、ある思いが湧き出てきた。
もしかしたら、両親が遺書を残さなかったのは、すべての恨みやつらみをあの世に持っていくつもりだったからなのかもしれない。
そのうえで、自分たち兄弟には人間らしい道を歩み続けてほしいという思いを、あの短いメッセージにしたためていたのかもしれない。
和幸は、自分たちは、とんでもない過ちを犯していたのではないだろうかと思い始めた。
そんな和幸の胸の中で、彩菜の声が聞こえた。
「あなたは、一生恨みを持ち続けながら生きていくつもりなの?」
「そんなんじゃ、一生面白くない人生を送らなければならなくなっちゃうよ」
「後ろを振り向かずに、前を向いて歩いていこうよ」
「私と一緒に歩いていきましょう」
和幸は、うつむいていた顔を前に向けた。
そして、「そうだね」と暗闇の向こうにいるはずの彩菜に向って呟いた。
和幸の復讐心がしぼみ始めた。それとともに、今まで準備に力を注いできたことを滑稽に思うようになった。
兄弟で肉体を酷使し、お金を貯め、試行錯誤の末、爆弾や発信器を作り上げた。そのために、最も実りのある青春の時間を代償にした。
もう、これでよいのではないだろうか。自分たちの中で、十分復讐を果たしたのではないだろうか。
これからは、人間らしく生きていくべきなのではないだろうか。
そんな和幸に、ある考えが浮かんだ。
自分たちの爆弾で、この国が混乱に陥っている様を妄想してみよう。そうすれば、今まで費やしてきた時間も、無駄にはならない。
自分たちの知識と技術を結集して作り上げた爆弾は、間違いなくたくさんの建物を破壊し、この国を混乱に陥れていたはずなのだから。
深夜零時、耳をつんざくような爆音とともに、霞が関ビルディングの壁が崩れ落ちた。飛び散る塵が、街灯の明かりに映し出される。粉雪が舞い落ちているような幻想を和幸は覚えた。
地鳴りの音が、指で両耳をふさいだ和幸のもとへも伝わってきた。
霞が関ビルディングを破壊したエネルギーは、周囲の建物をも襲った。
ワンテンポおいて、隣接する建物が崩れ落ちた。近隣の建物の窓ガラスが吹っ飛ぶ。
和幸は、耳をふさいでいた指を離した。
辺りは、静寂に包まれていた。すべての動きが止まってしまったような錯覚に和幸は陥った。
やがて、静寂が喧騒に変わった。人々の叫び声が聞こえてくる。爆発の起きた方向へ向かって駆けていく足音も大きくなっていった。
和幸は、公園の入り口から通りに出た。
あちらこちらの方向から、サイレンの音が近づいてきていた。
その後、パトカーと救急車、消防車が、続々と現場に押し寄せてきた。目にしたこともないような台数である。
しばしの後、警察が、付近の道路をパトカーで封鎖した。その外側に、黄色い非常線テープが張られた。非常線の内側にいた人たちが、外へと押し出される。
非常線ギリギリのところに報道関係者が群がった。その周囲を、やじ馬たちが何重にも取り巻く。
そんな中、大きな爆発音が鳴った。それとともに火柱が高く舞い上がる。非常線の内側にあるビルが、火を噴いていた。
周囲の喧騒が、悲鳴に変わった。
4.
日比谷公園を後にした和幸は、霞が関ビルディングの方向に向かって歩き出した。
深夜の都心は静まり返っていた。時折、タクシーが通りを走り抜けた。
和幸の視界に、霞が関ビルディングの全容が迫ってきた。日本初の高層ビルとして一九六八年に建てられた建物は、周囲に威厳を放っていた。窓に、ぽつぽつと明かりが灯っている。窓の向こう側では、夜を徹して仕事をするビジネスマンたちが懸命に闘っているのだろう。
和幸は、霞が関ビルディングの前で立ち止まった。ゆっくりと上を見上げる。屋上に建てられた二本のアンテナが、夜空を突き刺しながら天まで伸びていっているような幻想を覚えた。
アンテナの先にいるのは、あの世に旅立った両親なのだろうか。
和幸の胸に、『人間らしく生きろ』というメッセージがよみがえってきた。
尊敬してやまない父と母の声が聞こえてきた。
和幸は、道を歩き出した。
この時間でもタクシーを拾えないことはなかったが、静かな空間をゆっくりとさまよってみたいという思いに駆られていた。歩きながら、過去を振り返り、そして、今後の人生に思いを馳せてみたい。
しっかり大地を踏みしめるように通りを歩き続けた。
空腹を覚えた和幸は、二十四時間営業のカフェに入った。軽食とコーヒーを注文した。
食事を終えた和幸は、睡魔に襲われた。緊張から解放された脳がつかの間の休息を求めていた。
店内は空いていた。他のテーブルでは、本を読みながら寝ている客もいた。店員も注意しない。
和幸は、椅子にもたれ、両目をつぶった。
そのまま、睡眠の世界へといざなわれていった。
和幸は、ジーンズのポケットから伝わる振動で目を覚ました。スマートフォンのバイブが鳴っていた。両目をこすりながら、ポケットからスマートフォンを取り出す。
ディスプレーには、記憶にない電話番号が表示されていた。
時刻は、朝の七時になろうとしている。
和幸は、通話応答ボタンを指でスクロールし、スマートフォンに耳を近づけた。
「はい」とだけ返事をする。
「澤田和幸さんでいらっしゃいますか?」男の声が問いかけてきた。
「そうですが」
「こちら、神田総合病院です。実は、先ほど、澤田義幸さんの意識が戻られましたので、ご連絡差し上げました」
「本当ですか!」
和幸の眠気が覚めた。兄の意識が戻ったというのだ。つまり、危機を脱したということだ。
和幸は、連絡をくれた病院関係者に、今すぐ駆けつけると返事をした。
病院に駆けつけた和幸は、兄のもとへと向った。
兄は、集中治療室のベッドの上にいた。眠っているように見える。
「兄は、もう大丈夫なのですよね?」和幸は、医師に確認した。
「意識が戻られましたから、深刻な事態からは脱したと思います。もちろん、詳しい検査をしてみないとちゃんとしたことは話せませんが」
「今、兄と話せるのですか?」
「大丈夫ですよ。病院の人間とも二言三言言葉を交わしましたから。ただし、長時間話すことは避けてください。脳への負担が大きいですから。それと、刺激的な話も避けるようにしてください」
「わかりました」
医師から説明を受けた和幸は、集中治療室に足を踏み入れた。兄の枕元にひざまずき、顔を覗き込む。
病院は、和幸と兄を二人きりにしてくれた。
「兄貴」和幸は、小さな声で呼びかけた。兄の体が、ぴくりと反応した。ゆっくりと目を開く。
「和幸か?」兄が、弱々しく返事をした。
「そうだよ」和幸は、兄の手を握った。兄が、手を握り返してくる。
「あれから、何日経ったんだろう」
「十日。いや、もう十一日か」
兄が事故に巻き込まれてから十一日が経過していた。
「そうなのか……。迷惑をかけたな」兄が、弱々しく笑った。
意識は、しっかりとしているようだった。記憶の障害も発生していないように見える。
「オレが眠っている間、あのことは、どうなったんだ?」兄が問いかけてきた。
和幸は、すぐには答えられなかった。
ありのままを話すべきなのだろうか。それとも曖昧に話したほうが良いのだろうか。
しばしの時間、和幸は迷い続けた。
そして、結論を出した。
ありのままを伝えるべきだ。自分たちが過ちを犯していたということを。両親が、自分たちに伝えたかったことを。
兄ならば、きっとわかってくれるはずだ。自分よりも頭の良い兄なのだから。
和幸は、兄が事故に巻き込まれてからのことを、要点をまとめて伝えた。今までの間違いに気づいたという考えも口にする。
「オレ、人間らしく生きてみようと思う。兄貴にも、そうなってもらいたい。なぁ、兄貴。これからも支えあって生きていこうよ」
兄が、目をつぶった。目じりから小さな涙が零れ落ちた。何度か、小さく頷く。
和幸の胸にも、熱いものが込み上げてきた。
きっと、兄も苦しんでいたのだ。兄も、早く楽になりたかったのだ。
和幸は、兄が自分の思いを理解してくれたことを悟った。
「疲れたよ」
「えっ?」
「本当は、もっと聞きたいことがあるんだけど、疲れちゃったよ。また来て、いろいろと話を聞かせてくれよ」
兄が、疲れたという意思表示をした。
意識が戻ったばかりで頭が疲れたということもあるのだろうし、一人でゆっくりと考えてみたいという思いもあるのだろう。
そのように察した和幸は、「また来るから」と返事を支、集中治療室を出た。
病院関係者に挨拶をして病院を後にする。
そんな和幸の脳裏に、彩菜の笑顔が浮かんできた。風邪が治ったら連絡すると伝えてある。
和幸は、無性に彩菜に会いたくなった。
ジーンズのポケットからスマートフォンを取り出した和幸は、体調が戻ったので会いたいというメールを彩菜に送信した。
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