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第一章

ダグル迷宮地下二階層……父親との思い出と退屈な二人

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 エルとシルフィアは周囲を警戒しながら、暗い通路を先へ先へと歩みを進める。

「中々、出口がみつからない」
「エル、そうだね。本当に出口があるのかな……」

 そう言いシルフィアは、不安になってきた。

「あるとは思う。空気の流れが、徐々にだけど変わって来てる」
「空気の流れ? そういえば昔、エルムスも同じようなこと言ってたけど」
「父さんが……そうか……」

 そう言うとエルは、つらそうな表情になる。

「あ、ごめん。思い出させちゃったみたいだね」
「あ、いや……大丈夫。ただ昔、父さんと洞窟に行ったことを思い出した。その時に、色々教えてもらったなぁって……」
「そうなんだね。その時に、空気の流れとか分かる方法を教わったの?」

 そう問われエルは、言葉に詰まった。そう空気の流れや気配など分かるようになったのは、つい最近でありサリドデの町を出てからである。
 そのためどう答えていいか分からなくなった。

「えっと……そうだな。教わったけど……できるようになったのは最近なんだ」

 ――まあ、嘘は言っていない。

「そっかぁ。じゃあ、ここにくるまでの間に……色々あったんだね」
「ああ……うん、そうだな。それよりも、微かだけど……この先から風が吹いて来てる」
「じゃあ、出口が近いってこと?」

 そう問われエルは首を横に振る。

「近いかは分からないけど……この先に出口があるのは間違いない」
「それでも出口がある」
「うん、とりあえず行ってみよう」

 それを聞きシルフィアは、コクッと頷く。
 その後、二人は更に先に進んだ。

 ∞✦∞✧∞✦∞

 ここは地下第二階層の休憩施設。
 あれからログスとララファは、アイテム等の仕分けや本などを読んでいた。
 だが、二人は不安になってくる。

「なぁ、ララファ。エルとシルフィアさん遅いな」
「そうだね……大丈夫かな」
「心配ないと思うけど……何かあったのかな?」

 そう言うとログスは、エルとシルフィアが向かった方角をみた。

「気になるね。でも、ここを離れられないよ。私たちが、ここを出て探しに行ったら……」
「うん、もしエルとシルフィアさんがここに来たら……すれ違いになる」
「それだけじゃない。逆に心配かけちゃう……ううん、迷惑かける」

 そう言いララファは、何もできない自分が嫌になってくる。
 それを聞いたログスも悔しい表情になった。

「俺たちじゃ何もできない。悔しいけど……待つしかないよな」
「そうだね。でもどうする? やることがなくなっちゃったけど」
「そう……だな。今やれることってなんだろう?」

 そう言いログスは、どうしようかと考え始める。
 そして二人はその後、何をして待てばいいのかと話し合っていたのだった。
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