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4 聖女と悪女
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セレスティアが治癒魔法を使った一件の翌日午後、予定通り聖テレサ孤児院の院長が生徒会室を訪れた。
「ヴィオレッタ様、いつもありがとうございます」
白髪の老婦人——テレサ院長は、来て早々に深く頭を下げた。質素だが清潔な修道服に、子供たちの手作りらしい小さなブローチが光っている。孤児院の敷地内に生えている木の細い蔓や枝を編んで輪にし、押し花や葉をあしらった小さなリースだ。
「いいえ、テレサ院長。頭を上げてください」
私は慌てて彼女の手を取った。皺だらけだけれど、温かい手だ。
「子供たちは元気にしていますか?」
「ええ、おかげさまで。特に先月いただいた絵本は大人気で……特にエマは本が大好きですから、もう内容を暗記してしまったほどです」
院長の顔に、孫を語る祖母のような優しい笑みが浮かんだ。
「まあ、そんなに!子供たちが喜んでくれて、私も嬉しいです。早く次の絵本も用意しないといけませんね」
私も思わず顔をほころばせた。エマは孤児院で一番小さな女の子。まだ文字も読めないのに、絵を見ながら物語を覚えてしまったらしい。
その後寄付の品を確認をしていると、院長が小さくつぶやいた。
「ヴィオレッタ様のおかげで、今年の冬も子供たちが暖かく過ごせます。本当に――」
その時、扉が強めにノックされた。
「失礼します」
入ってきたのは、学院新聞部の部長、エドワード・ライトだった。茶髪を気取った感じに整え、人当たりの良い笑顔を浮かべている。でも、その目は常に何かを値踏みするような視線をしていた。
「ヴィオレッタ様、少しお時間を——おや、お客様でしたか」
彼の視線が、院長、そして机の上の寄付の品——冬物の衣類、学用品、絵本——に向けられた。まるで獲物を見つけた狩人のように、瞳が一瞬鋭く光った。
「学院新聞の内容について伺いましたがちょうど良かった。こちら記事にさせていただいてもよろしいですか?生徒会の慈善活動として」
そう、机の上を示しながら言うエドワード。
にこやかな口調だったが、その目は笑っていなかった。
「それは…」
私が答える前に、院長が申し訳なさそうに口を開いた。
「大変ありがたいお話ですが、お断りさせていただきたいです。実は以前、新聞に載ったことがありまして…」
院長の声が震えた。
「その新聞を見た貴族の方々が見学にいらして、子供たちをまるで動物園の動物のように見学したんです。『可哀想ね』『こんな子たちがいるなんて』と。あの子たちは、何も可哀想じゃありません。確かに親はいませんが、みんな明るく元気に生きています。…あの後、子供たちは何日も泣いていました。なのでそれ以降、新聞の取材は全てお断りしているのです……」
「なるほど」
エドワードがあっさりと頷く。まるでなにも響いていないように。
「随分と都合の良い言い訳ですね。まるで、人目に触れたくない何か後ろめたいことでもあるかのような」
「…っ違います!」
テレサ院長の顔が青ざめた。
「エドワードさん」
私は立ち上がり、彼を真っ直ぐに見据えた。
「テレサ院長は子供たちの心を第一に考えていらっしゃるだけです。その判断を、私は全面的に支持します」
声は穏やかだが、これ以上院長を追い詰めるなという警告を込めた。
「分かりました、分かりました」
エドワードは両手を上げて見せた。でも、その口元には意地の悪い笑みが張り付いている。
「ただ、不思議ですねぇ。公爵令嬢ともあろう方が、なぜわざわざ孤児院なんかに通われるのか。婚約者のレオン殿下に良く見られたいから?それとも、民衆の人気を得ようとしているのですか?」
「エドワードさん、純粋な善意というものを信じられないのですか?それに、これは貴族としての当然の務めでもあります。領民を守り、弱き者を助ける。それが高い地位に生まれた者の責任です」
「フッ。貴族の務め、ですか。さぞかし民衆からの評判も良いでしょうねぇ」
彼は出口の扉に向かいながら言った。
「まあいいでしょう。慈善活動の取材は諦めます。でも、ヴィオレッタ様。偽善はいつか必ず露見するものですよ」
扉が閉まった後、重い沈黙が部屋を満たした。
「ヴィオレッタ様、私のせいで……」
「大丈夫です、テレサ院長。エドワードさんの言葉など気にしないでください。私は自分の信念で行動しているだけですから」
私は明るく言ったが、胸の奥で嫌な予感が渦巻いていた。
◇◇◇
嫌な予感は、二日後に的中した。
「ヴィオレッタ様!これを見てください!」
ドタバタと、いつもではあり得ない音を立てて、ミレイユが朝の生徒会室に飛び込んできた。桃色の髪を振り乱し、手には学院新聞を握りしめている。
バン!と机に叩きつけられた新聞。その見出しが、目に飛び込んできた。
『公爵令嬢の偽善?貧民への施しで優越感に浸る』
『密室で行われる"慈善"の真実』
大きな見出しが、紙面に踊っていた。
「なんですって…どういうことなの…」
震える手で新聞を取り上げる。記事を読み進めるうちに、血の気が引いていくのが分かった。
『ヴァンクール公爵令嬢は、人目のつかない場所で孤児院院長と密会。大量の物資を見せつけるように並べ、老院長が頭を下げる姿を満足げに見下ろしていた——』
「ひどい!こんなの嘘よ!」
ミレイユが机を叩いた。彼女の目には、怒りで涙が浮かんでいる。
「ヴィオレッタ様がどれだけ真摯に子供たちのことを考えているか!他の貴族が気にも留めない平民の孤児たちの幸せを、心から願って支援していることを私は知っています!」
その時、扉が開いてアルベルトが入ってきた。彼の手にある学院新聞を見て、もう内容を読んだのだと分かった。
「これは、完全に悪意を持って書いている」
アルベルトの声には普段の穏やかさは無く、怒りを抑え込んでいるような声色だった。
(確かに、寄付をしているのは事実だけど…。でも、院長とのやり取りと動機が、完全に捏造されている。事実を巧妙に歪曲した記事だわ……)
「『高慢な公爵令嬢が、貧しい子供たちを哀れむように見下ろしていた』だと?…ふざけてるな」
アルベルトは怒りのままに、新聞をぐしゃりと握りつぶす。その時、廊下から、生徒たちのひそひそ話が聞こえてきた。
「やっぱりね。公爵令嬢なんて、裏では何考えてるかわからないわ」
「表面だけ取り繕っていい気になってるんだもの」
「それに比べて、セレスティアさんは素晴らしいわ。心から人を助けて――」
最後の言葉を聞いたミレイユは、唇を噛んで答える。
「そういえば、今朝もセレスティアが、登校途中で転んだ下級生を治していたんです。最近は所かまわず怪我した人や体調が悪い人を治療魔法で治しているみたいで、みんな『聖女様みたい』って言い始めてるんです…」
「そうなのね…。見返りを求めずに人々を助けるために行動する――セレスティアさんの行動は素晴らしいことよ。でも――」
私は静かに新聞を置いた。かすかに香るインクの匂いが妙に生々しい。
「…比較されているのね。無償で人を助ける『聖女』セレスティアと、偽善で施しをする『悪女』ヴィオレッタとして」
「そんな比較は間違っている!!」
アルベルトが聞いたこともないくらいの大きさで声を荒げた。珍しい彼の激情に、私もミレイユも驚く。
(な…なによ、急に大声出して…。びっくりするじゃない)
「ア…アルベルト?私は大丈夫よ。あなたやミレイユたちみたいに、真実を知っている人はちゃんといるもの。それに院長も、孤児院の子供たちだって…それで十分よ」
本当にそうだ。確かに悪意のある噂を広められるのは気持ちのいいものではないが、私を信頼してくれている人はちゃんといる。
(エドワードさんとは後でちゃんと話す必要があるわね…)
そう思いながらふと窓の外を見ると、中庭でセレスティアが生徒たちに囲まれているのが見えた。朝日を浴びてほほ笑む、まるで本当に聖女のように輝いている。
その時——
彼女がこちらを見上げた。一瞬、目が合う。
明るく優しいはずの彼女の瞳に、ほんの刹那、違う感情が宿ったような——勝利の、あるいは嘲笑の——
(……え?今……)
私は慌てて視線を新聞に戻した。
これからどうなるのか、少し不安を感じながら。
「ヴィオレッタ様、いつもありがとうございます」
白髪の老婦人——テレサ院長は、来て早々に深く頭を下げた。質素だが清潔な修道服に、子供たちの手作りらしい小さなブローチが光っている。孤児院の敷地内に生えている木の細い蔓や枝を編んで輪にし、押し花や葉をあしらった小さなリースだ。
「いいえ、テレサ院長。頭を上げてください」
私は慌てて彼女の手を取った。皺だらけだけれど、温かい手だ。
「子供たちは元気にしていますか?」
「ええ、おかげさまで。特に先月いただいた絵本は大人気で……特にエマは本が大好きですから、もう内容を暗記してしまったほどです」
院長の顔に、孫を語る祖母のような優しい笑みが浮かんだ。
「まあ、そんなに!子供たちが喜んでくれて、私も嬉しいです。早く次の絵本も用意しないといけませんね」
私も思わず顔をほころばせた。エマは孤児院で一番小さな女の子。まだ文字も読めないのに、絵を見ながら物語を覚えてしまったらしい。
その後寄付の品を確認をしていると、院長が小さくつぶやいた。
「ヴィオレッタ様のおかげで、今年の冬も子供たちが暖かく過ごせます。本当に――」
その時、扉が強めにノックされた。
「失礼します」
入ってきたのは、学院新聞部の部長、エドワード・ライトだった。茶髪を気取った感じに整え、人当たりの良い笑顔を浮かべている。でも、その目は常に何かを値踏みするような視線をしていた。
「ヴィオレッタ様、少しお時間を——おや、お客様でしたか」
彼の視線が、院長、そして机の上の寄付の品——冬物の衣類、学用品、絵本——に向けられた。まるで獲物を見つけた狩人のように、瞳が一瞬鋭く光った。
「学院新聞の内容について伺いましたがちょうど良かった。こちら記事にさせていただいてもよろしいですか?生徒会の慈善活動として」
そう、机の上を示しながら言うエドワード。
にこやかな口調だったが、その目は笑っていなかった。
「それは…」
私が答える前に、院長が申し訳なさそうに口を開いた。
「大変ありがたいお話ですが、お断りさせていただきたいです。実は以前、新聞に載ったことがありまして…」
院長の声が震えた。
「その新聞を見た貴族の方々が見学にいらして、子供たちをまるで動物園の動物のように見学したんです。『可哀想ね』『こんな子たちがいるなんて』と。あの子たちは、何も可哀想じゃありません。確かに親はいませんが、みんな明るく元気に生きています。…あの後、子供たちは何日も泣いていました。なのでそれ以降、新聞の取材は全てお断りしているのです……」
「なるほど」
エドワードがあっさりと頷く。まるでなにも響いていないように。
「随分と都合の良い言い訳ですね。まるで、人目に触れたくない何か後ろめたいことでもあるかのような」
「…っ違います!」
テレサ院長の顔が青ざめた。
「エドワードさん」
私は立ち上がり、彼を真っ直ぐに見据えた。
「テレサ院長は子供たちの心を第一に考えていらっしゃるだけです。その判断を、私は全面的に支持します」
声は穏やかだが、これ以上院長を追い詰めるなという警告を込めた。
「分かりました、分かりました」
エドワードは両手を上げて見せた。でも、その口元には意地の悪い笑みが張り付いている。
「ただ、不思議ですねぇ。公爵令嬢ともあろう方が、なぜわざわざ孤児院なんかに通われるのか。婚約者のレオン殿下に良く見られたいから?それとも、民衆の人気を得ようとしているのですか?」
「エドワードさん、純粋な善意というものを信じられないのですか?それに、これは貴族としての当然の務めでもあります。領民を守り、弱き者を助ける。それが高い地位に生まれた者の責任です」
「フッ。貴族の務め、ですか。さぞかし民衆からの評判も良いでしょうねぇ」
彼は出口の扉に向かいながら言った。
「まあいいでしょう。慈善活動の取材は諦めます。でも、ヴィオレッタ様。偽善はいつか必ず露見するものですよ」
扉が閉まった後、重い沈黙が部屋を満たした。
「ヴィオレッタ様、私のせいで……」
「大丈夫です、テレサ院長。エドワードさんの言葉など気にしないでください。私は自分の信念で行動しているだけですから」
私は明るく言ったが、胸の奥で嫌な予感が渦巻いていた。
◇◇◇
嫌な予感は、二日後に的中した。
「ヴィオレッタ様!これを見てください!」
ドタバタと、いつもではあり得ない音を立てて、ミレイユが朝の生徒会室に飛び込んできた。桃色の髪を振り乱し、手には学院新聞を握りしめている。
バン!と机に叩きつけられた新聞。その見出しが、目に飛び込んできた。
『公爵令嬢の偽善?貧民への施しで優越感に浸る』
『密室で行われる"慈善"の真実』
大きな見出しが、紙面に踊っていた。
「なんですって…どういうことなの…」
震える手で新聞を取り上げる。記事を読み進めるうちに、血の気が引いていくのが分かった。
『ヴァンクール公爵令嬢は、人目のつかない場所で孤児院院長と密会。大量の物資を見せつけるように並べ、老院長が頭を下げる姿を満足げに見下ろしていた——』
「ひどい!こんなの嘘よ!」
ミレイユが机を叩いた。彼女の目には、怒りで涙が浮かんでいる。
「ヴィオレッタ様がどれだけ真摯に子供たちのことを考えているか!他の貴族が気にも留めない平民の孤児たちの幸せを、心から願って支援していることを私は知っています!」
その時、扉が開いてアルベルトが入ってきた。彼の手にある学院新聞を見て、もう内容を読んだのだと分かった。
「これは、完全に悪意を持って書いている」
アルベルトの声には普段の穏やかさは無く、怒りを抑え込んでいるような声色だった。
(確かに、寄付をしているのは事実だけど…。でも、院長とのやり取りと動機が、完全に捏造されている。事実を巧妙に歪曲した記事だわ……)
「『高慢な公爵令嬢が、貧しい子供たちを哀れむように見下ろしていた』だと?…ふざけてるな」
アルベルトは怒りのままに、新聞をぐしゃりと握りつぶす。その時、廊下から、生徒たちのひそひそ話が聞こえてきた。
「やっぱりね。公爵令嬢なんて、裏では何考えてるかわからないわ」
「表面だけ取り繕っていい気になってるんだもの」
「それに比べて、セレスティアさんは素晴らしいわ。心から人を助けて――」
最後の言葉を聞いたミレイユは、唇を噛んで答える。
「そういえば、今朝もセレスティアが、登校途中で転んだ下級生を治していたんです。最近は所かまわず怪我した人や体調が悪い人を治療魔法で治しているみたいで、みんな『聖女様みたい』って言い始めてるんです…」
「そうなのね…。見返りを求めずに人々を助けるために行動する――セレスティアさんの行動は素晴らしいことよ。でも――」
私は静かに新聞を置いた。かすかに香るインクの匂いが妙に生々しい。
「…比較されているのね。無償で人を助ける『聖女』セレスティアと、偽善で施しをする『悪女』ヴィオレッタとして」
「そんな比較は間違っている!!」
アルベルトが聞いたこともないくらいの大きさで声を荒げた。珍しい彼の激情に、私もミレイユも驚く。
(な…なによ、急に大声出して…。びっくりするじゃない)
「ア…アルベルト?私は大丈夫よ。あなたやミレイユたちみたいに、真実を知っている人はちゃんといるもの。それに院長も、孤児院の子供たちだって…それで十分よ」
本当にそうだ。確かに悪意のある噂を広められるのは気持ちのいいものではないが、私を信頼してくれている人はちゃんといる。
(エドワードさんとは後でちゃんと話す必要があるわね…)
そう思いながらふと窓の外を見ると、中庭でセレスティアが生徒たちに囲まれているのが見えた。朝日を浴びてほほ笑む、まるで本当に聖女のように輝いている。
その時——
彼女がこちらを見上げた。一瞬、目が合う。
明るく優しいはずの彼女の瞳に、ほんの刹那、違う感情が宿ったような——勝利の、あるいは嘲笑の——
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