21 / 464
第一章 入学と第二王子
入学(1)
しおりを挟む
「荷物はちゃんと全部持ったかい?忘れ物があっても私は知らないよ」
「うん! 大丈夫だよ!」
元気に答えたマリアの足元には大きなトランクがあった。
「今日までお世話になりました」
マリアは丁寧に頭を下げた。
「およし、別にこれが今生の別れっていうわけじゃないだろう」
「でも、今の私がいるのはローザさんのお陰だよ? 私1人だったら絶対にどっかで死んでいたもの」
「それを感謝するならウーノたちにだろう? 私のところにお前を連れてきたのはあいつらなんだから……」
「それはそうですけど……」
マリアは納得がいかなかった。勿論頭では理解できているのだが、感情がそれに付いていかなかった。
「そんなことよりも時間は大丈夫かい? 遅れたら洒落にならないよ」
「そうだった!」
マリアは慌てて時間を確認した。マリアが今腕に付けている時計はウーノたち2人からの選別の品だった。当初マリアはこんな高価なものは貰えないと遠慮したのだが、2人に押し切られてしまった。今ではマリアの宝物の一つになっている。
「後30分しかない!」
ローザの家から学園まで1時間はかかる。完璧に遅刻だ。
ちなみにローザの家も学園も同じ王都にあるが、学園が王宮の隣、王都の中心にあるのに比べ、ローザの家は王都の端の方にある。それだけで王都の広さが窺い知れるだろう。
「しょうがない子だねぇ。仕方がない、私が送ってやるから手をお出し」
マリアがローザに手を差し出すと、ローザはその手を握った。
「『《転移》』」
ローザが短く唱えるとマリアの視界がグニャリと歪んだ。
次の瞬間には2人は学園の門の前に立っていた。
「次はないからね」
口ではこう言っているがまたこのようなことがあればやってくれるのだろう、そんな確信がマリアの中にあった。
「わかってるよ。それよりもここから早くどかないと他の人たちの邪魔だよ」
正直マリアはじろじろ見られて居居心地が悪かった。
「それもそうだねぇ」
2人は校舎の方に歩き出した。
「私の教えられることは全て教えた。だから頑張っておくれ」
「えっ?」
校舎の入口で別れる直前、そんなことを言われ思わず聞き返した。だがローザはただ微笑むだけだった。
ローザは二言三言マリアに告げると入学式が行われる講堂の方に去って行った。
マリアはローザの言った意味がすぐにわかることになる。それもいやとなるほど。
マリアは最後にローザが言ったことを反芻すると校長室に向かった。推薦入学者は入学式の前に学園長に会わなければいけないからだ。
「うん! 大丈夫だよ!」
元気に答えたマリアの足元には大きなトランクがあった。
「今日までお世話になりました」
マリアは丁寧に頭を下げた。
「およし、別にこれが今生の別れっていうわけじゃないだろう」
「でも、今の私がいるのはローザさんのお陰だよ? 私1人だったら絶対にどっかで死んでいたもの」
「それを感謝するならウーノたちにだろう? 私のところにお前を連れてきたのはあいつらなんだから……」
「それはそうですけど……」
マリアは納得がいかなかった。勿論頭では理解できているのだが、感情がそれに付いていかなかった。
「そんなことよりも時間は大丈夫かい? 遅れたら洒落にならないよ」
「そうだった!」
マリアは慌てて時間を確認した。マリアが今腕に付けている時計はウーノたち2人からの選別の品だった。当初マリアはこんな高価なものは貰えないと遠慮したのだが、2人に押し切られてしまった。今ではマリアの宝物の一つになっている。
「後30分しかない!」
ローザの家から学園まで1時間はかかる。完璧に遅刻だ。
ちなみにローザの家も学園も同じ王都にあるが、学園が王宮の隣、王都の中心にあるのに比べ、ローザの家は王都の端の方にある。それだけで王都の広さが窺い知れるだろう。
「しょうがない子だねぇ。仕方がない、私が送ってやるから手をお出し」
マリアがローザに手を差し出すと、ローザはその手を握った。
「『《転移》』」
ローザが短く唱えるとマリアの視界がグニャリと歪んだ。
次の瞬間には2人は学園の門の前に立っていた。
「次はないからね」
口ではこう言っているがまたこのようなことがあればやってくれるのだろう、そんな確信がマリアの中にあった。
「わかってるよ。それよりもここから早くどかないと他の人たちの邪魔だよ」
正直マリアはじろじろ見られて居居心地が悪かった。
「それもそうだねぇ」
2人は校舎の方に歩き出した。
「私の教えられることは全て教えた。だから頑張っておくれ」
「えっ?」
校舎の入口で別れる直前、そんなことを言われ思わず聞き返した。だがローザはただ微笑むだけだった。
ローザは二言三言マリアに告げると入学式が行われる講堂の方に去って行った。
マリアはローザの言った意味がすぐにわかることになる。それもいやとなるほど。
マリアは最後にローザが言ったことを反芻すると校長室に向かった。推薦入学者は入学式の前に学園長に会わなければいけないからだ。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる