こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第四章 護衛依頼

十六日目(15) 話(2)

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 その言葉に、誰も返事ができなかった。普段だったら皆が勿論だ、と言っているところだが、真っ先にそう言うマリアが、真剣な表情で無言で立っていることも関係があるのかもしれない。
 アルフォードは沈黙を肯定と取って、話し始めた。

「これから話すことは、マリアは知っていることだ。これは皆を蔑ろにした訳ではない。そのことは心に留めておいてくれ」

 少しでも本題に入るのを遅らせようとするように、アルフォードは言葉を紡ぐ。
 それがただの時間稼ぎであることは、他の者にもわかっていた。

「この話をしようと思ったきっかけだが、マリアにさっき諭された。問題を先送りにする気かと。後になればなるほど、言い出し辛くなると。そのことを告げていなかったことで、後で後悔するのは自分だとな」
「……」
「……」
「それでお前は何が言いたいんだ?前置きだけが延々と続いて、本題にまったく入らないじゃないか」

 空気を読んでいるんだか、読んでいないんだかよくわからない発言をしたのはグレンだった。

「……そうだな。……改めて、僕はこの国の第四王子、アルデヒド・エルドラントだ。黙っていてすまなかった」

 アルフォードは僅かに微笑むと、改めて2人に自らの名を告げた。
 一瞬部屋を静寂が支配し、次の瞬間──。

「「えぇ~!」」

 エリザベートとアーティス、2人の叫び声が部屋に響き渡った。

「えっ?でも、病弱だって……」
「それは建前だな。基本的に田舎貴族の子弟として、情報収集をしている。顔をあまり知られていないからな」
「それを今明かした訳は?マリアに言われたからと言うだけではないでしょう?」
「……そこまでは言うつもりはなかったんだがな」

 アルフォードは小さく溜息を吐いた。

「理由はアレキスさんに目的地を聞いたからだな」
「?」

 エリザベートは不思議そうな顔をした。

「エイセルは交易都市だ。それは知っているな?」
「ええ。とても栄えている街だと聞いているわ」

 その言葉に、アルフォードは満足気に頷いた。

「栄えているということは、逆に言えばそれだけその街を治めるのは大変だっていうことだ。ギルド長と代官は気心が知れている人物にしている。こちらの事情を知っている者だな。……そして、エイセルまで行って顔を出さなければ、最悪宿に突撃してくる。あいつらはそういうやつらだ」
「……理由はわかったわ。あなたも苦労しているのね」

 エリザベートの顔には、同情の色がありありと浮かんでいた。
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