こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第五章 エイセルの街

アーティス&アルフォード&マリア&グレン(2)

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「そう言えば身元がわからない子たちってどうなるんですか?」

 今更とも言える質問に、レインは微笑んで答えた。

「しばらくこの屋敷で面倒を見ながら親を探します。大体1月~2月ですね。それでも見つからない場合は里親を探すことになります。勿論引き取り手がどんな人物か精査した上でです。本人が希望し、職人や冒険者になる場合は職人の場合は弟子入り先が見つかるまで、冒険者の場合はGランクに上がるまでは面倒を見ています」
「孤児院とかはないんですか?」
「他の領にはありますが、ここマイエル領では領主邸及び代官屋敷が孤児院代わりになっています」
「へぇ~」
「ただ……」
「ただ?」
「その運営はアル様が私財を使っておりまして……」

 レインは酷く言い辛そうだった。

「つまり?」
「アル様の個人的なお金の大半が使われておりまして、アル様自身はその辺の商人の子並みしかお金を持っていません。つい半年程前なんて……」

 その場にいた4人は話が長くなることを悟った。アルフォードは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
 案の定長くなった話を要約すると次の通りだ。
・アルフォードは度々1人で領内を旅して回る。その際にかかるお金は自分の小遣いから出される。
・半年ほど前、アルフォードはいつものようにのんびりと旅を楽しんでいた。
・その際街道上で親を病気で亡くした子どもに会い、持っていたお金の半分以上渡してしまった。
・その結果、アルフォードは食べ物を買うお金もなくなった。
・アルフォードがエイセルにやって来たのはそれから1週間後だった。屋敷に辿り着いたアルフォードは、門のところで倒れた。レインは心臓が止まるかと思ったと語った。その時の心情が全体の9割以上だった。

「アホじゃないの?」
「バカだろう?絶対」
「普通そんなことにはならないだろ」

 話を聞き終わった3人の感想は辛辣だった。

「そもそもなんでお金を渡す必要があったのよ?」
「場所が場所でな。ベルジュラック公爵領のすぐ近くだったんだ。そしてあの辺りは街がない。小さな村が点在しているだけだ」
「……事情はわかったけど、食うに困るほどお金を渡す必要はなかったでしょ?」
「いや~、見ていて可哀そうで……」

 結局はただのお人好しだった。そのことに皆呆れ果て、小一時間ほど怒られることとなった。
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