こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

グランファルト子爵家の改革(4)

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「それで報告とは何だ?」

 虫の居所が悪いのかヒエロニムは腕を組み、指をせわしなく動かしていた。

「……父上、父上がアーティスの縁談を組むのは、今回で何度目かわかりますか?」
「さあな。毎回毎回見合いの直前で我が家に不利益なことがわかって破談にしていたが、そろそろきちんと先方と会せんと、我がグランファルト家の名が下がる。あの家は顔を合わせる気もないのに縁談を組もうとするとな」

 ヒエロニムはしたり顔でそう言い放った。

(それはお前が相手をきちんと調べないからだろうが!毎回その手の情報を調べて持っていくのは誰だと思っているんだ!)
(救いようがない馬鹿だね。これ以上うちの名が下がる余地がないほど下げているのは自分だというのに)
(うわぁ~。半分でもこいつの血が流れていると思うと寒気がするぜ)

 顔には出さない。だが3人の父親を見る目は冷ややかなものだった。

「……そうですか」

 ギルゲルムは右手を上げるとヒエロニムに向けた。

「『《拘束バインド》』」

 声は小さかったが何の問題もなくただちにヒエロニムの動きを封じ、ヒエロニムは崩れ落ちた。

「なっ、何をする!『暴風よ、我の……』」

 唯一動く口を使って魔術を放とうとするが──。

「させねぇよ!」
「がっ」

 アーノルドが素早く動き、ヒエロニムの顎を蹴り上げることで詠唱を封じた。ただ少々力が強すぎたようで気を失ってしまった。

「アーノルド、言葉遣いは?」
「はい、ごめんなさい!」

 ガルティスに睨まれる、もとい微笑まれてアーノルドは瞬時に土下座した。

「わかれば良いよ」

 兄弟がそんなやり取りをしている間にギルゲルムはアイテムボックスから取り出したロープでヒエロニムを素早く縛り上げ、詠唱を封じるために猿轡を噛ませた。

「それじゃあ王都邸内の制圧をするぞ」

 終わったところで弟たちを見て何をやってるんだという顔をした。

「「了解」」

 ヒエロニムに誰か見張りを付けるようなことはしないなぜならば──。

「無詠唱じゃ魔術も碌に使えないそいつはほっといて良いぞ」
「あれ?もし使用人が見つけて解放したらどうするの?」

 その質問にギルゲルムはニヤリと笑った。

「その猿轡は魔術具の一種だ。魔術が使えない使用人には絶対に外せない」
「魔術具って……。高かったんじゃないのか?」

 2人は呆れたようにギルゲルムを見た。2人の目はこいつなんかにそんなお金を使う必要ないと言っていた。

「そうでもないぞ?王都の下町で店を開いている魔術師の婆さんが格安で譲ってくれた。確か……大銀貨1枚だった気がする」
「「……」」

 2人は呆れて何も言えなかった。
 なお、その魔術師の婆さんの名はローザ。店の名は《スプリング》といった。

☆★☆★☆

明日、4月1日は誠に勝手ながら更新をお休みさせていただきまして、別途特別番外編を投稿させていただきたいと思います。詳細は近況ボードの方をご覧ください。
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