272 / 464
第七章 それぞれの過ごす日々
グランファルト子爵家の改革(4)
しおりを挟む
「それで報告とは何だ?」
虫の居所が悪いのかヒエロニムは腕を組み、指をせわしなく動かしていた。
「……父上、父上がアーティスの縁談を組むのは、今回で何度目かわかりますか?」
「さあな。毎回毎回見合いの直前で我が家に不利益なことがわかって破談にしていたが、そろそろきちんと先方と会せんと、我がグランファルト家の名が下がる。あの家は顔を合わせる気もないのに縁談を組もうとするとな」
ヒエロニムはしたり顔でそう言い放った。
(それはお前が相手をきちんと調べないからだろうが!毎回その手の情報を調べて持っていくのは誰だと思っているんだ!)
(救いようがない馬鹿だね。これ以上うちの名が下がる余地がないほど下げているのは自分だというのに)
(うわぁ~。半分でもこいつの血が流れていると思うと寒気がするぜ)
顔には出さない。だが3人の父親を見る目は冷ややかなものだった。
「……そうですか」
ギルゲルムは右手を上げるとヒエロニムに向けた。
「『《拘束》』」
声は小さかったが何の問題もなくただちにヒエロニムの動きを封じ、ヒエロニムは崩れ落ちた。
「なっ、何をする!『暴風よ、我の……』」
唯一動く口を使って魔術を放とうとするが──。
「させねぇよ!」
「がっ」
アーノルドが素早く動き、ヒエロニムの顎を蹴り上げることで詠唱を封じた。ただ少々力が強すぎたようで気を失ってしまった。
「アーノルド、言葉遣いは?」
「はい、ごめんなさい!」
ガルティスに睨まれる、もとい微笑まれてアーノルドは瞬時に土下座した。
「わかれば良いよ」
兄弟がそんなやり取りをしている間にギルゲルムはアイテムボックスから取り出したロープでヒエロニムを素早く縛り上げ、詠唱を封じるために猿轡を噛ませた。
「それじゃあ王都邸内の制圧をするぞ」
終わったところで弟たちを見て何をやってるんだという顔をした。
「「了解」」
ヒエロニムに誰か見張りを付けるようなことはしないなぜならば──。
「無詠唱じゃ魔術も碌に使えないそいつはほっといて良いぞ」
「あれ?もし使用人が見つけて解放したらどうするの?」
その質問にギルゲルムはニヤリと笑った。
「その猿轡は魔術具の一種だ。魔術が使えない使用人には絶対に外せない」
「魔術具って……。高かったんじゃないのか?」
2人は呆れたようにギルゲルムを見た。2人の目はこいつなんかにそんなお金を使う必要ないと言っていた。
「そうでもないぞ?王都の下町で店を開いている魔術師の婆さんが格安で譲ってくれた。確か……大銀貨1枚だった気がする」
「「……」」
2人は呆れて何も言えなかった。
なお、その魔術師の婆さんの名はローザ。店の名は《泉》といった。
☆★☆★☆
明日、4月1日は誠に勝手ながら更新をお休みさせていただきまして、別途特別番外編を投稿させていただきたいと思います。詳細は近況ボードの方をご覧ください。
虫の居所が悪いのかヒエロニムは腕を組み、指をせわしなく動かしていた。
「……父上、父上がアーティスの縁談を組むのは、今回で何度目かわかりますか?」
「さあな。毎回毎回見合いの直前で我が家に不利益なことがわかって破談にしていたが、そろそろきちんと先方と会せんと、我がグランファルト家の名が下がる。あの家は顔を合わせる気もないのに縁談を組もうとするとな」
ヒエロニムはしたり顔でそう言い放った。
(それはお前が相手をきちんと調べないからだろうが!毎回その手の情報を調べて持っていくのは誰だと思っているんだ!)
(救いようがない馬鹿だね。これ以上うちの名が下がる余地がないほど下げているのは自分だというのに)
(うわぁ~。半分でもこいつの血が流れていると思うと寒気がするぜ)
顔には出さない。だが3人の父親を見る目は冷ややかなものだった。
「……そうですか」
ギルゲルムは右手を上げるとヒエロニムに向けた。
「『《拘束》』」
声は小さかったが何の問題もなくただちにヒエロニムの動きを封じ、ヒエロニムは崩れ落ちた。
「なっ、何をする!『暴風よ、我の……』」
唯一動く口を使って魔術を放とうとするが──。
「させねぇよ!」
「がっ」
アーノルドが素早く動き、ヒエロニムの顎を蹴り上げることで詠唱を封じた。ただ少々力が強すぎたようで気を失ってしまった。
「アーノルド、言葉遣いは?」
「はい、ごめんなさい!」
ガルティスに睨まれる、もとい微笑まれてアーノルドは瞬時に土下座した。
「わかれば良いよ」
兄弟がそんなやり取りをしている間にギルゲルムはアイテムボックスから取り出したロープでヒエロニムを素早く縛り上げ、詠唱を封じるために猿轡を噛ませた。
「それじゃあ王都邸内の制圧をするぞ」
終わったところで弟たちを見て何をやってるんだという顔をした。
「「了解」」
ヒエロニムに誰か見張りを付けるようなことはしないなぜならば──。
「無詠唱じゃ魔術も碌に使えないそいつはほっといて良いぞ」
「あれ?もし使用人が見つけて解放したらどうするの?」
その質問にギルゲルムはニヤリと笑った。
「その猿轡は魔術具の一種だ。魔術が使えない使用人には絶対に外せない」
「魔術具って……。高かったんじゃないのか?」
2人は呆れたようにギルゲルムを見た。2人の目はこいつなんかにそんなお金を使う必要ないと言っていた。
「そうでもないぞ?王都の下町で店を開いている魔術師の婆さんが格安で譲ってくれた。確か……大銀貨1枚だった気がする」
「「……」」
2人は呆れて何も言えなかった。
なお、その魔術師の婆さんの名はローザ。店の名は《泉》といった。
☆★☆★☆
明日、4月1日は誠に勝手ながら更新をお休みさせていただきまして、別途特別番外編を投稿させていただきたいと思います。詳細は近況ボードの方をご覧ください。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる