311 / 464
第八章 ベルジュラック公爵家
国王との約束
しおりを挟む
マリアが国王と約束をしてから1週間が経過した。
その日マリアは朝から真面目に学園の授業に出席していたところをアルフォードに見つかり、そのまま引きずられながら強制的に国王の前まで連れてこられた。広々とした室内はすでに人払いがされており、国王と宰相、マリア、そしてここまでマリアを連れてきたアルフォードしかいなかった。
「……ようやく来たな。待っていたぞ」
国王はすでに部屋の中央に置かれたテーブルセットに座り、優雅にお茶を飲んでいた。国王にしては珍しく簡素な、それでいて見る者が見れば高級品とわかるシンプルな黒いローブを纏っている。
「……お待たせしてしまい、申し訳ございません」
だがいきなり国王の目の前に連れてこられたにも関わらず、国王に頭を下げる姿は落ち着いておりなかなか様になっていた。例え服が砂埃で汚れていようとも。城に来るには少々格好がみすぼらしくとも。頭に興味津々と言った様子で辺りをキョロキョロと見回すベルを乗せていようとも。
アルフォードも宰相もそんな妙なアンバランスさに吹き出しそうになるのを必死に堪えた。
「……気にするではない。然程待ってはおらん」
その言葉に、さっき待っていたと言ったではないかと叫びだしたくなるのを、マリアは手をきつく握って堪えた。
「……それで覚悟はできたのだな?」
「はい」
国王を真っ直ぐに見上げるマリアの目は蒼く澄んでいた。
「……ふむ、良い目だな。……アル、エルマン、この間話した通りだ。今すぐ出立する。直ちに用意を整えろ」
国王はマリアの表情に満足気に頷くと素早く指示を出した。
「はい」
「はっ」
2人とも頭を下げるとすぐに身を翻して部屋から出て行こうとしてしまう。
「えっ?ちょっ!」
マリアは慌てた。このまま国王と2人きりにされてしまうと。流石のマリアも2回目といえども国王と2人きりにされるのは避けたかった。普段から王族相手にタメ口で話しているあたりもはや関係ないような気もするが、変なところで思考が庶民的だった。もっとも本当の庶民は王族相手にタメ口で話したりなどしないが。
「心配するな。すぐ戻る」
「そうだ。それに悪いようにはせん」
国王は不安にさせないようにと微笑んでいたが、マリアはそんな国王の表情を気にする余裕などなかった。
そして無情にもマリアの目の前でアルフォードと宰相、2人が部屋の外に出ていった扉は静かに音も立てずに閉まった。
その日マリアは朝から真面目に学園の授業に出席していたところをアルフォードに見つかり、そのまま引きずられながら強制的に国王の前まで連れてこられた。広々とした室内はすでに人払いがされており、国王と宰相、マリア、そしてここまでマリアを連れてきたアルフォードしかいなかった。
「……ようやく来たな。待っていたぞ」
国王はすでに部屋の中央に置かれたテーブルセットに座り、優雅にお茶を飲んでいた。国王にしては珍しく簡素な、それでいて見る者が見れば高級品とわかるシンプルな黒いローブを纏っている。
「……お待たせしてしまい、申し訳ございません」
だがいきなり国王の目の前に連れてこられたにも関わらず、国王に頭を下げる姿は落ち着いておりなかなか様になっていた。例え服が砂埃で汚れていようとも。城に来るには少々格好がみすぼらしくとも。頭に興味津々と言った様子で辺りをキョロキョロと見回すベルを乗せていようとも。
アルフォードも宰相もそんな妙なアンバランスさに吹き出しそうになるのを必死に堪えた。
「……気にするではない。然程待ってはおらん」
その言葉に、さっき待っていたと言ったではないかと叫びだしたくなるのを、マリアは手をきつく握って堪えた。
「……それで覚悟はできたのだな?」
「はい」
国王を真っ直ぐに見上げるマリアの目は蒼く澄んでいた。
「……ふむ、良い目だな。……アル、エルマン、この間話した通りだ。今すぐ出立する。直ちに用意を整えろ」
国王はマリアの表情に満足気に頷くと素早く指示を出した。
「はい」
「はっ」
2人とも頭を下げるとすぐに身を翻して部屋から出て行こうとしてしまう。
「えっ?ちょっ!」
マリアは慌てた。このまま国王と2人きりにされてしまうと。流石のマリアも2回目といえども国王と2人きりにされるのは避けたかった。普段から王族相手にタメ口で話しているあたりもはや関係ないような気もするが、変なところで思考が庶民的だった。もっとも本当の庶民は王族相手にタメ口で話したりなどしないが。
「心配するな。すぐ戻る」
「そうだ。それに悪いようにはせん」
国王は不安にさせないようにと微笑んでいたが、マリアはそんな国王の表情を気にする余裕などなかった。
そして無情にもマリアの目の前でアルフォードと宰相、2人が部屋の外に出ていった扉は静かに音も立てずに閉まった。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる