こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

話し合い

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「……とりあえずサッサと移動しよう。周りの視線が痛い」

 マリアはそう言いながら一番近くにいたユニコーンの背に飛び乗った。アルフォードもレリオンもすぐにそれに続く。

「……そうだな」

 誰の所為だと言いたそうな目でマリアを見た後、他の4人もユニコーンに乗る。
 そしてユニコーンたちは全員が乗ったところで街道を駆け始めた。

「……いっそどこかの金持ちの道楽旅行に見せた方が良いかな?徒歩移動なのは誰かの我儘ってことで」
「それが当たり障りがないだろうな」

 話すことしかできることがないので、少しでも不自然なところのない悪目立ちしない設定を話し合う。

「……私がおじいちゃんの孫ということにして、アルは……お兄ちゃん枠で良い?」
「……いや、なんでだよ!?普通に護衛で良いだろ?」

 なぜそうなるのか納得が行かなかった。

「えっ?でもアルだけおじさんたちとは歳が離れてるし、不自然じゃない?」
「兄妹設定の方がよっぽど不自然だ!」
「……そうかな?う~ん、じゃあ従兄妹とかは?」
「……親戚設定は変わらないんだな」

 アルフォードは呆れた目でマリアを見る。

「えっ?ダメ?」
「……まあそれぐらいなら良いけど」

 これ以上何を言っても碌な設定が出てこない上、さらに酷い設定が出てきそうな予感がして渋々了承する。

「おじいちゃんもそれで良い?」
「うむ。構わぬぞ」

 即決だった。

「んで、俺らはなんだ?」
「おじさんたちは護衛の冒険者ってことでお願いします。普段通りで大丈夫です」
「おう」
「ワタシハ?」
「……ベルは……う~ん…………人形でもやる?」
「……なんだそれ?」

 なぜか当事者のベルではなくダスケルが突っ込む。

「でも他に何かあります?」
「……ペット?」

 ポツリと呟いたのはフェルト。

「……ベルをペット扱いしろと?」

 マリアは満面の笑みをフェルトに向ける。ただし目は笑っていないのが逆に怖い。

「えっ、あっ、いや。……前にお貴族様の中には珍しい魔物をペットとして飼う人がいると聞いたことがあったから……」
「……そういった輩がいるのは事実だな」

 必死に弁解するフェルトをレリオンも弁護する。

「別に設定なんて考えなくても良いんじゃないか?」
「えっ?」
「契約した魔物で友達ってことで大丈夫だと思うぞ。多少目立つかもしれないけどな。悪目立ちまではしないだろう」
「……そうか。それで良いのか」

 というわけでベルだけは普段と変わらず、何の設定も加わらなかった。

「……ワタシモナニカセッテイホシカッタ」

 ただベルだけがしょんぼりと落ち込んでいたのだが、誰もそのことに気づかなかった。
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