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第九章 夏季休業
国王からの贈り物
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マリアは閉じていた目を緩慢な動きで開いた。
「マリア、大丈夫か?」
「……うん」
自分のことのように心配してくれるアルフォードに、マリアは身体を起こしながら力のない笑みを浮かべた。
「ここは?」
その部屋は、マリアには見覚えがなかった。自分の身体が横たわっていた大きな天蓋付きのベッドを不思議そうに見る。
「覚えてないのか? そなたが父について思い出したいと言ったのではないか。だからこうして……」
周囲にはアルフォードの他にもエーデル国王とエーアリアス、そして帯剣をした騎士が2人いた。
「そうだ。それでこの部屋に案内されて……なんかよくわからない薬を飲まされて、よくわからないマジックアイテムを頭に付けられて……」
徐々にマリアの記憶が蘇ってくる。
「それはもう取って構わぬ」
国王に頭を指差され、マリアはまだ付けっぱなしだったことに気づき、慌てて頭から帽子型のそれを取った。
「こちらの方でも見させてもらったが……」
そう言いながら国王は身の丈の半分程もある、巨大な薄い板状のものを見せた。
「こうして見ることとなると、心に来るものがあるな」
記憶から消したがったのもわかると、国王は沈痛な面持ちで呟いた。
「はい……。でも、思い出せてすっきりしました」
ありがとうございますと、マリアは丁寧に頭を下げる。
「礼には及ばぬよ。私も……長年気になっていたことがわかったからな」
国王は目を細め、微笑んだ。
「それで、そなたはいつまでこちらに滞在できるのだ? 先ほどエルドラントへと行っているリーゼロッタには早馬で使いを出した。半月もすれば戻ってくるであろう。できれば会ってやって欲しいのだが……」
リーゼロッタの名前にアルフォードが顔色を変える。そして無言で駄目だとマリアに目で訴える。
「残念ですが、そろそろ帰らないと心配する者が出てきますので……」
マリアは申し訳なさそうに頭を下げる。
「そうか……いつでもまた良いからな」
「はい。ありがとうございます」
国王は右手の小指から銀色の指輪を外すとマリアに差し出した。
「これを」
「?」
不思議そうに首を傾げるマリアに、国王は苦笑した。
「そなたの顔を知らぬ者も多いからな。ここに来た時は、門衛にこれを見せるが良い。真っ直ぐここに通すように命じておく」
マリアは受け取った指輪をまじまじと見つめた。一見するとシンプルにも見えるそれは、よく見ると蔦が絡まったような飾りがついていることがわかる。
「ありがとうございます。ありがたく受け取らせていただきます」
そう言って微笑むと、大切そうに右手の中指にはめた。
「マリア、大丈夫か?」
「……うん」
自分のことのように心配してくれるアルフォードに、マリアは身体を起こしながら力のない笑みを浮かべた。
「ここは?」
その部屋は、マリアには見覚えがなかった。自分の身体が横たわっていた大きな天蓋付きのベッドを不思議そうに見る。
「覚えてないのか? そなたが父について思い出したいと言ったのではないか。だからこうして……」
周囲にはアルフォードの他にもエーデル国王とエーアリアス、そして帯剣をした騎士が2人いた。
「そうだ。それでこの部屋に案内されて……なんかよくわからない薬を飲まされて、よくわからないマジックアイテムを頭に付けられて……」
徐々にマリアの記憶が蘇ってくる。
「それはもう取って構わぬ」
国王に頭を指差され、マリアはまだ付けっぱなしだったことに気づき、慌てて頭から帽子型のそれを取った。
「こちらの方でも見させてもらったが……」
そう言いながら国王は身の丈の半分程もある、巨大な薄い板状のものを見せた。
「こうして見ることとなると、心に来るものがあるな」
記憶から消したがったのもわかると、国王は沈痛な面持ちで呟いた。
「はい……。でも、思い出せてすっきりしました」
ありがとうございますと、マリアは丁寧に頭を下げる。
「礼には及ばぬよ。私も……長年気になっていたことがわかったからな」
国王は目を細め、微笑んだ。
「それで、そなたはいつまでこちらに滞在できるのだ? 先ほどエルドラントへと行っているリーゼロッタには早馬で使いを出した。半月もすれば戻ってくるであろう。できれば会ってやって欲しいのだが……」
リーゼロッタの名前にアルフォードが顔色を変える。そして無言で駄目だとマリアに目で訴える。
「残念ですが、そろそろ帰らないと心配する者が出てきますので……」
マリアは申し訳なさそうに頭を下げる。
「そうか……いつでもまた良いからな」
「はい。ありがとうございます」
国王は右手の小指から銀色の指輪を外すとマリアに差し出した。
「これを」
「?」
不思議そうに首を傾げるマリアに、国王は苦笑した。
「そなたの顔を知らぬ者も多いからな。ここに来た時は、門衛にこれを見せるが良い。真っ直ぐここに通すように命じておく」
マリアは受け取った指輪をまじまじと見つめた。一見するとシンプルにも見えるそれは、よく見ると蔦が絡まったような飾りがついていることがわかる。
「ありがとうございます。ありがたく受け取らせていただきます」
そう言って微笑むと、大切そうに右手の中指にはめた。
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