澪峯国後宮秘水譚〜乙女の秘密は漏洩禁止!〜

紫藤百零

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側付きたる者毒味は必須!

女官長の気遣い

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 澪嶺れいほう国の後宮は数多の妃が侍っている。その頂点、幼き皇后である亜琉ありゅうの側付きとして、祖国から共に後宮入りしたのが星羅せいらであった。

 成人を迎えたばかりの彼女に側近筆頭は荷が重いだろうが、最も信頼されているのが星羅なのだからしか仕方がない。異国の地では絶対の味方ほど得難いものはないのだから。
 それに、祖国シトーレンの成人は17歳だが、ここ澪嶺では12前後で大人の仲間入りだ。貴妃の中で唯一子を持つ春英しゅんえいが孕んだのはこの年頃だというから、17歳の重みが違うのだ。

 そんななか澪嶺から付けられた女官に負けないよう日々研鑽を積む星羅の手元には、女官長からもらったとある茶葉があった。

 澪嶺の儀式や宴は長く大量の米酒を振る舞われるため、中座を許されない妃たちは荒れ狂う水流に苦しめられることが約束されている。
 それを見越して幼い頃から訓練を積むのだが、よく使われるのがこの茶葉なのだそうだ。
 初めての宴での失敗に気落ちする亜琉を見かねた女官長が、現物と共にこっそり星羅に教えてくれた。

 出所が女官長とはいえ、亜琉の口に入る前に毒味は必須だ。澪嶺人には問題なくても、シトーレン人の体質には合わない可能性だってある。
 さいわいにして茶葉は1瓶、先に星羅が使っても問題ない十分な量がある。

 星羅は生唾を飲み込んだ。
 あの宴のとき、実を言うと星羅も限界ギリギリだったのだ。秘水おしっこを溢れさせてしまったショックで泣き縋る亜琉を宥めながらも、密かに太腿を擦り合わせてじっと尿意に耐えていた。
 ここで星羅まで決壊してしまえば、シトーレンの淑女は子どものように耐え性がないというレッテルを貼られてしまう。国の威信と大人のプライドをかけて絶対失敗なんて許されなかった。
 結局、なんとか亜琉を立ち直らせ、水の誘惑に耐えながら身を清めさせ、ようやく一時の自由を得た星羅は、不浄場トイレにすら駆け込めず馬桶おまるに跨り溜まりに溜まった秘水おしっこを解放させることに成功したのだった。人生であの時ほど焦ったことはない。

 酒精を取っていない星羅ですらあの様だったのに、他の女官たちはおろか、酒精を取っているはずの妃たちも少なくとも表面上は平然としていた。そんな澪嶺淑女すら3時間で音を上げるのがこの茶葉だというのである。
 気が進まないなんてものじゃないけれど、亜琉が口にするなら事前に口にしておかなければならない。
 星羅はやっと覚悟を決めた。
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