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yukami

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第二話 悪魔に出会いました

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『人』

人です。
来てほしくないと考えた矢先に出会うというなんというフラグ回収の速さ!
強運の持ち主であるが故に起きているのであればいますぐなかった事にしたいくらい!

目が合いました。合ってしまいました!
この人普通の人じゃないです。翼生えてます。尻尾もあります。
悪魔です。顔も悪魔です!私が小さいのもありますが、小さい私からみたら化け物です!!

「……お、今度こそいーのが…。おーい、こっちに…」

私は即座に思いました。逃げたほうがいいと。しかし5メートル移動に5分かかる弱小レベル1。
私に逃げる場所はただ1つも残されて…いや!ありました!
土です!掘ればいいんです!!

人が私から視線を外した瞬間に真下に穴を掘り進めます。少し埋まったくらいではダメです。疲れきるまで掘り続けます。使えるものを駆使して可能な限り急ぎ足元を掘り進めることだけを考える。

窒息死してもいいからと掘り続けます。まっすぐは掘れてないでしょうが、ぐにゃぐにゃのほうがいい時もあります!

追っ手が来ないのを確認して、ひんやりと冷たい地面に落ち着くまで待つことにしました。



その頃地上では…


「……あり?」
『何もいませんが』

振り向いた時にはすでに地中に逃げ延びた後。小さな魔物を見失った悪魔族の転生者プレイヤーは呼んだ人物に苦笑う。

「…あー…すまんどっか行っちまったわ」
『顔怖いですもんね』
「獣系以外を最初にしたほうがいいって行ったから植物系に走ったのに。見られた瞬間に逃げられまくってんだけど。」
『大きさはどれくらいでしたか?大人しい種族は大抵怖がりが基本ですから』

警戒心の強い魔物を仲間にすると良いというアドバイスのもとにここに探しに来たのに種族のせいで難航している現実に乾いた笑いしか出てこない。
そんな中でようやく見つけた魔物の見かけを伝える。

「大きさ?この木の根元に日向ぼっこしてたぞ。」
大体20センチかと手で大きさを示す。

『…ふむ、見た目は?』
「双葉が生えた…丸っこい奴。」
『…まさか、リーフィではないですか?それ』
「リーフィ?大人しいのか?」
『大人しいですね。そして絶滅危惧種です。』
「は?!レア度高い奴?!」
『どこに逃げたかわかりませんか?探します。保護しなくてはなりません。』
「それが…ここにいたのに次見たときには…」

『…………ここ、土の状態がおかしいですね。まるで掘ったかのような…それなら地中ですかね…サーチ』

目の前の執事兼、指導係のマルゼというNPCはかなり強いし有能で、俺は始めたてのプレイヤーであるからポンコツである。まあいつかは1発ぐらい叩き込んでやりたいけど…まあそんなことより。
今はテイムというスキルを手に入れた俺が初テイムの魔物探しをしている。
もふもふ天国の手前にはチュートリアルがあり、植物系か、妖精系がやりやすいというので教えてもらっていたのだが、森に入っても好かれるようなスキルがないからか、すぐに逃げられる始末。

そして、先ほど逃げられたのは絶滅危惧種の魔物に認定されているリーフィという魔物だったらしい。契約はしていいのかと聞くが、それも禁止で保護し、成体になるまで成長を見守るという決まりがあるそうだ。
乱獲の理由は幼体のリーフィを倒したときに手に入る種のような体。それは幸運値を上げてくれる装備品の材料としてよく使われているらしい。幼体を狩ることで、彼らはどんどんと数を減らし伝説級の存在になりつつあるという。

「…どうだ?」
『…見つけましたが、かなり怯えて深くに潜ってしまっています。自分から出てくるまで、ここでテントを張りましょう。マークはつけましたから移動したらわかります。』
「そんなに大事なのか?」
『人に見つかったら即死です。攻撃、防御、速さ全部数値が1なのですよ?』
「……うわ」
『我々が五歩動くのに3秒くらいでしょうが、リーフィにとっては5分くらいで考えてください。』
「……逃げられんわな…」
『運はいいんですがね…』

地面から出てくるのを待つって俺の契約獣クエストはどうなるんだと顔に出ていたのかマルゼがそれについて話し出す。

『私はここに残りますからこの周辺で探してきてください。気配察知はありますから分かるでしょう?』
「…わかった。」
ついてこんのかい。でもそんなに大事になるとは思ってなかった。人を怖がるのは何度も仲間が倒されたからなのかな。そりゃ、怖いわな…小さい子に目を合わせて話すように背を低くして声をかけなきゃな。

それが自分の場合逆効果だと知る前のプレイヤーは後ほど酷い目に遭う事になる。


~土の中~

冷たい土に包まれてようやく落ち着きました。さて、大変です。上がどちらかわかりません…

とりあえずここまで必死に掘ったんです。何かスキルに変化はありませんか?と確認です。

何とスキルに危険察知Ⅰと気配察知Ⅰがついていました。あと土いじりがⅡになってました!

さらに、無我夢中でしたがツルⅠというスキルが追加されています。
本能で開花したみたいです。
蔓を出すイメージをすると頭の方から緑の細い蔓が出てきて動きます。
これは!フシギ○ネ先輩のような蔓ではありませんか!

…怒られるのでやめましょ。

……にしても気配察知Ⅰによると、まだ居るみたいな感じです。でも外の時間もわかりません。上がわかるのですから少し離れたところに顔を出してみましょう。警戒は大事です。

少し離れたところ…と思い移動しているのですが気配がずっとついてきます!
まさかあちら側も気配察知にしたようなものを取得しているのでは…!

……逃げる道さえも真っ暗闇です。ツルのスキルがあったとしても攻撃力はありません。相手がどう動くかによります。
すぐに死ぬことはしません。抵抗くらいさせていただきますからねっ!

そんなこんなで上の人が移動をやめました。上に上がるのを感じ取ってるみたいです。

ツルを伸ばして掘ることにも慣れました。蔓が少し外に出たおかげでほんのり温かい光が、双葉にあたります。
やっと外です。
ゆっくりと周りを見渡します。どこにいるのかはわかりますが、周りの景色も確認しとくのは大事なことです。

先ほど見た人ではないです。でも、危険察知は反応してません。でもでも、怪しいです。
目があったら目が出るだけ頭を出して警戒します。

『…言葉は通じないでしょうが、あなたと敵対するつもりはありません。保護したいのです。武器も嫌なら捨てます』

そう言って、剣や盾を離れた場所に置いて膝をつきます。

『ほら、何もしません。もう少しでてきてもらえませんか?』

保護とかいうけど…あったばかりの人をなぜ信用しろというのか。さらに魔物に話しかけるとは何事だ。頭大丈夫?
言葉がわかるから余計に怪しい。警戒を緩めない。

『……そうだ、果物があります。少し待っててください。』

そう言って草むらの中に消えていく人。今のうちに逃げてしまおう。
待つという選択肢は私にはない。

穴を再び掘って、移動。
少し休憩と頭を出すと、なぜか居る人。
やはり気配察知で移動していたのが気づかれたようだ。

『こちらがその果物です。甘くて美味しいですよ?』
そういって何かを前に出す。
甘い香りがするのは惹かれるけれど、太陽があれば死にはしない。
睡眠薬とか入ってたら大変だ。
危険察知が働かないから多分ないけど、怪しさしかない。しかも膝立ちとはいえやはり大きい。1つの動作に怯えるしかない。

『…ダメですか。』
そう、あなたが諦めて帰ってくれたら私は平気!

「マゼルー!契約してくれそうなやつ見つけた!それでどーすれば…」
『…?づっ?!馬鹿者!今連れてくるな!』
「へ?」

人が別の魔物を持っていた。
いや肩に乗っていたのほうが正しい。捕まえられてないため自由に動けるそれは私に狙いを定めた。
危険察知が私に告げる。警報を!

『待って!!』
「えっやべ」

また全速力で深くさっき掘った穴よりもさらに深く硬くて掘れない場所にたどり着くまで掘り続けました。

……こ、怖かったよぉ~
敵意よりもさらに怖い殺意に包まれた瞬間生きるためにツルを動かしました。
死ぬなら抵抗してやるという気持ちはありましたけど、やっぱり怖いです。怖いのやです…
ツルⅠでは掘れない硬い石にぶつかってしまったのでそれに沿って移動します。気配察知が届かない範囲に、人は居るみたいです。今度はかなり深く掘ってしまったみたいです。あちらも私を見失ってることを祈ります。

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