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第六話 ホーム登録しました
しおりを挟むアルト視点
悪魔種族の人種と狼種族の人種がツタの塊を持ってきた。主人が言うにはリーフィという現在保護指定されている魔物のようだ。
身体はツタに覆われていて全く見えない。
その状態を見て主人がこんなに怖がらせてと2人に何をしたか追求を始めた。鬼の形相のせいで人種二体は縮こまってしまった。
人種同士の話は放っておくことにしてとりあえず、風魔法を操り移動させておく。保護のために逃げ回られ怯えさせてしまったようだ。リーフィという種族はこの状態になると外の音が全くと言っていいほど聞こえないらしい。恐らく、危険が去るまで出てくることはないだろう。
とりあえず人種を恐れるようだと聞いたので、隣の部屋のガラスケースの中にそっと移動させる。
自分も離れて他の魔物達の様子を見に行った。
しばらくして、ガラスケースからどうやって出たのかわからないが、窓も破り、施設の外の壁に双葉を出してツタで丸まっている子を発見。主人に世話係を頼まれたので接触するとツルが緩み目が合うが飛び跳ねるほど驚いてコロコロと逃げられてしまった。
自分の体を見て主人の反応を見て少し考え、大きさが怖いという結論に至った。少し近寄り、自分がなれる一番小さな大きさに変化させ、再度話しかける。相変わらず、目から上しか見えないが、なんとか交流ができそうだと安心したのもつかの間…
念話ができていない。
親も兄弟も、すでに…存在すらしていたこともわからないという始末。
さらに食べ物の存在すらも必要性も感じていなかった。
初めて見る食べ物を遊び道具と勘違いしていそうだったので、目の前で少し食べ方を教えてやると、器用にツルで小さく分けてかけらを口に運んだ。
ここで初めて体を包むツルが全て解かれ全容が明らかになった。
身体はとても小さく、まるで何かの種子。つぶらな瞳と小さな口。種子のような体から直接足が生えている。ツルは双葉の茎の根元に戻っていく。
食べたものが口にあったようで嬉しそうに双葉が上下する。すごく可愛らしい。
食べ物のことで私に対する警戒心をほとんど解いた。私の陰から、人種を見つけると再び怯える様子を見せる。
若干、人種に対する殺意が芽生える。何をしたらこうなるのかと。
私の後ろに隠れたのを見てすぐに殺意を散らばせておく。
食べ終わった後、森へ帰ろうとしたので慌てて引き止める。土魔法の壁はやりすぎだと思ったが。魔法を見て喜んでいた。魔法に興味があるようだ。
人種から見たら土魔法は特に人気があるわけではないので、騒ぎはしないのだが目の前の子には魔法は初めてだったようではしゃいでいる。
とても可愛い。
主人にその旨を伝えると若干引かれた。
何故だ。
とにかく、健康診断とステータス鑑定をするために移動するとのこと。
リーフィに、移動の旨を伝えようと振り返ると、甲羅にすり寄って眠そうな顔をしていた。
すり寄っている光景にしばらく思考が停止し、可愛いという言葉以上の表現が思いつかず興奮したら更に主人に引かれた。
主人に諌められて、無理やり落ち着いて今はすやすや眠るリーフィを背中に乗せてそっと動いている。
『……遅いわよアルト』
『起こさないように落とさないように動いておるのだろう。』
『そんな、何言ってんだこいつみたいな目で見てないで早く来なさいよ。講堂に鑑定師と治療師を呼んでおくから。』
『わかった』
まったく、運んでみてわかることはほとんど重さを感じられないほど軽いということだ。もっと体力をつけさせて食べさせないと、簡単に倒れてしまうぞ…そうだ、ホーム登録をしておこう。そうすればまたここに帰ってこれる。
普通の歩幅と速さでも大丈夫そうだったのでゆっくりと動きツルを1つ風魔法で当てさせる。
少しひんやりとした感覚に目を覚ましたようだ。後にすればよかったかと思ったが、目の前のものに目を奪われているようだ。
目が覚めたら大きな結晶の前にいました。なんでしょう?
「フィー?」
『ツルでもいいから触れてごらん』
アルト師匠が触れるようにいうので危険なものではないみたいです。
ツルを伸ばしてみました。
ーーホーム登録をしますか?ーー
いきなり電子音がしたので、びっくりしましたが、ホーム登録とな?
『ホーム登録をするかと聞かれたらハイと答えるのだ。』
ホーム登録というのをしていたらたしか、リスポーン地点がそこに決まるというものだったはずです。
それはもちろんしたいですね。しばらくお世話になるつもりなので!
「フィー」
はいと答え、登録完了しましたと聞こえたので作業終了ですね。
『では主人を待たせてしまうのでな。そろそろ移動するぞ。しっかりつかまっておくのだぞ。』
むむ?どこにいくのでしょう?
施設内に入っていくのでちょっと怖いですが、アルト師匠にぴったりくっついてたら大丈夫ですよね?
アルト師匠今は小さいですが大きくて強そうでしたから。寄生は良くありませんが、私まだレベル1ですし…少しくらいは甘えさせてもらいます。
にしてもやはりひんやりして気持ちいいです。
施設内を見渡して見学気分をしていると広い部屋にたどり着きます。扉を押し開き、そこには4人の人がいました。
え。何されるんですか?怖いです。
ツルで体を包んで防御態勢になります。
『あっ、起きちゃってるじゃないっ!』
『うむ、起きてしまった。』
『もー早くこないからでしょー!』
なぜかアルト師匠怒られております。私が寝てる間に何する気ですか?!
更に警戒を高めて目しか出さないです。さらにアルト師匠の背中から降りて、足元に隠れます。
『あ~』
『リーフィ、大丈夫だ。出ておいで』
むむむ、アルト師匠が大丈夫だと言いますが、相手は人です。つまり敵です。信用なりません。
アルト師匠の側からも少しずつ後退します。
ツルで防御しながら移動してるとハムスターの気持ちになりますが、フィットしてます。
この大きさの移動にはちょうどいいのです。手もないですし…。
『リーフィ、大丈夫だぞ。本当だ。もしそこの主人以外の人種がリーフィを傷つけたら私の魔法が炸裂するから。』
『あはは…3人とも、リーフィちゃんに怪我負わせたり、泣かせたりしたらアルトが魔法行使してくるそうだから頑張って。』
『え?!何それ怖い!』
「え、えぇ~?治療魔法のスキル目当ての補助なんだけど…」
「クエスト手当とかつきますか…」
『つかないわね』
「鑑定するだけでいいと呼ばれだだけなのに…報酬値上げを要求します…」
『あげないわよ何様のつもり?馬鹿じゃないの』
「うぅ…だめか。」
『リーフィ、大丈夫。大丈夫』
うぅ、やです。怖いのはやですぅ…
ズルズルと後退し続けると扉に当たります。いつの間にか施錠してあるのか押しても開きません。
あうあう…
「完全に、可愛い子追い詰める悪党だよな。」
「僕は何も言ってない」
『…スキル指導やめようかな』
「はいっ、黙ります!!」
空気を和ませる為に言った言葉が影響を及ぼそうとした瞬間手のひら返しで返すやりとりをしながら見守っていた。そこへ進展が起きる。
『リーフィ』
「フィ、フィー」
嫌だ嫌だと更にツルで覆います。完全防御です。
『むぅ…む?』
ずっと開かなかった扉が不意に開いてしまう。寄りかかっていたので勢いよく転がってしまった。急な対応に遅れて蔓の中で目を回す。
「フィ~~?!」
『いかん!ジェット、優しく受け止めろ!』
『んあ?おっと、こいつか』
ふぇぇ…転がって目が回ります…はう。
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