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二十話 怒られました…
しおりを挟むルアートさんと一緒に果物を選んで、訓練場となる場所に向かいます。そこにはすでにスキルの確認がてら動いてる子達がいました。
もちろん魔法を使ってる子もいます。
『あ!リーフィちゃんだ!……増えてる?!』
『なんかヤバかったらしいけど大丈夫?』
掲示板でプレイヤー救済メインのイベントがあったと荒れてたそうです。いつかは他の皆さんがメインになる可能性もあるというゲームが広まり、インストール数が格段に増えたみたいなので、私もそろそろ順位が落ちますね。もっと頑張らねば。
『どうにかなったようです。弱体化した時の悪夢イベは勘弁したいですけど…』
『そんなんあるんだ…』
『解放されるまでそれが繰り返されるので若干飽きましたね…』
『へー…そんでそちらは?』
『リーフィ仲間のフレンドです。』
『よろしく、ルアートだ。』
ルアートの自己紹介に他の魔物プレイヤーたちがざわつく。全員ジト目で隣に立つなと睨みつけ始める。
『男か』
『『敵か』』
『よくも我ら…の側に…』
『ちょっとこっちこようか…』
『男同士でお話しさっ!』
『…や、やめとく。(怖っ。ファンクラブできてるやん)』
『それにしても念話覚えれてよかったなー』
『うんうん…癒しボイス…』
『見た目にあってる。』
『皆さんと会話できてよかったです~掲示板見るのが心の支えでしたけど。初手交流縛りはきついです~』
『『『癒しだっ』』』
しばらくお話しして楽しんでたらふわっと体が浮き上がり、ふわふわに捕まります。
『今日は見学だけだ。お前は離れてろ』
『むー…』
ジェットさんが現れましたっ!
きゃー連れ攫われる~
ルアートさんもこちらにこようとしたのですがあちらの魔物達に捕まりわちゃわちゃしてます。楽しそうです。
『僕はほぼ何も持ってない状態なんだって!』
『スキルはすぐに取れる。回避とかとっとけ。』
『レベル1なんだろっ』
『我らの天使のそばにいる必要はないだろうっ』
『君らあの子の名前ランキングで検索してみなよ!側で見たくなるから!』
『んん?天使の名前を知ってるのか。なんて名前なのだ??』
『リリアさんだよ!ランキング検索してみろって!』
『『『ふむ………ん?…ナニコレ……』』』
『だーかーらー!気になるでしょっ!』
『ま、明日以降だな。とりま君は、スキルを取得するんだ!』
『鍛えないと生き残れないぞ~…』
『アレから』
『へ?』
『なんで!!俺は皇種だぞ!卒業するはずだったんだぞ!』
『この魔法具を外せ~!』
おや。アレは突っかかってきた二体です。あ、ジェットさんに皇種というのはなんのか聴くチャンスですね。と顔を上げたのですが、ジェットさんは怖い雰囲気を醸し出してました。
私が見上げて固まってることに気づいたのか、雰囲気を隠し、ちょっと離れると言います。
『ここを動くな』
『あ、ハイ』
ジェットさんが文句を言う二体に近づきます。二体はジェットさんを見て口を抑えて、震え上がります。何か言葉を交わした後、ジェットさんはすぐに帰ってきました。
二体は少し宙を飛んで騒いでいたのですが、恐れのあまりに地面に尻餅ついて青ざめたまま気絶します。
軽く押さえつけられるような事象があったのですが何かしたのでしょうか。
『指導員にスキル確認を進めるように伝えてきた。』
『メーデルさんじゃないのにお話しできるんですか?』
『嗚呼、会話というスキルを持つとできる』
『おー。』
というか、指導員に用じゃなくて、二体に何かしらしてきましたよね。まあ聞けませんけど…じゃあこの念話は人に向けて使えないのでしょうか?いつもの口笛音しか響いてないとか…?
ジェットさんにそこを聞くと人間側が基本的には会話というスキルを固定で持っているからどちらか一方が持っていれば問題ないとのこと。ランダムで種族やスキルが決まるけれど固定でつくスキルあるという事でしょうか…むむ情報不足ですね。プレイヤーの知り合いがいないので聞くに聞けない。また今度ですね。
他の魔法スキルの話をし始めたり使い方教室が始まったので離れて見守ってると興味の引く話題がでてきた。
『翼を持つものは飛翔を持ち、たとえ翼を持たずとも風魔法の適性があれば熟練度を伸ばせば飛べるようになる。』
『おー!熟練度幾つで飛べるのですかっ』
『大体5くらいになれば…大気を感じることが可能となるからな。』
んん?
私、6です。
『ジェットさんっ!』
『ん?』
『私も飛べるかもしれません!』
『嗚呼、適性を持っていたな。だが熟練度が今言ったように5以上でなければ…』
『どうやるのですかっ』
『…うむ…まあ今からイメージする練習くらいはいいか。風を感じ、体を持ち上げるようにイメージするのだ。見えない翼を広げて飛ぶイメージが容易いかもしれんな。』
お空飛びたいです。見えない翼をイメージして、鳥のように羽ばたく!
『…なんだ?風が…!…っ!!リーフィ?!』
風が私の体の周りに集まりだします。
透明な翼が具現化され、すぐ隣にあります。
翼を広げて羽ばたくイメージをすれば軽く浮きます。すぐに地面に降りてしまいましたが、羽ばたきを繰り返します。
『飛べましたぁ!』
パタパタ~と鳴る翼はないので無音ですが、風気持ちいいですー。
『『『『は?!』』』』
『っ!リーフィ!いいから降りてこい!今日は見学だけだ!!』
はっ!ジェットさんがお怒りです。
すぐに下降して、隣に降り立ちます。
『ごめんなさいっ!!』
『……とりあえず、今日は。魔法もスキルも禁止だ。いいな。…明日はアルトも付き添いで魔法とスキルについて確認するから。』
『はい…』
はう、禁止命令です。今日は見学だけだと言われたのに飛べると聞いてはしゃいでしまいました。現に飛べちゃいましたし…あ、飛翔スキルが手に入りました。明日もお空飛べるかなぁ。
『ジェット先生ー、リリアさんとお話ししたいであります!』
『…ム。ダメだ。リーフィはこれから昼寝だ。』
またお昼寝のようです。
『見学は…?』
『中止』
『はぅ…』
ダメでした…
ふわふわに捕まってしまいます。
『待ってくださいっ!流石にお昼寝しすぎたら夜眠れないですよねっ!!リリアさん!』
そんなことはないですが?と不思議そうに傾きます。
『そんなことはなさそうだ。今日は中庭戻るぞ』
『は~い…』
また明日会えるのを楽しみにしておきます。ルアートさん。そんなにお別れしたくないんですか?そちらはスキル確認とか取得とかお話聞けたらまた教えてくださいっ。
帰り道、メーデルさんとアルトさんに会います。
『ちょうどよかった。主人、アルト明日空けといてくれ』
『なぁに?お仕置き?』
『また馬鹿がやらかしたか?』
『いやそんなことではない。明日、リーフィのスキルと魔法の確認をするからだ。』
『あら、今してきたんじゃないの?』
『今日は見学だけだった…はずだったんだ。』
『あらあら…リーフィちゃんどうしたの。誰かにいじめられたの?』
メーデルさんは私に元気がないのに気づいて伺ってきます。私はジェットさんに怒られて見学だけなのに参加してしまった悪い子なのです。メーデルさんに話しかけられましたが怒られたことがショック過ぎて…。
『お空飛んだら怒られてしまいました…』
『ん?』
『見学だけって言われてたのに…魔法使ってしまったからです…はぅ…』
『んー…と、ジェット。あとで話に来なさい。』
『言われずとも戻る。リーフィ、日が暮れるまで昼寝して、くれたら地中の中で眠るのだぞ。』
『はい…』
頭だけ出して、半分ひんやり冷たい土の中で頭の上の葉っぱは暖かな光を浴びつつお昼寝タイムです。
外がひんやりしてきたら地下に行きましょう。スキル使用禁止ですから、何もできそうにありません。口約束ですが破ったら怖いです。
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