異世界のんびり自由な流浪旅?

霜月雪

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 おやつの時間のはずが酒飲みなってしまったな。
 フィアとラルフィナさんに飲ませたらこうなると分かっていたけどさ。
 俺のおやつには何にしようかな。
 フィアやラルフィナさんには、おやつではなく酒に合う物の方がいいか。


「ヒロ、お酒はあのままで良いのかしら?」


 おやつに何かないかアイテムボックスの中を確認していると、フィアが部屋の隅で結界内で冷やしている酒について聞いて来る。


「借りている家に戻るくらいまでは頼む。無理そうなら言ってくれ」


 どれだけ冷えるのか確認したいし、長期的に可能だとは言っていたけど結界の維持が大変そうなら頻繁に頼めないからな。
 野営で張っている結界とは違うだろうからな。


「わかったわ、結界の方は問題ないわよ。それにしてもお酒を冷やすなんてね」


 結界に関しては大丈夫なのか、何かを冷やすときにはフィアに頼むことにしよう。
 しかし、物を冷やすって事をしないのかね。
 まぁ、物を冷やす魔道具はないって話みたいだし。
 思えば解体倉庫の肉が置いてあった部屋は温度が低いって事もなかったな。


「ラルフィナさん、食材の保存ってどうしてるんです?」

「キッチンに普通に置いているわよ~」

「肉も?」

「そうよ~」


 気になっていた食材の保存の方法を聞けばそのままとはね。
 野菜類はそのままでも大丈夫だろうけど。
 肉は痛みそうな気がするんだが。


「肉をそのままにしておいたら食べられなくならない?」

「ならないわよ~。魔物の肉はそういうものでしょ~」


 そうなのか、魔物の肉はそのままにしておいても問題ないとは。
 ギルドがブラッドガウルを半分買い取っても大丈夫なわけだ、日持ちするようだし。
 しかし、日持ちするのは魔力が関係しているのだろうか、知らない事があるな。


「ヒロ、おやつはないの?」


 隣に座って飲んでいるフィアが催促してくる。


「酒飲んでいるんだし、おやつ無くてもいいんじゃないか」

「そんなことはないわ」

「それはだめよ~」


 ラルフィナさんもフィア同様におやつ無しは認めてくれないようだ。


「そう言われてもな」


 アイテムボックスの中を確認はしているがおやつになるような物がなぁ。
 いくつかの作り置きの料理はあるけど、みんなに出したおやつは好評で残ったことがない。
 あるのは俺が食べきることが出来なかったぶんくらいで、フィアとラルフィナさんに出しても物足りないだろう。


「作り置きの料理でも良いか?」

「それも良いけど、やっぱりおやつが良いわ」


 そうなるよな。
 作り置きと言ってもアイテムボックスに入っているから、作り立てと変わらないけどおやつを望むか。
 料理は食事の時に食べられるけど、おやつはそうじゃないからな。


「おやつに、何が食べたいんだ?」

「そうねぇ。色々見たいから出してくれないかしら?」


 フィアに何が良いか尋ねたら、思案したのち俺の方を向いてスキルを要求してくる。
 おやつは沢山あるしフィアの知らない物ばかりだから、見て選びたいのだろう。
 ラルフィナさんには俺のスキルに関しては話していない。
 俺とフィアにしかスキルの画面は見えないとはいえラルフィナさんの目の前なんだが、スキルの事を知っているリュイル達とは違うんだぞ。
 

「ヒロの事をラルフィナは知ったとしても誰かに話したりはしないと思うわよ」


 迷っているとフィアが俺に視線を向けた後に酒を飲みながらそんな事を言う。
 確かに俺に対する好意からラルフィナさんが話すとは思えないが。


「ヒロくんの秘密を知っても、誰にも話さないわよ~」


 ラルフィナさんの方を見れば酒を飲みながらもじっとこちらを見つめてくる。


「ラルフィナ。ヒロの事、好きよね?」

「もちろんよ~。ヒロくんは困るかもしれないけどね~」


 フィアの問いに酒を飲みながら嬉しそうに答え、笑顔を向けてくる。
 嬉しいですよ、ラルフィナさん。
 酒を飲みながらじゃなければと思ったが、酒を飲んでなければ話せない会話か。
 フィアがそんな事を聞くとは。


「ヒロの事が好きでも、スキルに関係してくるから誓約はさせてもらうわよ」

「いいわよ~。ヒロくんとよね~、誓約でも契約でもするわ~」


 ためらいもなく笑顔で即答するラルフィナさん。
 

「おやつの事もあるし、すぐに済ませるわよ」

「このままで良いのか?」

「問題はないわ」


 フィアがそう言うと床に魔法陣が現れる。
 椅子に座ったままでも問題ないとは。
 おやつのためなのか何だか大雑把だな。


「ヒロからラルフィナへの誓約ね。内容はヒロの固有スキルに関して守秘すること」

「いいわよ~」


 ラルフィナさんんが返事をすると、俺とラルフィナさんの体が淡く輝いた後すぐに輝きが消える。


「これで誓約は終わったわ」

「もう終わったの?簡単なのね~」


 簡単に見えるのはフィアだからじゃないかな。


「これで大丈夫よね。出して」


 フィアに催促されスキルを起動して、おやつになりそうな物を画面にだす。
 眺めながら画面に表示されたおやつを横から色々と聞いてくる。
 見ただけじゃどんなものかわからないよな。
 俺も全部を知っているわけじゃないけど。


「ヒロくんはスキルをつかっているのよね~?」

「そうですね」


 ラルフィナさんにはやはり見えないようで、酒を飲みながら不思議そうに俺とフィアのやり取りを眺めている。


「ヒロと同じものでいいわ」


 画面を眺めていたフィアが俺の方を向いてそう言ってくる。
 色々と種類がありすぎてわからなくなった感じだな。
 フィアと一緒に眺めていてなんとなく目についたプリンの詰め合わせを4つ購入。
 俺はプリン1個でも良いんだがフィアとラルフィナさんは物足りないだろうから詰め合わせを渡せばたぶん大丈夫だろう。
 余計に買ったものは夕食後のデザート用に。
 魔法陣が現れ段ボール箱が現れる光景にラルフィナさんが驚く。
 箱からプリンの詰め合わせを出しながら俺のスキルについて話すとさらに驚かれた。
 聞いたことないような個人スキルだしな。
 フィアとラルフィナさんに詰め合わせのプリンを渡す。
 日本酒にプリンが合うのか分からないけど、フィアとラルフィナさんが喜んでいるから良いか。


「なめらかでおいしいわね」

「おいしいわ~」


 満足しているようでよかった。
 それなりにするプリンの詰め合わせだけあって美味しい。
 しかし、二人とも食べるの早いな。
 俺が食べてる間に詰め合わせのプリン食べ終わりそうだ。


「ヒロ、お酒あるかしら?」


 おやつの次は酒か。
 もう飲み終わったのか、そんなに時間たってないんだが。
 見ればラルフィナさんも飲み終わった様で空になった日本酒の瓶を残念そうに眺めている。
 二人とも飲むペースが速いな。


「フィアに頼んで冷やした日本酒飲んで良いぞ」

「あら、何か考えがあったのではないかしら?」

「フィアにどれだけ負担かかるか心配だったんだが、平気そうだしな」

「気にしてくれていたのね。あれくらいなんともないわよ」


 酒飲みながら頼んだ結界を維持しつつ、誓約まで出来るのだからたやすい事なんだろう。
 結界の中にあるワインと日本酒を手に取るとかなり冷えている。


「日本酒は冷やして飲むと味わいが変わるぞ。好みもあるだろうけど飲んでみるといい」


 冷えたワインはアイテムボックスへ入れ、フィアとラルフィナさんに冷えた日本酒を差し出す。


「本当ね、確かに違うわ」

「変わるのね~、冷えてるこっちも美味しいわ~」


 冷えた日本酒は、驚きながらもフィアとラルフィナさんの口に合ったようで嬉しそうに飲んでいる。
 教えたのはまずかったかな。
 まぁ、冷やしたのはフィアだし良いか。

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