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魔の美容液
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「あの頃から、貴方には類い稀な才能がありました」
「それで、アイドルに戻れるのね?」
「いえ、そんな謙虚な考えは捨てなさい。貴方は一番を目指すのです」
「またそうやって、私を悪の世界に誘うんだから~」
「はい。魔の美容液が完成しました。これでも塔子さんの為に頑張ったのですよ」
前園塔子と城田英人は近くのクラシカルな雰囲気のカフェに入り、窓側の席で再会した恋人のように笑みを浮かべて話した。
テーブルの上には英人が鞄から出した硝子容器が置いてあり、ベラドンナの花と果実から樹液を抽出し、研究を重ねて作り上げた美容液であると説明する。
「火の錬金術師の最高傑作ですよ。ベラドンナは目だけでなく、フェイスケアとして美を形成する魔力があったのです」
塔子は洒落た容器の細い首をピンク色のネールをした指で摘み、ガラス窓から射す陽の光にブルーベリー色の液体を翳して左眼を近付けて覗き込む。
「一番、美しくなりたいわ」
硝子容器の中央部がレンズになり、瞳孔が開いた美しくも妖しい目が毒々しい悪意を醸し出す。
「蹴落としてでもね……」
「既にベラドンナの液体が反応していますね」
英人の微笑みも硝子容器に映り込み、高校生が自殺した部屋で洋介が霊視した目が、ブルーベリー色の液体の底から泡のように浮かんで消えた。
それから数日間が過ぎ、前園塔子は一人暮らしのマンションの一室にこもり、魔の美容液を風呂上がりに使用して素晴らしい効果を実感した。
「白雪姫でも王子様でも、気に入らない芸能人には消えて貰いなさい」
「殺すのですか?」
「まさか?人聞きの悪い……」
カフェで城田英人が店内の客を見回してから、塔子に端正な顔を近付けて耳元で囁いた言葉が頭の中に蘇る。
「自殺ですよ。呪いは罪にはなりません」
「でも、美の効果は?」
「この美容液は魔女である貴方にしか使えません。呪う毎に命のエネルギーが貴方を包み込み、美しさを増してゆくのです」
「死と美を奪うのね」
塔子は以前所属していたアイドルグループ『フラワー』の活動をネットで調べてみたが、既に解散していたのでターゲットから外し、自分が羨む芸能人を探して写真やポスターを集め出した。
「なんか、犯人を追う捜査官みたいね」
SNSや週刊誌で情報を調べ上げ、壁一面に女優や歌手のプライベート写真が何枚も貼られてメモがピンで留められ、プロフィール情報が完成された。
「めちゃくちゃ楽しいじゃん」
部屋も高価な家具や鏡を買ってリフォームし、ドレスを着て鏡に映した姿は生き生きして美しくなっていたが、どう見ても捜査官ではなくサイコパスとしか見えない。
前園塔子は火の錬金術師により、ベラドンナの魔女として中世から現代に蘇ったのである。
「それで、アイドルに戻れるのね?」
「いえ、そんな謙虚な考えは捨てなさい。貴方は一番を目指すのです」
「またそうやって、私を悪の世界に誘うんだから~」
「はい。魔の美容液が完成しました。これでも塔子さんの為に頑張ったのですよ」
前園塔子と城田英人は近くのクラシカルな雰囲気のカフェに入り、窓側の席で再会した恋人のように笑みを浮かべて話した。
テーブルの上には英人が鞄から出した硝子容器が置いてあり、ベラドンナの花と果実から樹液を抽出し、研究を重ねて作り上げた美容液であると説明する。
「火の錬金術師の最高傑作ですよ。ベラドンナは目だけでなく、フェイスケアとして美を形成する魔力があったのです」
塔子は洒落た容器の細い首をピンク色のネールをした指で摘み、ガラス窓から射す陽の光にブルーベリー色の液体を翳して左眼を近付けて覗き込む。
「一番、美しくなりたいわ」
硝子容器の中央部がレンズになり、瞳孔が開いた美しくも妖しい目が毒々しい悪意を醸し出す。
「蹴落としてでもね……」
「既にベラドンナの液体が反応していますね」
英人の微笑みも硝子容器に映り込み、高校生が自殺した部屋で洋介が霊視した目が、ブルーベリー色の液体の底から泡のように浮かんで消えた。
それから数日間が過ぎ、前園塔子は一人暮らしのマンションの一室にこもり、魔の美容液を風呂上がりに使用して素晴らしい効果を実感した。
「白雪姫でも王子様でも、気に入らない芸能人には消えて貰いなさい」
「殺すのですか?」
「まさか?人聞きの悪い……」
カフェで城田英人が店内の客を見回してから、塔子に端正な顔を近付けて耳元で囁いた言葉が頭の中に蘇る。
「自殺ですよ。呪いは罪にはなりません」
「でも、美の効果は?」
「この美容液は魔女である貴方にしか使えません。呪う毎に命のエネルギーが貴方を包み込み、美しさを増してゆくのです」
「死と美を奪うのね」
塔子は以前所属していたアイドルグループ『フラワー』の活動をネットで調べてみたが、既に解散していたのでターゲットから外し、自分が羨む芸能人を探して写真やポスターを集め出した。
「なんか、犯人を追う捜査官みたいね」
SNSや週刊誌で情報を調べ上げ、壁一面に女優や歌手のプライベート写真が何枚も貼られてメモがピンで留められ、プロフィール情報が完成された。
「めちゃくちゃ楽しいじゃん」
部屋も高価な家具や鏡を買ってリフォームし、ドレスを着て鏡に映した姿は生き生きして美しくなっていたが、どう見ても捜査官ではなくサイコパスとしか見えない。
前園塔子は火の錬金術師により、ベラドンナの魔女として中世から現代に蘇ったのである。
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